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(コラム)航空整備士になるには?その3

前回のコラムの続きです。

「その1」では、飛行機や、ヘリコプターを整備する会社にはどのように就職するのか必要な資格や、そもそもどんな会社があるのかを説明しています。

「その2」では、就職に必要な資格は学校で取ることができるのか、メリットはあるのかを解説しております。

今回の話の前提にもなりますので、まだお読みのない方は下記からご覧ください。


(おさらい)航空整備士の資格取得の条件は?

現状、最も現実的な「二等航空整備士」を例に取って話を進めていきます。

資格取得の条件は
1、年齢
2、経歴 に大別されています。

年齢は20歳、では経歴はというと・・・

次に掲げるいずれかの経験を有すること。

イ 技能証明を受けようとする種類の航空機についての六月以上の整備の経験を含む三年以上の航空機の整備の経験

ロ 国土交通大臣が指定する整備に係る訓練課程を修了した場合は、技能証明を受けようとする種類の航空機についての六月以上の整備の経験を含む一年以上の航空機の整備の経験

航空法施行規則 別表第二(23年12月現在)

今回は「ロ」について掘り下げてみましょう。

まずは後ろの文の
「技能証明を受けようとする種類の航空機についての六月以上の整備の経験を含む一年以上の航空機の整備の経験」
は、前回の記事で説明した「イ」ものと同じです。

・とりあえず1年、航空機を整備してね
・そのうち6ヶ月分は受験しようとする航空機ね

ということです。(航空機の部分を、飛行機とかヘリの読み替えてください)

ではの文の
「国土交通大臣が指定する整備に係る訓練課程を修了した場合は」
の部分を解説します。


指定航空従事者養成施設って?

「国土交通大臣が指定する整備に係る訓練課程」を行うことができる施設があります。
国から承認を受けた専門学校や、エアライン会社、航空機整備会社が該当し、「指定航空従事者養成施設」と呼ばれます。

その名の通り航空従事者(=航空整備士)を育成する施設として、国土交通省が設定しています。

なぜこのような施設や制度を設定しているかというと、国の人員だけでは毎年増えていく整備士受験生全員をチェック、審査しきれないためです。

整備士資格の試験は複数の項目を何時間もかけて行います。
それに対して受験生は年々増え続け、国の審査員の人数には限りがある・・
対応しきれなくなると困るので、私たちくらい知識や経験のあるエアラインの社員や専門学校の教官に代わりに審査してもらおうという意図です。

民間のリソースを用いるわけですね。
国の試験官の代わりに受験生の審査をする人は「技能審査員」と呼ばれます。


合格率は高くなるの?

今までの話をおさらいすると、資格を取得するには
1、最終的に国の試験官に合格をもらう 
2、指定航空従事者養成施設の技能審査員に合格をもらう 
のどちらかになります。

これはあくまでも私個人の感覚ですが、仮に同じ勉強量と質であっても2の方が合格率は高い気がします。
なぜでしょう?同じ学校の先生や会社の上司が試験官だからでしょうか・・・

さまざまな型式の航空機、資格の種類がなるので、この議論はひとくくりに答えられませんが、いずれにせよ決められた試験科目、判定基準に沿って試験は行われます。

また専門学校によっては、◯ %と公表しているところもありますので学校選びの際の参考になると思います。

学校や整備会社は認定を取るべき?

少しビジネスチックな話になります。
学校としても会社としても「指定航空従事者養成施設」の認定を受ければ、メリットが多いのではとの考えが浮かぶ方もいるかもしれません。

もちろんその通りです。
学校の場合
高い合格率をパンフレットなどに載せれば、集客(生徒募集)が容易になります。

会社の場合
資格者が増え、業務量をより増やすことができます。

しかし全ての学校や会社が認定を受けれるわけではなく、国の基準に基づいた検査に合格し、それを維持しなければなりません。

ちなみに基準には、教育施設の状態、教育の内容、技能審査員の経歴など様々な観点からチェックされます。

「技能審査員」もちゃんと受験生を審査しているか、国にチェックされます。
2年に一度くらいの頻度で、試験中に審査員をチェックしに来るので、
受験生にとっては
・技能審査員
・国の試験官
両方を前にして、試験を受ける羽目になります。
その場合は不運としか言いようがなく、ごまかしは効きません。

具体的にどのような学校、会社が該当する?

以下は国土交通省が公表している資料からの一覧です。(順不同)
学校選びや、就活の企業選定にお役立てください。
(整備資格以外にも操縦資格の施設も記載しています。)

  • 日本航空株式会社運航本部運航訓練部

  • 全日本空輸株式会社フライトオペレーションセンター

  • panda・Flight・Academy株式会社

  • 本田航空株式会社

  • 公益財団法人日本学生航空連盟

  • 公益社団法人日本滑空協会

  • 学校法人東海大学 東海大学飛行訓練センター

  • 学校法人法政大学法政大学飛行訓練センター

  • 学校法人ヒラタ学園航空事業本部

  • 岡山航空株式会社

  • 株式会社JALエンジニアリング人財開発部

  • 全日本空輸株式会社整備センター教育訓練部

  • 学校法人神野学園 中日本航空専門学校

  • 学校法人浅野学園 国際航空専門学校

  • 千葉職業能力開発短期大学校

  • 学校法人日本航空学園 日本航空大学校北海道

  • 学校法人日本コンピュータ学園 東日本航空専門学校

  • 学校法人日本航空学園 (専)日本航空大学校

  • 学校法人君が淵学園 崇城大学

  • 学校法人ヒラタ学園 大阪航空専門学校

  • 学校法人朝日学園 成田国際航空専門学校

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