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【書評】子育てのイライラ・怒りにもう振り回されない本 (篠 真希著)

アンガーマネジメントを専門とするコンサルタント・篠真希氏による、子育てに対するアンガーマネジメントについての本である。子育ての経験がある多くの人は子供に対して怒ってしまい、あとで自己嫌悪に陥ることがあると思う。そんな親たちに筆者は「他のママ達もきっと家では怒ってる」と安心させるメッセージを投げかけている。

子供に怒ってしまうのは親に余裕がないケースが大半である。

心のコップに「疲れた」、時間に追われる「焦り」などの感情が溜まっていくと、ささいなことでも怒りやすくなってしまいます。

そんなときに次のことに気をつけると、怒ってしまう前に少し立ち止まることができるという。

怒鳴ることは癖になりやすく、怒るほどに怒りやすくなります。
まずはゆっくり、深呼吸しながら「1、2、3、4、5、6」と頭のなかで数字を数えて、衝動的な怒りが通り過ぎるのを待ちましょう。

子どもは100回言わないとわからないもの
30回でも100回でも、できるようになるまで繰り返し言い続けるのが親の仕事

子供が怒ったり、わがままを言ったりするのは何かを欲していることの裏返しである。

「怒りは願いの裏返し」
怒っている子どもの抱えている不満・欲求を理解して、その不快をできるだけ取り除いてあげるということは、叱りつけるより効果があります。

子供が言うことを聞かないのは、親が機嫌で躾けていたり、親の諭し方が下手な場合もある。

本来ならば行動の基準は、親の機嫌ではなく、善悪やマナー、思いやりです。そのことを子どもにしっかり伝えてあげなければなりません。 それには、叱られているときに、その基準が見えてこないと、なかなか価値観が育めません。
子どもの「もっともっと」に答えられないとき、「5分は遊んであげられるけど、お母さんはごはんの準備があるからそれ以上は無理だよ」と言うことで、具体的に何がダメで、何が理由でどこまでいいのか、お母さんが求めているものは何なのかがわかりやすくなります。

本書には、アンガーマネジメントの方法や子供への言い聞かせ方などのコツが紹介されているが、結局一番大切なことは子供を無条件で愛することだという。

親からの愛情を十分に感じられることで、自分でも「ありのままの自分を受け入れる力」「自分を大切にする気持ち」が育っていきます。ありのままの自分を肯定できるようになると、根拠のない自信を持つことができ、それが原動力となって何事にも前向きに「自分なら、きっとできる!」という自信を持って取り組む意欲が生まれます。
乳幼児が怒りを感じているとき、その源となる「嫌だ」「怖い」「不快だ」「痛い」といった第一次感情が体にあふれ、自分ではこの感覚がなんなのかわからず、パニックになっています。
子どもは安心・安全を失いそうなときに、大人よりいちだんと動物的に怒りを感じます。そういったときに、お母さんがその感覚を理解し、その感情が何であるか名前をつけて声がけして、抱きしめてあげることで、子どもは「ネガティブな感情にさらされていても安全でいられる」という安心感を体験します。 つまり「怒り」も、お母さんの安心・安全で包まれることで「持っていても安全な感情」として落ち着いて受け入れることができ、自分でコントロールができるものになっていきます。 制御力・自制心は、このような乳幼児期の経験から自然と身についていくものです。

子育てをしていれば怒ってしまうことはあるが、怒ってしまったとしても、無条件で子供を愛する心があれば、子どもはしっかりと育っていく。そんな大切なことに気づかせてくれる本である。





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