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夜通し運転して作りに行った包丁 【0からラーメン】

みなさんは包丁がどのように作られているか、ご存知ですか?

FR0M SCRATCHでは0からラーメンを作っており、麺を切るための包丁も自分たちで作ります。

そこで今回は包丁を入手するため、福井県の鍛治職人のもとで越前打ちと呼ばれる手法をもちいて作成することにしました。

(FR0M SCRATCHとは何か?をこちらの記事で紹介していますので、ぜひ見てみてくださいね。)


そもそもどうやって福井県へ行くのか?

東京から福井

FR0M SCRATCHの活動拠点である東京から福井県越前市までは、直線距離でも300km以上ありますが、日本アルプスがそびえ立っているため大きく迂回しなければなりません。

そのため、実際の距離は500km近くにもなります。

東京福井間を移動する際の選択肢としては、新幹線だけでも北陸経由と東海道経由で2つ、他にも飛行機が挙げられます。

しかし今回は、人数が多く日程の余裕もなかったためレンタカーを利用し、東京を深夜に出発、交代しながら夜通しひたすら下道を進むという地獄のような旅程となりました。

東京から福井(車)


車でもルートは様々ですが、最も速い東海道経由で行くことにしました。
約550kmの道のりを10時間半かけてひたすら進んでいくことになります。

いざ出発

金曜日の午後9時頃、レンタカーを借りて出発しました。

職人のもとには朝の8時に到着予定のため、残り時間は11時間ほどです。休憩などを入れてのんびりしすぎると遅刻してしまいます。

10時間以上前から遅刻を気にしだすという状況がこの旅程の異常さを物語っています。

しかし深夜は渋滞とは無縁のため、順調に進んでいけます。小田原を超え、静岡県に入ったあたりで日付が変わりました。

職人の元へ

静岡県をひたすら突き進み、朝の5時頃には名古屋に到着しました。朝日が眩しいです。

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その後東海道を離れると、周りは一気に山だらけになりました。うねうねと曲がりくねった道が続き、国道というよりはむしろ酷道です。

山を越え谷を超えるといよいよ福井県です。

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一面に水田が広がっています。福井県は米の生産地としても有名で、なんと耕地面積の9割近くが水田なんだそうです。

また、信号機は雪に耐えるため横向きではなく縦向きに設置されており、雪国に来たという実感が湧きます。鉄道でもレールの分岐器にカバーがつけられるなど、雪国ゆえの様々な知恵が見られます。

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そしてついに……鍛治職人岩井さんの元にたどり着きました!

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いざ包丁作り

岩井さんの丁寧な指導のもと、越前打ちと呼ばれる手法をもちいて包丁を作成していきます。越前打ちとは14世紀頃に始まった手法で、元々は鎌を作るのにもちいられていたそうです。

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まず初めに、地鉄と炭素鋼が接合した長い棒を炉で熱します。炉は空気の送り込みを制御することで火力の調整が可能です。この作業は遠赤外線でジリジリと肌が焼かれるため、見た目に反して大変です。どうにか手がベーコンになる前に作業を終わらせることができました。

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十分熱して柔らかくなったところで取り出し、ハンマーで叩いて広げていきます。ガンガンハンマーで叩きつけるだけなので一見簡単そうに見えますが、叩く強さの調整が非常に難しいです。車のアクセルと似たような感じで、ペダルで強弱を調整するのですが、踏んでも上手く動かなかったり、急にゴンゴン動き出したりで大変でした。また、叩いた際に棒がズレないよう手で支えるのですが、ハンマーの威力が強いため負けないよう筋力が必要でした。

包丁1

普通に一方向から叩くだけでは四方八方に広がってしまうので、適切なタイミングで棒を立てて垂直方向からも叩いていきます。

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このように2方向から叩くことで先へ先へと伸びていき、少しずつ包丁の形へ近づいていきます。この時点で包丁の使用用途(肉を切る用、魚を捌く用、野菜を切る用など)に合わせて包丁の大きさを調整します。

包丁2

冷えてきたらまた炉に戻しもう一度熱し、同じ作業を繰り返します。刃の部分が完成したら柄の中に入る部分を伸ばしていきます。垂直方向から多く叩くことで細く出来ます。その後棒から切り取り、しばらく放置して冷やします。

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冷えたらハンマーで全体を叩いてならす荒仕上げという作業に入ります。ここでもハンマーと力勝負です。

包丁3

ならした後に余計な部分を切り落とす成型をし、包丁を約800度で熱する焼入れという作業に入ります。十分熱したところで取り出し水に浸けて急激に冷やします。この作業により鋼の強度が向上します。この作業に失敗してしまうと使い物にならない包丁になってしまいます。その上、800度に達したかどうかは色を見て感覚的に判断するしかありません。やり直しもきかないため、最も緊張する作業でした。

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次に包丁を研いでいきます。荒研ぎから始めていき約4段階で研ぐことで優れた切れ味を得ます。最初の段階では大きな機械を利用して荒く研いでいきます。ヴィーンという激しい音と火花を飛び散らせながら、少しづつ包丁が研がれていきます。ここでも機械に負けないよう力勝負で包丁を支えるのですが、一歩間違えれば自分の手を研ぐことになるという恐ろしい作業です。

包丁5

最後に柄を浸けて完成です!

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このようにして、ハードな旅程ながらも無事に包丁を作成することができました。

包丁作成は予想以上に難しく、「油断すると指が飛ぶのでは?」と不安にもなりましたが、誰も指を失わずにすみました。これら一連の作業を難なくこなせていけるのはさすが職人技!といった感じです。

岩井さんの越前打刃物に興味を持った方は、通販サイトがあるのでぜひチェックしてみてください。アフターサービスで包丁の無料での研ぎ直しもやっているそうです。

また、この貴重な機会を利用して岩井さんにインタビューをさせていただきました。次回はインタビューの内容を記事にして投稿する予定です。

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#FR0MSCRATCH #ラーメン #包丁 #越前打刃物

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