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サッカー日本代表動画分析続き_ハイプレス回避考察

前回の記事でサッカー日本代表北朝鮮戦の動画を4つ分析しました。ビルドアップの失敗に共通する要因が見られました

今回は残りの2つのビルドアップ動画を分析しつつ纏めに入ります。残り動画は4つあったのですが、重複が1つ、ボールを奪ったばかりでビルドアップと言えないものが1つあって両方削除しました。残った2つの動画を分析します

仕方なくGKにボールを戻した動画1

3バック化した時にパスの出しどころがなくなる

スローインから田中選手にボールが渡り、田中選手と板倉選手でパス交換を繰り返します。その中でパスの出しどころがなくなってGKの鈴木選手にパス。鈴木選手はこの後大きく前線に蹴り込み、裏に走った上田選手に繋がります

この場面では田中選手がやや下がって3バック化しましたが、ボランチが残り1人になってしまって簡単にマークに付かれ、中盤に出しどころがなくなりました。サイドにも北朝鮮の選手が居てGKにボールを戻さざるを得なくなったのだと思います

ボランチを2枚にするか裏に蹴り込むのが良かったのでは

詳細は後述しますが、ボランチ1枚ではどうしても繋ぐのが難しくなります。やはり偽SBなどの動きでボランチを2枚にすることが必要だと感じます

もしくは裏に蹴り込むのも一つです。この場面では南野選手がボールを貰いに戻ってきた裏のスペースが空いたり、左サイドの裏に大きなスペースができていました。板倉選手がそこに蹴り込むのは一つの方法だったと感じています。実際、鈴木選手のロングフィードは南野選手が空けたスペースに蹴り込まれ、上田選手が走り込んでチャンスに繋がっています

仕方なくGKにボールを戻した動画2

相変わらずサイドで詰まる

次の動画です。右サイドから左サイドへ菅原選手→板倉選手→町田選手→伊藤選手とパスを繋いだシーン。パスを受けた伊藤選手にはプレスがかかっており、伊藤選手はたまらず町田選手にボールを戻します。町田選手もプレスを受けてGKの鈴木選手までボールを戻し、鈴木選手は前線に大きく蹴り出しました

ボランチが下がるかGKが出るかが必要だったのでは

町田選手から伊藤選手へのパスはスピードも弱くて伊藤選手には辛いものでした。この試合を通じで左サイドは狙われており、やや迂闊なパスだったと言えます

かといって町田選手もプレスを受けており、パスを出したくなる場面だと思います。そうならないようにボランチがDFラインに降りたり、GKが前に出たりしてボールを貰えるようにした方が良かったのではないでしょうか

GKを含めたビルドアップも要改善

また、最後にボールを貰った鈴木選手も蹴り出さなくて良かったと思います。前方の遠藤選手自体にはマークが付いていましたが、左サイドで町田選手がフリーになっており、遠藤選手が町田選手にリターンを返せた気がします。安全策で前に蹴ったのだと思いますが、あそこで繋げないと消耗し続けて世界で戦えないのではないでしょうか

ハイプレス回避纏め1:後ろで数的優位を作るケース

これまでの動画分析の結果を整理します。どこで数的優位を作るかでどうするかが大きく変わる気がしています。まずは後ろで数的優位を作るケースから考えます

3バック化して相手プレスを回避

日本は北朝鮮戦の後半初め、自陣での相手プレスを回避できずに苦しんでいました。その後、3バック化してDFラインで数的優位を作るようになってからはボールを前進させられるようになりました。プレス回避に対する3バック化は有効な手立てだと感じます

3バック化するだけなら結局出しどころがなくなる

ただ、3バック化しても敵陣でパスを繋ぐ時に結局パスの出しどころがなくなりがちでした。該当するのは前回の記事の最後の動画と今回の記事の1つ目の動画です。3バック化の際にボランチが1枚になってマークされやすくなってしまい、距離の遠い前線か詰まりがちなサイドに無理にボールを出して取られました

前回の記事の最後の動画のフォーメーション

上の図は前回の記事の最後の動画のフォーメーションです。青が日本、赤が北朝鮮になります

上の図でも明らかですが、3バック化でDFラインで数的優位を作ったがために他のところが同数や数的不利になります。そうなるとどうしてもボールを繋ぎにくくなります

SBが偽SB化してボランチを2枚にする

改善のための選択肢が偽SB化です。SBが内側に移動してボランチ化すれば360度パスコースができて180度しかパスコースがないSBよりパスコースが見つけやすくなります

偽SB化した場合

実際に偽SB化した時の動きが上の図です。LSBからLDMにダイレクトパスできそうな感じが少し出たと思います。もしくは一旦トラップしてLCBに戻すという選択肢も出そうです。サイドに居続けるよりは選択肢が増えると考えます

偽SB化しない場合はマークに付いてきた相手選手の裏を狙う

裏に蹴り込む選択肢も良いと感じています。3バック化した時はボランチが足りないために前線の選手がボールを貰いに降りてくることが多く、更にそれに敵が付いてくることが多いです。その付いてきた敵の裏側にはスペースができ、そこにボールを蹴り込むのが有効だと感じます

敵のRCBの裏が空く

上の図は2つ前の図と同じものですが、北朝鮮のRCBが日本のOFMの南野選手を追いかけてその裏のスペースが空いています。上田選手もそこに走ろうとしてましたし、蹴り込めばチャンスに繋がったはずです

ハイプレス回避2:敢えて前線に数的優位を作るケース

ハイプレスに対して劣勢になるとどうしても後ろで数的優位を作ろうとしてしまいますが、敢えて前線に数的優位を作る改善策も結構効きそうでした

前の記事の最初の3つの動画では、ボランチやSBがボールを貰いに戻りに行ってしまったために前の選手が孤立してボールを取られがちでした。あそこで敢えてボールを貰いに行かず、前の選手のリターンを貰える位置を取り続けることが大事な気がしています

前回の記事の2つ目の動画のフォーメーション

上の図は前回の記事の2つ目の動画フォーメーションです

LDMの守田選手がLSBの伊藤選手に近付いてボールを貰おうとしました。しかし伊藤選手から守田選手へのパスコースはなく、それであれば最終的にボールを貰った上田選手のリターンを貰える位置を目指した方が良かったと思います

上田選手のリターンを貰いに行った場合

上田選手のリターンが貰えれば相手に後ろ向きの守備を強いて守りにくい状況になったはずです。日本は全般的にボールを貰いに戻りがちですが、そうすると敵選手に追いかけられがちです。敢えて前線に数的優位を作るという考え方はとても大事に感じています

ハイプレス回避3:サイドへのロングパスのケース

ほとんどの動画で有効そうだったのはサイド、特に逆サイドへのロングパスです。相手が4バックでしかも前からプレスをかけてきたこともあり、逆サイドには広大なスペースが空きがちでした。ロングパスはショートパスよりも不確実性は高いですが、相手のプレス意欲を抑えるためにも失敗しても良いからサイドにロングパスを散らすことが必要だったと思います

重心が後ろ目になってしまっている可能性

総じて必要なのは、前に居続ける、もっと前にボールを出すという姿勢かもな、と感じています。W杯後の日本は繋ぐことを重視し過ぎてその姿勢が失われているのかもしれません

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