ルーマン『リスクの社会学』第4章メモ

1 観察のリスク


未来の偶発性という考え方から、決定不可能性という問題が生じる。そのような問題に対し、「規制可能な進歩」による対応が考えられてきたが、未来は現在における決定に依存しているがゆえにこの解決策は不十分なものとなる。
観察は区別を利用するが、他でもなくその区別を選択するということ、またその区別によって二つの側面の内片方を指し示すこと自体にリスクの問題が生じる。このリスクは区別を区別する(セカンド・オーダーの水準で観察する)ことによっても逃れられな[無限後退のようなもの?]。


2 機能システムのコード化にともなうリスク


この問題については、「リスクを増殖させリスクを個別化するところに、その解決策の基盤があ」り、「そのためのモデルは近代の機能システムにおける二元的コードの中に見いだせる」(96)。

[※作動によりコードの非対称性が破られ、また不可逆性という過去と未来の非対称性ももたらされる]

近代社会は、リスク行動を強化しノーマル化し脈絡化するための高度に個別的な形式を、二元的コード化という形式で保持している」(96)。つまり、システムはそれ二元コードに方向付けられた作動をそのシステムの作動として認識し、システムとその環境を区別し、システムの閉鎖性を組織化する。コード化された非目的論的なシステムにおいては、コードに基づいて決定がなされたとき、「その決定は次に生起する作動を前もって考慮に入れたかたちでのみ下されうる」(98-9)。このためこのようなシステムは終着点を見いだせない[未来が開かれている]。

「全体社会は、そのコード化を普遍化すると同時に個別化することによって、機能システム内でリスクを引き受けるよう促している」(103)。つまり、個々の機能システムにおいて、「二元コード化はすべての作動のリスク性を強化する」(102)。しかし、他方で二元コード化は「リスク性――少なくともその決定状況とかかわっているリスク性――を、そのつど用いられるコードの二つの値に限定してもいる」(102)。
しかしこのことはある機能システムにおいて容認できるリスクが他のシステムに対して予測不可能な影響を及ぼすリスクが生じることを意味する。

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