そもそもの始まりは。

確かその頃、胃がん健診でひっかかって内科に通っていた。心配とは裏腹に胃カメラも異状なし、ピロリ菌も除去して、一応腹部エコーを撮ろうとなったのが全ての始まりだった。

検査技師の方が腹部を強めに押して「痛くない?」と私に聞いたのだ。私は「いいえ」と言った。本当に痛くも痒くもなかった。

結果も主治医が「異常なし」で終わるはずだったのが、検査技師さんから(だと思う)の申し送りで、腫瘍のようなものがあると耳打ちされ、主治医は慌ててパソコンをスクロールした(この時点で私の彼への信頼度が下がりはじめた)。

なんやかや説明してきたのを返事しながら聞いていた私に彼は半ば嬉しそうに言った。

「がんだよ、がん」

今思えばこれはがんではなかったし(先走った誤診ですね)、彼自身あまり遭遇しないゆえ、興奮したのだろう。

そもそも、腹部エコーのみで断定し、告知するのは軽率だと思う(故に私はあれ以来そのクリニックには絶対行かないと決めている)。

ただ、放ってはおけないので大きな病院へ行って、また、怒られた。痛くも痒くもないものだから、結果的に放置してしまったことになって怒られたのである。

結果はがんではなく卵巣嚢腫。

ホッと一息ついたときだった。ちなみにこの時の入院生活は話し相手が2人も出来て、まあまあ楽しかった。彼女らはどうしているだろう?

でも、話はこれでは終わらなかったのである。

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