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機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM<ネタバレあり>感想 ※ガンダム歴30年超のファンからの目線

20年越しの集大成、大変良かったです。

シン・エヴァで10年待った時に、もう二度と無いであろう貴重な経験として噛み締めていたはずが、まさか20年越しでSEEDが来るとは!(トップガンは36年ぶり?の続編だったけれど、これはご褒美みたいなものかなと)
公開初日にしっかり観に行きました。
前日からXも開かずネタバレダメージコントロール、バレルロールしながら劇場に。

種運命で消化しきれなかった主要キャラそれぞれの物語、その道筋をしっかり示しながら、SEED的カッコ良さ、ファンが今作に臨むにあたって想像を膨らませていた要素、それらを期待の10倍増しでしっかり打ち返してきてくれた、凄まじいエネルギーを持った素晴らしい作品でした。

ガンダム歴30年超、SEEDとの思い出

ガンダム作品に初めて触れたのは、幼稚園年長の頃のZZの再放送。
その後にリアルタイムでV→G→W→Xとテレビシリーズを履修しながら、OVA作品もビデオ屋で借りてしっかり押さえ、ターンエーは当時デザインが受け入れられずリアルタイムでは敬遠してしまい、その後のSEEDが、高校1-2年の時。
1話目から最高にワクワクして、VHSで録画したものを何度も観返していた。
高2の修学旅行の時に、歴代ガンダムの中でも屈指の神回と評されるあの「舞い降りる剣」が放送されていて、修学旅行の自由時間に一人でホテルの部屋の鍵を閉めて見届けた。
修学旅行なのでもちろん相部屋。途中同級生が部屋に戻ってきてノックしても一切無視して視聴。
「舞い降りる剣」のあのシーンは、人生の中で最も反芻したシーンかもしれない。
今でも、Youtube公式などであの話数が放映されたら欠かさず観ている。
受験の時も、脳内BGMは「Meteor」が流れていた。
大学に行けたのももしかすると、SEEDのお陰かもしれない。
SEEDの結末に大変満足していたので、種運命が放映された際は、大学生活で忙しくしていたのも相まって、あまり食指が動いていなかった。
後半のキラ色が強くなってきたところでやっと、リアルタイムで追い始めた。
種運命をしっかり履修したのはその後、バンダイチャンネルでHDリマスターを無印含めて観た時だと思う。
そしてスターゲイザーは大変好みでした。
こう書いてみるとやはり自分にとってもSEEDは、シリーズの中でも特別な思い入れのある作品の一つだと自覚するばかりです。

本作の見どころについて

OPからの大気圏突入シーン、痺れました。
ガンダムで熱くなるシーンと言えば、大気圏突入!

事前にリリースされていたエンディング曲、「去り際のロマンティクス」の曲調から、不穏な展開も無くはないと心の準備をして臨んではいた。
どうもライジングフリーダムがリ・ガズィと被りそうな立ち位置だし、逆襲のシャアオマージュ、逆シャア的な結末も無くはないのではないかと。
実際、中盤のファウンデーションに圧倒されるあたりは不穏も不穏、これはキツい結末に向かうやつか、、と思いきや、ズゴックが出てきた時は、そう来たか!と少し安心。
ミレニアムで宇宙に飛び出すあたりから、「あ、これ大丈夫なやつだ」とかなり安心した。
ラクスがパイロットスーツ着始めた時だけはやっぱり逆シャアの流れ(チェーンにせよベルトーチカ・チルドレンにせよ)が来るのかと、少しハラハラしたけれども。

軍縮の流れ(そもそも種運命からずっと軍縮路線)での制式採用機で戦う前半、リミットブレイクな真打機で戦う後半という展開は想定通り。
しかし、後半の機体の輝きっぷりが想定を遥かに上回るものだった。
マイティーなフリーダムは超兵器過ぎるし、ジャスティスはズゴックだし、デスティニーはF91をタチ悪くした感じだし、何よりも、アカツキがアカツキしていた!
さらに、合理性ゼロ、ロマン100%仕様な動力交換型のデュエルとバスターがミーティアでリフトオフするものだから、サービスが過ぎる!

終盤の「笑ってはいけないガンダムSEED」の話で言えば、ムウさんの見せ場でOUTになりました

SEEDのムウさん「あーこれで退場しちゃうのかぁぁ心の準備はしていたけどツラい」
DESTINYのムウさん「きたぁぁアカツキかっけぇぇぇ」
FREEDOMのムウさん「やりよったw福田監督やりよったww」

回想ニコル、桑島さん生存ルート、不沈艦アークエンジェルをあっさり沈め、裏切らないアスラン!
20年越しだからこその、ファンの間でのネットミームにも応えるかのようなネタもテンコ盛り。

世界観や脚本について

まず、デスティニープランの話をしなければならない。
これは種運命を何度観ても個人的には全くピンと来ない、非現実的な施策としか思えていなかった。
SEEDでのクルーゼの絶望や暴走は分かりやすかったのに対して、デスティニープランはなんとも突拍子もなく分かりにくい、体のいい支配の形としても、イマイチ論理破綻している気がしてならなかった。
中の人繋がりで言えば、アクシズを地球に落とそうとするシャアさんよりはまだ直接的なアプローチの気もするが…
どちらにせよ、アムロさんからは「世直しのことを知らないんだな、インテリはいつも過激なことしかやらない!」と一蹴されそうなものだ。

そういう見方から言えば、今作で「アコード」という存在が補完されたことで、デスティニープランには一本筋が通ったというのはある。
人間の上位種にあたる存在が、一定のアルゴリズムに従って人間社会を管理する。
いや、その特徴はもう完全にガンダム00なのよ…

ということで、筋は通ったが、そこに真新しさは無い。
これはもう既にSEEDの時点で描くべきものは描いたのだから仕方がない、だからこそより根源的で抽象的なテーマ、人の愛、そしてSEED的エンタメに振り切ったのは、物凄く納得させられるものがあった。

あとやっぱり、巨大兵器って展開上便利だなと、妙に感心。
ユーラシアという複雑な立ち位置の勢力を、まさか丸々ね…
いつも通りのオーブを守る、打たれる前に打つ、という構図があっさり完成していた。
それにしても種運命で無双状態だったストフリがあっさり型落ち認定されるC.E.の技術発展が恐ろしすぎる…

シン・アスカという特異点

キャラについてもそれぞれキリがないぐらい言及したいところだけれど、やっぱり今作で特に語りたいのは、シン・アスカという特異な存在について。

種運命での扱われっぷりから悲劇の主人公(そもそも種運命も主人公はキラだとまで言われる始末)として知られ、彼が日の目を見るのはむしろその後のゲーム作品が主だったのではないかと思わざるを得ないぐらい、冷遇されていたシン。
ゲームの中でもスパロボは特に、DESTINY後のキラとの関係性や本来的な活躍を精緻に扱い、そこに救いを見出したファンも少なくないことだろう。

この長い冷却期間の中においても、シン・アスカという人物について想像を巡らせる機会が十分に供給されていたからこそ、今作でその答え合わせが出来たという面白さが、今作の醍醐味の一定割合を占めていると言っても良いのではないか。
監督も事前に、シンにはしっかり見せ場がある、と言っていたが、想像の10倍凄かった見せ場。
個人的にはそこまで思い入れのなかったキャラだったのに、今作を観終わった時にはしっかり好きなキャラになってしまった。凄い!

その他のキャラについて蛇足。

ミサトさんの分までしっかり艦隊戦を闘い抜いた感のあるマリューさん(中の人繋がり)

ガンダムのCV中村悠一キャラとしては新しかった線の細いエリート

戦術を戦略ですり潰すルルーシュ(中の人繋がり)

冷却期間の中で履修した他のSF作品達も肥やしになり、こういった視点でもしっかり楽しめたよ…
前年のグリッドマン・ユニバースでお祭り展開の楽しさも味わったばかりだし。

SEED的な作品には二度と出会えないだろう

SEEDと種運命で約50話ずつ通してテレビ放映すると言う、今ではもうほとんど不可能と言える作品展開。
この作品にリアルタイムで触れることが出来、そこから20年の間もあらゆる形でSEED作品を噛み締め続けてきたファンの一人としては、申し分のない終着点。
ファンの夢が実現したかの様なネタのテンコ盛り振りは、ファンとともに作り上げたと錯覚させてくれる感もあって、観た人が多幸感に包まれるのはそうした要因もあってのことだと思う。

目一杯の祝福を授けてくれる今作でした。
これで2,3年は余韻に浸りながら生きていけるので、その間に次の堪能出来るガンダムが出てくることを願うばかりです。

とりあえず、SEED FREEDOMをスケジュールの許す限りで、リピート鑑賞していきたい。

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