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ワインの時事通信 ボルドーに新たなAOCが誕生?

いつの間にか赤ワインがおいしく感じる季節になりました。
今日はAOCに関する面白い記事を発見したので、ご紹介します。

ファッション雑誌では、秋になると「ボルドー色」の、深みのあるこっくりした素敵な洋服や小物、化粧品が誌面を飾ります。
フランス語の辞書でも「ボルドー」を引いてみると、地名のほかにも「赤紫色」と出てきます。

ボルドーといえども範囲は広く、土地によって土壌の特質や栽培されるぶどうの品種が異なり、ワインの特徴も異なります。その中でも力強く、濃く、複雑で高品質なワインを生み出すのが、ガロンヌ河の左岸に位置するメドック地区。

この地区にはAOC(原産地呼称統制)が併存しています。AOCとは、フランスワインのラベルに「Apperation Margaux Controlee」と書かれているもので、ワインの品質や産地を保証するものです。このAOCにはランクがあって、最も質の良いワインは、コミューン(村)名を名乗れます。「マルゴー」や「ポイヤック」など。その次が地区名で、「オー・メドック」や「メドック」、最後が「ボルドー」です。

村名AOCは、ぶどうを栽培する区画の範囲が狭くなり、その名を名乗るには品種はもちろん、樽の使用や亜硫酸の使用料などといった醸造方法といった多くの条件をクリアする必要があります。逆に「ボルドー」と名乗れる範囲は広く、条件も緩和されます。

しかしこの厳密なAOCの区分は赤ワインの話であって、白ワインにはコミューンや地区名のAOCが存在せず、銘醸地メドック地区で作られたワインもAOCの表記は「ボルドー」となります。

こんな状況なので、メドックの多くのシャトーは黒ぶどうを栽培し、赤ワインを作っています。伝統的に、というのもありますが、AOCは品質が保証された肩書みたいなもので、それをラベルに表示することで高く売れますから。しかし、この地区でも白ワインを作り、販売しているシャトーもいくつかあります。有名なシャトーでいえば、シャトー ラフィット ロートシルトやコス・デストウルネルなど。しかしどんなにおいしいワインを作っても、白ワインにはメドックのAOCを名乗ることはできないので、「ボルドーワイン」として、他の地区で作られる安いワインと同じ扱いをされているのが現状です。

このような状況の中、今年7月にメドック産白ワインのAOCがメドック地区のAOC管理委員会(※直訳)で承認されました。今後、世界的に高まっている白ワインの需要を満たす体制を整えること、また、地球温暖化に伴い、現在栽培が認められているぶどうの品種が育たなくなる可能性を見越した対応のようです。

とはいえ、白ワインとして認められる境界線を新たに定めるわけではなく、高品質な白ワインを作っているメドックとオー・メドック、リストラックの3つのAOCの地区を合わせてメドック・ブランと定めるようです。

国の原産地呼称管理機関であるINAOで審査が通れば、今後はメドック・ブランとしての呼称が保証され、他地区で安価でに大量生産されているボルドーワインとの差別化が可能になります。INAO審議は2023年1月予定とのこと。

今後も目が離せません。

※この記事は下記フランスのワインメディアの記事をもとに書きました。記事の逐語翻訳ではありません。


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