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ココロを休める日曜日

フランスはいつもだと日曜日は大半のお店が閉まっている。スーパーも午前中だけというところが多い。それで、日曜日といえば夫の実家に行く時をのぞけば、家事など用事を済ませたら、ぶらぶら散歩をするか、家でのんびりしているか、ぐらいしか過ごし方がない。渡仏した当初は、「なんだか、退屈…」と思っていた。車があると自然のなかへ行ったりするんだろうけどウチは二人とも車に乗らない。

夫は歩くのが好きな人なので、日曜の午後は散歩をするのが定番の過ごし方になった。そして、お店が開いてなくても街散歩が楽しい事を発見した。閉まっている商店のウィンドウを気兼ねなく覗き込んだり、普段は目に入ってこなかった建物のちょっとした装飾に気づいて愛でたり、ベンチでちょっと休憩すると、いつも見ている風景が違って見えたり、時々知っている人に会って道端で話し込んだりすると、いつもと違った日曜になる。散歩を重ねるうち、日当たりがいいとか、人通りが多くて見ていて楽しいとかいう理由でお気に入りのベンチもできた。

お店は閉まっていても、街にはまあまあ人がいる。一人でも、二人でも、大勢でも、どんな年代でも散歩している。日曜に家族が集まって食事したあとに散歩に出たんだなというような一団に会うと微笑ましい。前に住んでいた街は大聖堂の前に大きな広場があって、皆の憩いの場になっていた。日向ぼっこをしたり、本を読んだり、昼寝をしたり、お喋りをしたり。子供や犬は広い場所ではしゃぎまわっていた。私たちもそんな中に交じって、大聖堂を眺めたりしながら、本当にのんびり過ごした。のんびりしている時って時間もゆっくり流れるようで、たっぷり過ごしたなと思っても、30分とか45分ぐらいしか経っていない時が多かった。最初は「退屈」だと思っていた日曜日は、散歩してリラックスして、ココロを休める日だという認識に変わった。

2度目の外出規制がかかってからも時間と範囲に制限はあっても散歩はできたので、心ゆくまでという感じにはならなくても、できるだけ散歩するようにしていた。

そして。
フランスの外出規制が28日の土曜日から緩くなって多くの商店が営業を再開。私たちも街に繰り出した。新しい大きな街に引っ越してきて、お店がたくさんあるぞというワクワクで胸が膨らんでいた。実際は、入場規制で行列になっているお店は素通りしたり、すぐ入れても混んでる場合は用心して出てきたりしたのだけど、まあまあショッピングを楽しんだ。
そして翌日の日曜日、普段なら日曜は営業できないお店も、売り上げを挽回するために営業ができることになったそうで、多くのお店が開いているという情報が。私たちも、土曜に回ることができなかったお店に行ってみたくてまた街へ出た。散歩がてらのんびりという気持ちではいたのに、セール品なんかを見ると本気の品定めになって、散歩がてらなんて気持ちは吹き飛んだ。こうして週末の二日間とも、ほとんどショッピングで終わった。

そして月曜日の朝、なんだか、いつもの月曜の朝と気持ちが違う。十分休養した感じがしなかった。実は日曜の晩から、「あっけない週末だったな」という何か居心地の悪い気はしていたのだ。夫に聞いてみると、夫も私と同じように感じたみたい。これはいけないと思い原因を考えてみた。引越しの疲れがまだ取れていないのかしら?土曜も日曜も買い物に熱をあげて「のんびり」「ぼーっと」することを優先しなかったから、気持ちが休まらなかったのかしら?、大きな街へ来て、久しぶりに人混みにもまれたからかしら?等と考える。どの理由も間違ってはいないと思う。

毎日、穏やかに朗らかに過ごすには、自分の気持ちと上手に付き合うことが大事だなと思っていて、そのためには、気持ちのモヤモヤやスッキリしない感じに気が付いたら理由を考えてみることにしている。次の日曜は日当たりのいいベンチでも探しながら、ココロを休める時間をたっぷり取ってみることにしよう。

今日も読んで下さり有難うございました!

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