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豹変!

大した内容じゃないけど、少しツッコミを。
ある人がこう言ったらしい。
「豹変っていい意味だったんですね!悪い意味だと思っていました!」
確かに、実は豹変は良い意味なのである。
書籍で養老孟司氏が述べている様に、「君子豹変す」が原義であり、君子である人は過ちを自覚したならば豹の身体の模様の様にきっぱりと切り替わる事が出来る、という意味のポジティブな意味の言葉であり、何となくネガティヴイメージのある豹変という言葉とは実は逆のイメージの言葉だったりするのである。
しかし、養老氏はとある認識違いをしていることがその後の記載で分かる。
「きっとこの人は変化することが悪であり、変わらぬことが良いことだと認識しているのだろう。」
うん、おじいちゃん、昨今の誤用は別のベクトルだと思うよ…
近年の良くある用法の一例はこの様なものである。
「優しかった彼が結婚したら豹変した。」
元々の字義通りの意味であれば、彼氏が何か改心した事になるのだろうが、そうではない。
まぁ、きっと結婚する前は良い彼氏だったのだろうと推測できるが、確かにそのままの状態で無かった事を嘆いているのは間違いではない。
ただ、変化しない事を美徳としている、というならば、本来の意味で使っていたとしても悪いニュアンスであると認識されるはずである。
そうではないだろう?
現代語としての「豹変」のニュアンスは「良かったものが突然(何の前触れも無しに)悪転する。」というものであろう。
つまり、変わってしまうから悪いのだと思っていた、という認識は誤りで、本来と全く逆のニュアンスが一般に定着した結果である、という理解が正解なのである。
養老氏は東大出の医者で東大教授であるので、恐らく俗な言葉遣いへの理解が不十分なのだろう。
それでも、本を書かせるなら校正の人間が指摘してあげても良かったのではないかと思ってしまう。

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