#3 統合報告書雑感速報〜MUFG〜

Twitterで既に触れた内容の焼き増しになりますが、今年度版の統合報告書を既に発行されているものをざっと見てコメントをまとめてみます。(そもそもこれニーズあるのか知りませんが)

今回見ていくのはMUFGです。

…なんでですか?ってなりますよね。
金融の見ても参考にならないのではといった声をいただきそうです。
ただ、

MUFGの統合報告書は機関投資家からの評価はかなり高い。


GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」
日経統合報告書アワード2022
※日経は来年度の表彰終わる頃にはリンク切れしてそう。優秀賞受賞しています。

こういう統合報告書のアワードを持って、機関投資家から評価されているという安直な表現はしたくはありませんが、伊藤忠商事、オムロンなどやはり純粋に機関投資家から注目されている銘柄は上位にいる印象です。(かといって、ここにランクインしていないからといって注目されてないわけじゃないです。なお、日経統合報告書アワードは登録に発行体が45万円以上払って初めて審査してもらえます。

そして何より、

3月期決算企業の中でも発行が早い!


他にもあるかもしれないですが、金融機関はディスクロージャー誌の発行が法定で8/1が期限のはずなので、それに合わせての発行なので、特に銀行は大体ここらへんで出てます。
一般的に各企業の統合報告書の発行は決算期末日から5〜7ヶ月後が多いようで、3月決算企業なら、8月末〜10月末が多いということになります。

(出典)「日本の企業報告に関する調査2022」KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン p25

今年は特に、2023年度3月末の有価証券報告書において、サステナビリティに関する開示が義務付けられ、例えば、人的資本に関しては、ペイギャップや男性の育児休暇の取得などに関連した開示が法定開示となったことはご存知の方も多いと思います。
ただ、法定開示が故に企業が萎縮して開示事項を最低限にすることのないように、任意開示の部分も認めていこう、という話だった気がします。(曖昧)
これは、法定開示書類ではない、任意開示書類にすぎない統合報告書の位置付けの議論の影響が出てきます。(「有報が充実すればよくない?」的なお話です。かわいそう。)

なので、特に有報と統合報告書の差分はどんな感じに各企業出しているのだろう、、、ときになっているのが現状です。(本論までが長い!)

だから、MUFGに注目して書いてみます。(こんだけ有報の話をして、有報との比較はさほどできていない、ただの感想パラダイスですがお許しを)

①CEOメッセージ
Chat GPT
わざわざコラムとしてへの言及があった。

・資本政策・株主還元
記述が昨年比で減っている?文字の大きさかなと思いましたが、減ってるぽいです。
PBRに関する記述
去年より、トーンが重くなっている。
(「MUFGの潜在力を考えれば十分ではありません」→「経営として許されない状態だと考えています」)

…あと本当に呟き程度の話なんですが、

冒頭で「ちょっと英語を頑張ったんですよ〜」ってお茶目すぎません?


日本のトップを誇る金融機関の持株会社の社長、しかも取締役とかに日本語を母語にしない人がいる中で英語喋れないはずがあろうか?苦手なんてことがあろうか?絶対と言えば言い過ぎかもですが、そんなはずはないはずです。そんなことは読者もわかってる。そんな中「チャレンジした」こととして英語が上がるのは個人的にお茶目だと感じます。もはやトップ企業の余裕なのでしょうか。(呟きの長さじゃない)

(追記)今まで以上に踏み込んで使って、コミュニケーション取った旨が触れられてますので、こう言ったトーンでの書き振りだと少し誇張してる感あるようにとれるかもですが、個人的に目を引いた表現でした。

②CFOメッセージ
・事業ポートフォリオ
「あれ、やけにロゴがしっかり出てる気がするな」と思ったら、やはり去年はからみて変わってるところがありますね。戦略出資さらには売却までしっかり明示して事業ポートフォリオを管理している感じに見える。グループ経営している感が綺麗に見えて、「資本コスト経営」とでもいったらいいのでしょうか?ちゃんとやってることが見える化されてる印象です。

「MUFG Report 2023」 p21より

・PBR1倍割れに対する開示
去年はTSRだけだったところに、グローバル金融機関とPBR,ROEの比較した図が入ってた。

「MUFG Report 2023」 p25より  

・キャピタルアロケーション
去年あったけ?すごく重要な話だと思う。(ここら辺からあまりわかってない)

③コーポレート・ガバナンス
「MUFG Report 2023」p111に掲載されている「社外取締役と機関投資家の対話」は非常に素晴らしいことですよね。他の会社さんでも開示されているところありますが。
個人的な好みレベルですが、社外取締役、スモールミーティングの出席者なんでしょうけど、3人じゃなくて、去年と同じで2人で良かったのでは?
それは置いて置いて、政策保有株式について、元JTの方の発言は少し踏み込んだ内容に見えた。一方で、それ以外の政策保有株式に関する記述はある種お手本的な印象を受ける。
…って、元JTの方はこの6月の総会を持って退任されてた様子。2023年3月実施のスモールミーティングということであれば、もう退任はかたまってたのかな?わかりませんが。個人的には、社外取締役の人には暴れるかの如く課題を投げまくって欲しい次第です。

…とここまでの3つの項目が特に注目して目を通した箇所です。実際に、いずれの分野も知識不足すぎて、「で?」みたいな感想だらけですが。カバーできてない分野も多々ありすぎる(例:TCFD)

さらに雑感をかくと

・去年あった、社員の座談会でバックグラウンドが異なる中で、「ここだめじゃね?」みたいにダメ出しとか普通に発言している奴が無くなってます。(毎年やるもんでもないかなと)個人的にはこれいいなと思ってたので、今年はないのかーと。
・こないだもリリースが出ていた、モルガン・スタンレーとのアライアンス2.0、2ページくらい。いや、これってもっと割かれていい話なのではなかろうか。。。(知らんけど)
・CHROメッセージで出ている、企業価値向上に向けた人材KPIは綺麗にまとまっているなと思いました。ただ、フローに近いデータとストックに近いデータが混在し、少し解釈に困った?。あと、重点課題に本当に紐づいているのか純粋に疑問を感じた(ただ知見がないだけ説)ここら辺は、各社課題ですよねー。
・新規事業関連
2022年度の統合報告書では、1/2程度のページもなかった、新規事業プログラムSpark Xの記述が2ページに。本気度感じる。そして何より、参加者650人てすごいですな。。。雰囲気マジでピッチコンテストっぽいです(実際にピッチコンテスト見たことないですが)

そういえば、有報の該当箇所と統合報告書を見比べる限りはそれほどのなんか特殊な記述があった印象はないのですが。。。わかってないだけの可能性がありそうですね。

目を通した雑感の塊なので、もっと精緻な研究をする方が、IR上の開示のお参考になることは間違い無いのですが、ほぼ趣味レベルということでここら辺で筆を置きたいと思います。

今度はもっとちゃんとしたもの書こうと思います。

あ、引き続きインタビュー募集してますのでよろしくお願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?