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【ドラマ】ミスター・ロボット シーズン1

ラミ・マレック演じる天才プログラマーがハッキングにより大企業を崩壊させ、世界に革命を起こすことを企む物語である。

ドラマは時代をタイムリーに反映している作品が多いが、ミスター・ロボットでも様々な社会問題が反映されている。大企業に富が集中している格差問題、国民の多くがクレジットカードローン、学生ローン、住宅ローンなどを抱えている借金問題。

監督のサム・エスメイル、主演のラミ・マレックともにエジプト系アメリカ人である。エジプトでは、2010年~2012年にSNSを発端とした大規模政府デモ「アラブの春」が起きたが、そこからインスピレーションを得て得られた作品である。

しかし、ミスターロボットのストーリの中核は、主人公エリオットの内面の描写にある。彼はいつも自分の中にいる別の誰かと問答を繰り広げている。この問答の描写が物語の中心となっている。ハッキングや革命が物語の中心ではないということをサム・エスメイル監督も語っている。

かつてのドラマであれば、政府や大企業を破壊するには爆弾などの暴力しかなかったが、2010年代以降はハッキングやSNSにより攻撃を仕掛けることができるようになった。現代社会では、内面に悩みを抱えている若者でも、コンピュータで世界に革命を起こすことが可能になった。その革命の過程と彼の心理描写が折り重なって、唯一無二のオリジナルな作品に仕上がっている。ストーリー、テンポ、音楽、俳優、心理描写、全てにおいて素晴らしい珠玉のエンタテイメント作品である。

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