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10万円の給付金をムダにしないマネーハック術

フォレスト出版の寺崎です。

みなさん、国民一律に配られる特別給付金10万円の使い道は決まったでしょうか? ひとり10万円なので、夫婦なら20万円、子どもひとりなら30万円、子どもふたりなら40万円なので、臨時収入の金額としては大きいですよね。

しばらく自粛で鬱々としてたから、ここはパーーーっと飲むぞー!でもいいと思いますが、もしお子さんがいるご家庭であれば、このお金は「そもそもなかったもの」として、「つもり貯金」することを個人的にはおすすめします。

「つもり貯金」は昔からある手法ですが、せっかくこまめに貯め込んだものの、ついつい困ったときに貯金を取り崩してしまう。そんな経験はないでしょうか。

そんなダメパターンから抜け出すための、ちょっとしたマネーハックがあります。今日はファイナンシャル・プランナーの山崎俊輔さんによる『大人になったら知っておきたいマネーハック大全』から、とっておきのやり方をご紹介します。

学費を貯めるには銀行に子ども名義の口座を開く

子どもを持つ親としては「教育費」は頭の痛いもの。わが子にはきちんとした教育を受けさせてあげたいけど、教育にはそれなりにお金がかかります。子どもの将来を考えて学資保険に入っている人も多いでしょう。

学資保険って、ぶっちゃけどうなんでしょうか?

 子どもが誕生したとき、学資保険を契約する人がたくさんいます。学資保険は利息があまりつかない積立をしつつ、もし親が死亡した場合などは未積立分を保険にカバーしてもらえるという性格があり、将来の学費準備に役立つ仕組みです。
 利率を考えると銀行預金と同等かちょっと勝てる程度です。パンフレットには預け入れ保険料の総額と受取額を割り算した数字が書かれますが、これを年率換算すると本当の利回りはもっと低いものになります。
 とはいえ、学資保険の保険機能は悪いものではありません。また基本的には自動引き落としになるので、銀行口座の残高不足さえなければ、強制貯蓄の性格がある資産形成方法としても有効です。
 たいていの生命保険はかけすぎの恐れがありますが、学資保険が相対的にいいのは「納めた保険料はおおむね現実にかかる金額として戻ってくること」と「強制的に積み立てられること」「残高が別口座に分離されること」にあります。
 一方で、「子どもの学費がなかなか貯まらない」と苦労している人もたくさんいます。そういう人は口座を分割してみる必要があります。
 子どものための口座作りです。

ふむふむ。将来のための準備として「学資保険」はそれはそれで悪くないようですね。最後に出てきた「子どものための口座作り」とは・・・? これはいったいどういうことでしょうか?

子ども名義口座を作ればお金を下ろしにくくなる

 ここで提案したいのは「自分名義の口座だけで管理する」という発想を諦め(といっても悪い意味ではない)、「子ども名義の口座」に子どもの将来のお金を入金してしまう方法です。
 実は銀行や証券口座は親が代理で子ども名義の口座を作ることができます。それぞれ必要な提出書類は異なりますが、住民票やマイナンバーの通知カード、そして子どものハンコ(といっても親のハンコとは違うハンコであればよい)が用意できれば口座を開設できます。
 私は子どもの口座を作るにあたって、せっかくなので三文判と実印を作ることにしました。ネットで注文すれば数日で届きますしそれほど高いものではありません。名字ではなくあえて「名前」のハンコにするというのも悪くない選択です。
 銀行によっては親の名義の口座もあることをリクエストすることがありますが、たいていの場合、親がすでに銀行口座を持っている支店に行くでしょうから大きな問題はないでしょう(あるいはそのときは口座開設をしてもいい)。

なるほど!
自分の子どもの名義の口座をつくってしまうというマネーハックです。「子ども名義の銀行口座なんて作れるの?」とつい思いがちですが、ぜんぜん問題ないんですね。

子ども名義口座にお金をとにかく入金しておく

さて、子ども名義の口座を準備したら、どうするか。

 子ども名義の口座には思った以上の効果があります。それは「これは子どものお金だ」という「枠」をイメージできるようになることです。自分の銀行口座の100万円の定期預金のうち「子どもの分はいくら」というのはイメージしにくいですが、口座そのものが分かれていれば明確です。
 この口座に以下のようなお金を入金していきます。

◎子どもの誕生時のお祝い金
◎七五三のお祝い金
◎小学校の入学お祝い金
◎誕生日のお祝いやお年玉
◎国からもらえる児童手当


 特に誕生時にはお祝い金がたくさんもらえることがあり、これは将来のためにぜひ残してみてください。
 児童手当のように国からもらえるお金もここにいれておくと、日常生活費に消えずにすみます。
「児童手当を生活費に使って月1万5000円を積み立てる」のと「児童手当は全額貯めて、子どもの貯蓄ゼロ」はほぼ同じことですが、心理的には絶対、児童手当をそのまま貯蓄に回すほうが楽になります。

たしかに「児童手当の一部を将来の教育費のために貯金する」よりも、「児童手当(その他、子ども関連の収入)は口座を分けて全額貯金」のほうがシンプルです。毎月、いちいち頭使わなくてよいし、楽チンですね。

児童手当の全額貯金で将来の入学金問題が解決する!

さて、児童手当は全額貯蓄に回した。これって最終的にはどのぐらいの金額が貯まるものでしょうか?

 民主党政権時代に子ども手当拡充が議論されましたが、結局全額実現できなかったうえ自民党政権に戻ったところで手じまいとなりました。
 政策の筋としては悪くない「いいばらまき」だったと思いますが、今は児童手当のみが残っています。しかし、「入金されるたび、子ども名義口座に入れておく」というルールを守るだけで、高校と大学の入学金相当になるといったらどうでしょうか。
 児童手当は所得制限に引っかからなければ以下の金額が支給されます(新宿区の例)。

【所得制限額未満】
 ◎0歳〜3歳未満……1万5000円
 ◎3歳〜小学校修了前の第1子及び第2子……1万円
 ◎3歳〜小学校修了前の第3子以降……1万5000円
 ◎中学生……1万円

【所得制限額以上】
 ◎0歳〜中学生……一律5000円
 
 3年間は月1万5000円、12年間は月1万円とすれば、合計で198万円になります。これはおおむね、高校と大学の入学前後に必要な諸費用になります。
 日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査」(平成30年度)によれば、高校入学時の受験費用や納付金が31.9万円、大学が88.4万円となっています。合計すると120.3万円です。予備校の直前講座などの費用を含めてもなんとかやりくりできるほどのインパクトが児童手当全額貯金にはあるわけです。
 児童手当は毎月支給されませんので、毎月の生活費に回すのに向いていません。それよりは「入金されたら子ども名義口座に即座に移す」を習慣づけてみてください。
 子どもが小さい頃の家計は大変でも、高校入学の頃にそのお金が大助かりとなるはずです。

なんと!
子どもが生まれてからずっと支給される児童手当を全額貯めることで、高校と大学の入学金が賄えるとは!

アベノマスクだなんだと、普段はなにかと国に文句垂れてますが、こういう公平性のある制度はホント助かりますね。

ここまででもじゅうぶん実行性の伴ったマネーハックなのですが、著者の山崎さんはさらに過激なハックを提案します。

「貯めるだけ口座」なら暗証番号は忘れてもいい

 あなたがもし「貯めるだけの口座」を用意したいと考えていて、「どんな誘惑があっても絶対に下ろさない」と決意したとします。しかし引き出しの誘惑になかなか勝てないという人もいるかもしれません。
 子どもの名義にしてしまうのはひとつのよい方法です。自分名義であるより、子どもの名義にしておいたほうが、お金をおろす「抑止力」になります。
 しかし、もっと強力な方法があります。
 それは暗証番号を忘れてしまうことです。

 暗証番号を忘れてしまえば、お金を下ろしたくても下ろすことができなくなります。
「お金を貯める」はできて「お金を下ろす」を不可能にしてしまうことが、暗証番号を忘れることで実現します。
 実はこれ、私が子ども名義の口座で今やっていることです。子どもの教育費を貯めるための子ども名義の銀行口座の暗証番号が私の記憶と違っていることにある日、残高照会をしようとして気がつきました。
 単なるメモの控え違いだったようですが、考えてみると子どもが高校入学の頃まで下ろす予定がまったくない口座なので、そのまま気にせず使うことにしたのです。
「暗証番号を忘れてもいい。むしろその方がお金に手をつけずにすむ」なんて、まじめな人なら聞いて怒り出すかもしれません。しかし発想の逆転がむしろ効果をもたらすと考えれば愉快なマネーハックではないでしょうか。

「意図的に暗証番号忘れてしまうなんて・・・だいじょうぶ?」
「お金下ろせなくなるんじゃない???」

こう、お思いのあなた。大丈夫です。私もこの過激なハックを知ったときはそう思いました。でも、ご安心ください。

「下ろせない口座」は資産形成には最適解

 もちろん、暗証番号を忘れてしまったからといって、その口座が完全にロックされるわけではありません。
 入金ができるだけでなく、通帳の記帳もできますから、入金時にはできるだけ通帳も持参し、入金状況をチェックしてみるといいでしょう。
 そして貯めたお金が本当に必要になったときは、銀行窓口で「暗証番号を忘れてしまったので再設定したい」と告げればいいのです。
 本人確認など一定の手続きを行ったうえで、新しい暗証番号を登録します。
 今度はどこかにメモをしておくといいでしょう。
 子どもの高校入学が近づいてきて予備校の費用や受験費用が必要となったら、そのときは下ろして、ここまで貯めてきたお金を活用してください。何か人生でお金を必要とするイベントがあるときも下ろせばいいでしょう。
 また、借金をして金利がつくくらいなら、自分の貯金を崩すに越したことはありません。それまでがんばって貯めてきた自分を褒めて、堂々と下ろしてください。

よかった・・・。本人確認が済めば暗証番号を再設定できるので、安心して預金を下ろすこともできます。

下ろせない口座や下ろすのが面倒な口座は資産形成に向いている

 下ろすことが制度上無理になっている口座や、下ろすことが制度上面倒な口座は、資産形成を考えたらそう悪い話ではありません。
 会社の退職金制度はその典型で、基本的には辞めるまでもらえません。この仕組みがあることで日本人の老後資産形成はかなり進展しています。
「株をやって証券口座を持つ」というのも、下ろすのが面倒という点ではちょっとした歯止めになってます。タイミングを見計らって株を売っても、その売却代金の受け渡しには何日かかかり、それを指定銀行口座に下ろすのにまた1日かかるので「1週間弱かかるなら、なんとか他でやりくりしよう」という抑止力が生まれます。
 個人型確定拠出年金のiDeCoはもっと強力な制限があります。これは国が60歳以降の受け取りを条件として規定しているからです。iDeCo は老後に用いることを条件に税制優遇をつけているためで、解約したくても解約できないからです。
 私は一度、消費生活センターの相談員から質問を受けたことがありますが、本人が希望しているのに解約に応じないのは金融機関の不当行為ではないかと考えていて、法律上は絶対に解約不可なのだと説明をするのに苦労しました。
 言い換えればそれくらい強力な制約があるわけです。
 個人事業主や中小企業の役員、社長であれば、小規模企業共済が下ろせない口座としては便利です。こちらも税制優遇があります。なお、本当に困った場合は、一定の条件にもとづき積立額を担保に借入をしたり解約ができます。
 こうした「下ろせない」「下ろすのが面倒」な枠組みは資産形成上、意識的に使ってみるといいでしょう。

私はこの「子どものお金のマネーハック」を知ってから、セオリー通りに休眠していた某大手銀行の口座を「子ども専用の口座」にして、各種手当は自動的にその口座に振り込まれるようにしました。

暗証番号は・・・これを始める前から忘れてました笑

子どもが大きくなった将来の姿を想像しながら、マネーフォワードの画面で少しずつ貯まっていくのを眺めるのは、なんともいえない安心感があります。

で、冒頭の話に戻ります。

「特別給付金10万円はどうしますか?」

結論は「子ども口座に貯める」で一択!

・・・というわけで、いかがだったでしょうか?
こんな感じの役立つハックが満載の『大人になったら知っておきたいマネーハック大全』(山崎俊輔・著)

ぜひ、ご家庭に1冊。あると便利ですよ。

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