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その記録は、記憶を超える。 Google Pixel 3a.


これまでの写真は記録に過ぎない

私は、映える写真を撮らない。観光地に行っても、サプライズケーキが出てきても、あまりスマホを構えない。なぜなら、その風景も、あの構図も、Googleで調べればもっと美しい完成形が転がっているし、本当の美しさって人の記憶にしか残らない気がするからだ。
私にとって写真は記録に過ぎず、記憶を美しく切り取るものではなかった。だからカメラロールを辿っても、機械の内部構造や食べたラーメンの写真しか入ってない。

切り取る面白さの発見

去る金曜日、Google本社にてイベント「風景写真家が教える、夜景をキレイに撮る撮影会」 に参加した。講師は、写真家・文学研究者の別所隆弘さん。光が鮮やかに際立った風景写真で知られる。

写真の撮り方について知識を得るのは初めてだ。別所さん曰く、流線型の多い自然風景と異なり、都市夜景の基本は「直線」にある。

たとえば、この写真。放射状の直線が、東京タワーで結ばれる。

あるいは、縦横の直線が規則正しく並ぶのも、都市夜景の特徴だ。

直線を巧く捉えれば、あえて角度をずらすことで、水平的な風景で垂直的な印象を与えることもできる。

それから「円」もまた、世界に秩序を与えるのに一役担っている。「直線」と「円」を組み合わせることで、構図が一気に動き出す。人の目は、円を見つけるように設計されているのだ。

講義のSummaryは次の通り。これらをすこし意識するだけで、素人でも構図を効かせられる。

・基本は「直線」
・「円」を見つけると、「直線」が引き立つ
・三角形、楕円、S字、相似など、中学生で習ったような幾何学的図形は実はわりと世界に溢れている
・どうしようもなかったら、「世界の秩序」を利用

いざ、街へ!

講義を終え、Google pixel 3aを片手に夜の六本木へ繰り出した。別所さんの話を思い出しながら、スマホ画面の長方形で夜景を切り取っていく。構図を考えながら見る六本木は、いつもより幾何学的に見えるから不思議だ。

「見てご覧,なんで彼女は2台持ってるンだい?HAHA〜」

外国人から指を指されながら、gooogle pixelと手持ちのiPhoneXを比べて遊んでみる。上がGoogle pixel、下がiPhoneXだ。

●六本木ヒルズ

●毛利庭園


●六本木けやき坂通り


記憶を上回る記録を

肉眼での見え方に近いのは、むしろiPhoneXの方。Google pixelに記録された写真たちは、私の記憶にある風景より、ずっと鮮やかだ。光が光として、線が線として、丸が丸として、くっきりと描き出されている。

こんなに美しく切り取られた夜景を見慣れてしまったら、いつか本物の夜景なんて見向きもされなくなるのではないか?そんな危惧を抱かせるほどに、それはそれは、鮮やかだった。

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