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私の00smusic#52

#511 Powder Blue by Elbow

英国グレーター・マンチェスターのバンドのデビュー作Asleep in the Backより。バンドコンペを経て、メジャーレーベルとの契約を勝ち取って制作するも、レーベル売却で話が破談になるという困難の後、もう一度体制を整えて、制作し直した作品だそうで。個人的にはDovesのLost Soulsと並んで、傑作の一枚かなと。中身が反映されたようなジャケットの青く暗く冷えた感じが印象的ですが、歌から発せられる感情も、全てのハーモニー、ギターやドラムの響きまで、隅々までコントロールされた世界観は圧巻で見事。

#512 Wherever You will Go by The Calling

カリフォルニアのロックバンドのデビュー作Camino Palmeroからのヒットシングル。いわゆる俗っぽい印象のメインストリームロックで、批評家たちにはウケは悪いけど、リスナーたちには好評で、よく売れた作品みたい。しかも、ゴールドだった本国だけでなく、わりと満遍なく売れて、推定500万とか書いてあるけど、ほんとかな。けど、どこか流れてて聴いて、好きになりました!みたいなユーザーの支持をかき集めたような感じになりそうなクオリティの良さっていうかな。安心感がありますね。

#513 Refugees by The Tears

元々スウェードのメンバー同士で、不仲で別れたブレット・アンダーソンとバーナード・バトラーが再びタッグを組むということで、当時も話題になっていたグループ。スウェードの作品は全く通ってこなかったので、その蓄積はほぼなかったんですけど、このアルバムを聴いて、思いの外、めちゃくちゃ良いな、と思い、もしかしてスウェードを聴いてこなかったことを後悔した方がいい?とまで思ったくらい。こんなにわかりやすくて、親しみやすいイメージもなかったんだけどなあ。2作目もあったら良かったのに。

#514 You Can Have It All by Kaiser Chiefs

デビュー作にして、いきなりUKのみで200万枚の爆発的なセールスを達成して、ゼロ年代特有のニューウェーブなブリットポップの代表格に躍り出た彼ら。あの当時はもうすでに80年代リバイバル勢が続々と出てきて、すでにそのムードは出来上がりつつありましたが、これが今爆発的に売れているという話を聞くにつれ、ついにその本丸が出てきたかなあという印象はあったかも。形から入ることで伝わりづらいことも、彼らの曲はその辺とてもわかりやすく上手くて、それがあっという間に伝わったんじゃないかなと思う。

#515 Same Jeans by The View

スコットランドのロックバンドのデビュー作Hats Off to the Buskersより。リバティーンズやアークテイック・モンキーズなど、若くて活きが良い、個性的なギターロックバンドが次々とデビューしていく中、次はどのバンドだ?っていったところで出てきた彼らは、学校でバンドを組んで、青春を纏いつつ、シーンに飛び出してきたギターバンドだったけど、どこかほのぼのしてて、切ないのも喜びも、みんなで肩を並べて分かち合う陽気なロックの良さみたいなのを堪能できるところがあって。なんか愛着もわいてきます。

#516 We Share the Same Skies by The Cribs

英国ウェストヨークシャー州ウェイクフィールド出身のジャーマン三兄弟で構成するロックバンドに加えて、元スミスのギタリスト、ジョニー・マーがバンドに加入した4作目Ignore the Ignorantより。元々ローファイなインディロックバンドとして、この年代を地力で成り上がってきたバンドのイメージだったけど、ジョニー・マーが加入することで、急にネームが上がり、本作で突然メジャー感が出てきたイメージだった。ここは賛否に割れるところだろうけど、持ち味は熟成されて、ウェルメイドな作品になったと思う。聴きやすく、良い作品。個人的には、彼らの本領発揮はマーが抜けた後からだと思っているので、ある意味、良い岐路を迎えられた場面だったと思っている。

#517 Bittersweet Bundle of Misery by Graham Coxon

ブラーのギタリストのソロ5作目Happiness in Magazinesより。ブラー作品は普通に都度聴いたりはしてたんですが、特別グレアムが好きということでもなく、このアルバムもなぜ手元に持ってるのか、全然覚えていないという感じなんですけど、でも聴いたら明らかにわかる格好良い、ガッツリギターロックな作品。結構これと、さらにギターロックのアクセルを踏み込んだ次作Love Travels at Illegal Speedsのお陰で、自分の中でのグレアムへのイメージが固まってるところあります。

#518 Away from Here by The Enemy

英国コヴェントリーで結成されたバンドのデビュー作にして、いきなり本国アルバムチャートナンバーワン作品We'll Live and Die in These Townsより。アルバムタイトルに掲げる若者の心情や、かつてのマニックスのA Design for Lifeやオアシスなどの労働者階級の成り上がり伝説で見るような、その感情を呼び起こす社会背景は、英国人たちにとっては則ちエモい感情にさせられるものなのだろうかという客観的な意見が何となく重なるんだけど、それがわかってか、まるで理解できてなくてか、ただ普通に格好良いと思えちゃうのがまた、我々から見た英国ロックの良さだったりして。

#519 October Swimmer by JJ72

アイルランド・ダブリンのバンドのデビュー作より。このハイノーツなボーカルは、完全にベーシストの女性メンバーが歌っているものだとばかり思っていたけど、実は別の男性メンバーだったという勘違いを、聴いた皆が起したと思われるくらい耽美で綺麗なボーカルで、とても驚いた記憶。しかも、このメロディや楽曲の美しさは、やはりアイルランド発ならではなのか、と思わされてたかな。かつてゆずやミスチル、奥田民生という名前が並ぶロックインジャパンの同ステージに彼らも出演したという謎のブッキングがあったことも思い出す。

#520 Say Something by Haven

イングランド南西端コーンウォール出身のバンドのデビュー作Between the Sensesからのシングル曲。ジョニー・マーに認められた才能という触れ込み、叙情的で美しいメロディに、聴かせてくれるボーカルを持つ、ある意味最も正統なUK産のロックバンドという魅力。レーベルの事情が優先されて、3作目以降の作品が続かず、バンドが解散してしまったのは残念でしたけど、ファンも多くついていたのか、来日も積極的だったようで、もしもっと長く続いたら、と思わせてくれる、とても惜しいバンドでした。


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