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やさぐれ小学生とポケモンの四半世紀

2月27日はポケモンデー。ポケットモンスターシリーズ初代の赤・緑が発売された日で、日本記念日協会の認定も受けており、正式に認められた記念日である。

ポケモンは2023年2月27日をもって27周年を迎える。同日23時からは公式YouTubeチャンネルで「Pokémon Presents」の放送が決定しており、最新情報を公開する予定で、多くのファンが心待ちにしている。かく言うわたしもそのひとりである。

記憶が定かではないが、わたしとポケモンとの出会いは確かに、26年くらい前だったように思う。

自分が最強だと信じ、嫌なものは頑なに拒絶し、入りたての小学校への登校さえも拒否しまくって親を困らせていた時分である。

そんな世間のあらゆるものに唾を吐きまくっていた不良小学生だったわたしが、自宅の駐車場でチョークを使って絵を書いて遊んでいると、近所に住んでいた伊藤くんが遊びに来てくれた。

今は既に交流のない伊藤くんであるが、やさぐれた同級生のもとに足を運んで構ってくれた懐の広さと優しさには感謝しかない。今頃、よほどいい男になっているのではないかと思う。知らんけど。

そして、そのとき伊藤くんが手に持っていたのが、ゲームボーイとポケモンであった。バージョンが何色だったかは覚えていない。多分、赤か緑だろう(それはそう)。

はじめて触れるポケットモンスターと言うゲームに、わたしは大変に夢中になった。伊藤くんのゲームボーイとデータを借りて、近くにあった草むらに入りバトルをする。なんだかかわいらしい(今見ると、初代のグラフィックはまぁまぁ怖いが)ポケモンを集めて、育てて、共に旅をする。そんなコンセプトにめろめろになってしまった。

(余談だが、あまりにもゲーム内のポケモンに愛着がわきすぎて離れがたく、ポケモンセンターに預けて回復するのを渋りまくって伊藤くんを困らせた記憶がある。一度預けたら、手元に戻ってこないんじゃないかと思った記憶があるし、伊藤くんはそんなわたしを説得してポケセンの重要さを教えてくれた。本当に伊藤くんには感謝しかない。)

伊藤くんにポケモンを体験させてもらったわたしは、恐らく親に相当におねだりをしてポケモンを買ってもらったのだと思う。

意気揚々とゲームをスタートするわたし。しかし、最初のポケモンにヒトカゲを選んだため、ジムリーダー・いわポケモン使いのタケシに全く歯が立たず、どうしていいか分からないと言って、早々に母親に泣きついた記憶がある。

母は「お母さんにも分からないわよ」などと言いながら、キズぐすりを大量に投入し、ヒトカゲの「ひっかく」でゴリ押ししていた気がする。意外に豪快な母の一面を垣間見た瞬間である。

それから26年間、細かなインターバルはあるけれど、わたしはポケモンと共に人生を歩んできた。

金・銀では新たな世界に胸をときめかせ、相棒のバグフーンとデンリュウ、ヌオーと共に旅をしたし、ルビー・サファイアでは橋の下でヌマクローにやられ、ヒンバスを釣ることでほろ苦い体験をした。

ダイヤモンド・パール(プレイしたのはプラチナ)では破れた世界とシロナの強さに恐怖し、ブラック・ホワイトでは伝説ポケモン→N→ゲーチスの鬼畜3連戦にふるえた。勝てる気がしなかった。

X・Yではなんかおしゃんな街でまあまあ迷子になったし、サン・ムーンでは家族の絆に涙し、リーリエの成長に感動した。

剣・盾ではワイルドエリアの洗礼にあい、そしてはじめてチャンピオンを倒すことにためらいが生じた。アルセウスでは野生ポケモンの恐怖を知り、そして共存していくという決断の偉大さと重さを感じた。

その間、不登校小学生のわたしは、いつの間にか学校に通うようにもなった。ポケモンは当時、大ブームだったし、放課後には友達と通信ケーブルをつないで遊ぶようにもなった。そして気付いたらすくすくと成長して進学し、あっという間に社会人になって、あれよあれよと言う間にアラサーである。

成長とともにゲームを離れたりする人ももちろんいる。でも、わたしはポケモンとともに大きくなったし、人生の一部になっているとも思う。

そんな存在に出会えることって、たぶんすごいことだ。

さて、最新作のポケモンSVももちろんプレイ済みである。そして本作でわたしは、26年間ではじめて達成したことがある。

ポケモン図鑑の完成だ。

わたしはストーリークリアをすれば割と満足してしまう性質なので、正直、図鑑を完成させたいと思ったことがなかった。

ただ、四半世紀以上ともに過ごしてきたポケモンというゲームにおいて、この年になって、改めて何か達成したいと思ったのである。

学生時代のポケモン友達とオンラインで会ってポケモン交換をしたり、ネットでつないで世界中の人と交換をした。インターネット経由で海外からニャオハがやってくるなんて、まさに「かがくのちからってすげー」を体験している。

それに加えて、やさぐれた小学生の自分が、いつの間にかちゃんと大人になって、そして子どもの頃に出会ったポケモンをずっとプレイし続け、これまでずっと達成できなかった「図鑑完成」というゴールに、到達したのはなんだか誇らしい。

もちろん、図鑑完成なんてやろうと思えばできるものだと言うことも自覚している。でも、天上天下唯我独尊を地でいくような登校拒否小学生だった当時のわたしからしてみれば、そんなことができるようになるなんて、たぶん思っていなかっただろう。

そんな四半世紀以上をともに過ごした「ポケットモンスター」というコンテンツに改めて感謝を伝えるとともに、27周年を盛大にお祝いしたいと思う。

ありがとう。そしてこれからも宜しく頼む。まずはSVの追加コンテンツを、楽しみに待っている。

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