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【著:妹】姉と花と虫

お久しぶりです。
きつねコンのです。

少し姉についてお話しします。

私たちは三姉妹ですが、単純に「姉」と言った場合はコンお姉ちゃんの事を表しています。長女の事を表す際は、「長女」と表記し区別します。



母親は、とても花が好きな人でした。
自宅で花を育てたり、花瓶に花を飾ったり、花を見に行ったり。花を楽しむ行為が好きな人でした。

そう言った行為に、私たち娘をよく巻き込みました。花の水やりに参加させたり、飾った花の感想を求めたり、花見に連れていったり。
特に花に対して強い興味はないが、拒絶の気持ちもないので、私はうまく付き合う事ができました。たいした手間ではない花やりをこなし、それらしい感想を言い、大人しく花見について行く。お花が好きな母親と、お花が好きな娘母親が求める母娘像を、私は苦もなく演出する事ができました。

でも、姉にはそれが出来ませんでした。
姉は私と違って、素直で嘘がつけないまっすぐな人です。やりたくない作業への参加や、お世辞や、行きたくない所での楽しそうなふりなど、いわゆる空気を読んで行う行為が苦手です。だからこそ、心のまっすぐさを理解できる人には、姉はとことん愛され信用されます。
逆に、うわべの交流しかしない人には、姉は空気の読めないツマラナイ人という評価になる事があります。産み育てた人なのに、母親は姉に対しての理解が浅く、姉を空気の読めないツマラナイ人と考えていました。さらに言えば、姉の事を理想とは程遠い娘と思っていたようです。

母親の考える理想の娘とはなんだったのか。おそらく、女の子らしい女の子、だったように思います。典型的な女の子、そういう可愛らしい娘を母親は求めていたのだと思います。

身内が言う事ではないですが、姉はそうとうビジュアルにおいて優れています。年が離れているので、幼少期の姉を見てはいませんが、現在の姿を考えれば相当可愛い女の子だった事は想像に難くありません。実際、写真で見た昔の姉は、お人形さんのような子という表現がぴったりな佇まいでした。

そんな、ビジュアル面では文句なしの可愛い女の子だった姉でしたが、性格はそうではありませんでした。
プリキュアよりも仮面ライダー。スカートよりもズボン。ピンクより黒色。好みの傾向が、母親の求める娘像と反対にありました。少年的でした。
母は姉を、「女の子らしくない」そう拒絶しました。たびたび姉の女の子らしくない選択や言動は、母の逆鱗に触れました。

少しでも女の子らしくしたい。女の子らしい娘にしたくて、母親は姉を花と関係を持たせようとしました。しかし、姉はこれをすごく嫌がりました。

花を見ると姉は「怖い」「気持ち悪い」と言いました。母にとって女の子が好きな物の代名詞の花を、怖がり気持ち悪がる姉の態度に激昂しました。

母は姉が、色鮮やかな花びらの柄を気味悪がる感性を持っている、女らしくない、そう考え激怒したのです。人の感性に対し、叱責する時点でどうかしていますが、母は大きな勘違いをしていました。

姉も花は美しいと思っているのです。
赤や黄色の鮮やかな花弁をみて、綺麗だと思う心はあるのです。ではなぜ、花を見て「怖い」「気持ち悪い」と姉は言ったのか。

女らしくない、そう母親に言い捨てられた姉ですが、極めて女らしい理由で、花を怖がり気持ち悪がったのです。

理由はです。
花を見た姉は、こう考えました。
花がある。色鮮やかだ。色鮮やかなのは、虫を呼ぶため。と言う事は、今は虫がいないけれど、いつか虫が来るかも…「怖い!」。そもそも、来よう来まいが、花は虫を呼ぶための存在…「気持ち悪い!」

花そのものではなく、花がある事で生じる虫のリスクを見越して、姉はリアクションしていたのです。

虫を怖がる、極めて女らしい感性。母親が望んでいた感性を、姉は持っていたのです。それを母は理解できなかったのです。
先々の事まで考える姉の発想の豊かさに、母はついていけなかったのです。

目の前で咲く花を、ただ色鮮やかな美しい物ではなく、機能を理解し虫を呼び寄せる存在と把握する。そう言う物事を深く考える力が姉にはあります。

虫が嫌いなだけなので、花柄や造花は結構好きだったりします。花自体は好きだけど、虫を呼び寄せる機能が嫌いすぎる。そういう事です。

その証拠に、姉の撮った写真を掲載します。

今年の春、姉が撮った桜の写真です。
姉にだって花を美しいと思う心があるのです。
ただ、実はこの写真、すごいズームをかけて撮られています。桜の木にも虫はいるはずのなので、近くに寄るのは怖いと感じた姉。離れに離れ、望遠ズームをかけて撮影していまいました。
後ろに下がり過ぎて、気づかぬ内に別の桜の真下に立っていた姉。本当に可愛らしい人だと思いました。


似たエピソードでいえば、姉は釣りたての魚が食べられません。魚自体は好きですが、竿で釣った魚は餌の虫を食べている、その発想に囚われて食べることができません。
なので、スーパーで売られている魚に「養殖」の表示を見つけると、喜びます。養殖なら、ドックフードみたいなものを食べて育ってるはず!と嬉しくなるそうです。



ふと思いだした、姉についての思い出をシェアさせてもらいました。
今後も姉を、お願いします。
おわり。

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