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ちょっと自己紹介(長め)

パリ在住の観光ガイドです。
2014年、フランス政府公認ガイド資格を取得。
なぜフランスで観光ガイドになったのか?
その経緯を紹介します。


学習院大学文学部哲学科卒
就活など一切せず、何も考えず、フランスに語学留学。
あえて理由を言えば、仏文の教授がなんとなくカッコ良かったから。

フランスの地方都市、レンヌ(仙台と姉妹都市)の語学学校に1年通う。
フランス語を習得するためには、フランス語「を」学ぶのではなく、フランス語「で」何かを学ばなければいけないと確信する。

翌年、レンヌ第一大学哲学部学士最終学年に編入(つまり3年次。フランスの学士は3年制)。授業に全くついて行けず、教室の隅で泣く毎日。
見かねたクラスメートが自分のノートを全て僕にコピーさせてくれるようになった。
アルジェリア出身のアリ君は、現在哲学博士、レンヌ大学で講師をされているそうだ。素晴らしい!

赤点、補習を受けながらも、なんとか卒業。
哲学の面白さに目覚め、修士過程に進む。

日本でも優れた教授たちに囲まれていたが、自分の知的能力がカメムシ以下(カメムシに失礼?)だったので、面白さに気づく前にタイムアップ。

修士号取得後、特にやることないので、博士課程に進む。
特に覚悟も決めず、なんとなく博士課程に進んだため、研究者になる壁の高さに愕然とする。今の自分には無理だと思いながら、2年間を無為に過ごす。
このとき一番やったのが、なぜか、柔道。フランスではじめ、黒帯をとった。初段。

人生に迷いまくり。フランス語できるかもしれないが、できるから、何?
この時点でフランス留学は7年目。日本に帰るとしても、かなり中途半端。
フランスで大学生活を7年もエンジョイし、なんの学術的な業績もなく日本にのこのこと帰ってきた人間、どの会社が欲しい?自分が人事だったら絶対採用しないわ。

当時、大学に在籍しつつ、勉強にも身が入らず、レンヌの街をふらふらと徘徊するかなりやばい人間でした。

ある日、レンヌ駅付近を歩いていた際、添乗員さんが日本人観光客を連れてモンサンミッシェルにいこうとしていた。
知っている方もいらっしゃるかもしれないが、レンヌは、モンサンに一番近い地方都市で、パリから電車で行く場合は、このレンヌ駅まで新幹線(TGV)、ここからバスに乗る。

その時、「これだ!」と思った。

自分がフランスで経験してきた様々なことを、伝える仕事、観光ガイドこそ、私の目指す道なのではないかと。

旅行業界に入ってみると、その時私が見た添乗員と今の私の仕事のガイドは全く別の職種だった。それ以外に、アシスタントなど、業界の中の職種は細分化されていて、必要なライセンスも違う。
だが、そんなことは当時全くわからなかった。
添乗員を見て、ガイドになろう、と思った。ダイバーを見て、漁師になろう、みたいなものか。

どのようにガイドになれるのか早速調べてみると、大学で歴史、美術史、あるいは外国語を最低2年間専攻し、その後特定の大学のガイドコースにて1年、とある。つまり、3年かかることがわかった。
博士課程に在籍していたが、もう一度学部1年からやり直し。
当時、私は28歳。うまくガイド資格とって、31歳。そして、その後の仕事は保証されていない。

悩みに悩んで、ガイド資格を目指すことにした。大学生9年やるのも、12年やるのも、はたから見れば一緒だろう!

そんなことで、29歳で、先日まで高校生だった19歳のフランス人のクラスメートと机を並べながら、美術史を学ぶことになった。
年こそ違えど、楽しかった。
年齢が上だから、敬語、とか、そういう文化はないので、普通に友達になったし、ノートを見せてくれる友人も何人もいた。
むしろ、俺はガキじゃない、と壁を作っていたのは自分自身で、もともと博士課程にいたんだぞ、的なくだらないプライドを捨てる方に時間がかかった。
これを捨てるためには、サンチアゴ・デ・コンポステーラの巡礼で450km歩く経験をするのだが、まあ、それはいつか話しますので、よかったら聞いてください。

美術史の授業で知ったのが、

見慣れていた絵画が全く別様に見えた時の驚きと快感だった。
(ちなみに、哲学にも同じ快感がある。哲学の快感の方が、強く、そして危険、笑)

芸術作品とは、外国語文献のように、読み解くものなのだ、と衝撃を受けた。

美術史、めちゃくちゃ面白いじゃん!

授業中、鳥肌が立ち、心の中で「ウオォ〜、まじか!」と叫んでいる自分がいた。

美術史がめちゃくちゃ面白かったから、勉強できた、んだと思う。
美術史の教授陣がめちゃくちゃ優秀だったので(自分にはその面白さが分からない先生もいたが)、なんとか2年耐えることでき、3年目には、リヨンのガイドコースに入って、ガイド資格を取ることができた。

そういった意味で、私は、美術史に救われたと思っている。美術を理解する面白さに救われたんだと思う。
もちろん、自分が美術を解説して人を救えるなんて思っていないが、それでも、美術解説を通して一人でも多くの人に美術をみる楽しさが伝わったらいいなと思っている。

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っていうよりも、大学の学費は?と思った方に。
フランスの国立大学の授業料は、年間約2万円ほど。(2019年より制度改革があり、ユーロ圏以外の学生は年間の学費が30万円ほどになってしまった。)
正規の学生になると、国から家賃の半分ほどの住宅保護が出る。外国人でももらえる。
そして、運よく、レンヌの日本食レストランでバイトすることもできた。
学生時代は、フランスの制度に、レストランの日本人経営者に助けられた。

そして、ガイド資格を取った後も、自分を実の息子のように心配してくださる恩人にもお会いできたが、その話もいつか話したい。

いろいろな方のお世話になりながら、ここまで来ることができました。
皆さま、本当にありがとうございます。
これからも、頑張ります。

YouTubeの動画がありますので、まだ見たことない方は、是非ご覧になってください。

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