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ムスタンへの旅 11 (ローマンタンで足止め)

ローマンタンに到着し、宿が決まり、さて明日はいろいろ見物しよう、馬で遺跡やゴンパを回るのはどうか?? そんな事を宿の親父さんと話したが朝起きると宿の部屋から見る景色は一変していた。
寒波が訪れ夜吹き出した風は夜中にはすっかり吹雪になり昨日雪解けが見て取れた景色は一面真っ白に。
部屋の窓はサッシではないので隙間から吹き込んだ雪は窓辺に10㎝ほどの雪だまりを作っていた。

食堂に行くと宿の親父さんはチベットのお経を唱え、奥さんは朝食用に
ディド(そば粉で作ったそばがき)を作りながらACAPから「村から出るのは危険だから遠出は控えるように」と連絡があったことを教えてくれた。

この日を境にローマンタンから動けない日が始まった。 
一日数時間どこかで風が弱まる時間、時には太陽が出る時間があるので
その隙を見て村内を見て回ったり、屋根に積もった雪を雪かきしに出かけることはできたが、離れた遺跡に行くことや帰路に着くことは出来ない。

電話が通じるとポカラの友人に電話し天気予報を確認したり、今後について話し合った。 

ガイドもトラックのドライバーに連絡を取り現在の状況を聞いていた。  しかし「今のところ運行できる状況ではなく また連絡してくれ」となり 相当状況が悪いことが感じられた。そうやって一日一日が過ぎていく。

ローマンタンでは多くの顔見知りが出来 色々な話を聞くことが出来たが 結局5泊閉じこめられるように滞在することになった。 

私は外部の人間で ここから出て通常の生活に戻ると昔話になるのだろうが
彼らはこの生活をずっと続けていく。 私は今回仏教に支えられて生活している人々を垣間見るという貴重な経験が出来た。