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三方ヨシ!

今読み終わったのは、駒崎弘樹氏の「「社会を変える」を仕事にする」である。
その本を読み始めて一番最初の印象は、フローレンス?公金チューチューの話題で聞いた気がする…というものだった。
公金チューチューとは、暇空茜氏という人物が、某社会活動家界隈の補助金の不透明な使用に対して、公金を吸い上げて甘い汁を吸おうとしているスキームであると批判する時に使っている用語である。
何度も言及しているが、私は生粋の左翼嫌いである。
ちなみに、上記の本にも所々左翼感が滲み出ているので、やっぱりなと思ったりもした。
とはいえ、彼のやっている事業自体は極めて有意義なものだと思っている。
彼の事業は病児保育であり、その必要性は私の前の職場に同年代の子持ちの同僚が沢山いたため、まだお世話になっていない私でもその必要性は理解できる。(まだ、体感はしていないが…)
ぶっちゃけ、片方が専業主婦(主夫)だったり、親のサポートが受けられるなら問題ない話ではあるが、現代の核家族化共働き化の時代においては必須となるだろう。(うちだって、妻には育休後は復帰して欲しいとは言ってるし…)
なんせ、保育所すら足りないと言われる状況にも関わらず、子供が少しの熱を出しただけでも保育を断られるのである。
そりゃあ、周りの子供や職員に感染するリスク、病児の病状が悪化するリスク、隔離部屋の用意、医師との連携、更には通常サービスにしようもんならモンペ対応まで付いてきかねないのであるから、通常の保育所が尻込みするのも理解はできる。
先述の本にも記載されているが、完全に非採算事業であるため、参入事業者も殆どなく、規模も小さいのが現状である。
その状況を良くしようとする事業が極めて有意義であることに異論はない。

さて、本題に入ろう。
そもそも、私は基本的にNPOやNGOと言った類のものは信用していない。
言っちゃあ悪いが、左翼…とまでは言わなくともリベラルの温床になりやすいからである。
営利企業はキチンと利益を出すというホンネをベースにしている一方、NPO等は根本が綺麗事なので、その本音が見えにくいからである。
それならば、サッパリと営利企業が事業活動としてやった方が信用できるのである。
我が国においては、NPO等の活動が欧米に比べて低調だと言われている。
これは、寄付文化が根付いていないことと並んで日本サゲによく使われる文脈である。
所で、標記の言葉は聞いたことがあるだろうか?
「三方よし」
これは、近江商人の格言と言われており、その意味は「売り手、買い手が共に得をするとともに、社会にも貢献する仕事をする」というものである。
買い手にキチンとした価値を提供し、売り手は正当な対価を得て、その商売自体が社会を豊かにする、そうした考え方である。
営利企業は社会貢献をしない、というのはあくまで欧米の旧来の価値観であり、日本には古来からビジネスを通じて社会貢献をするという意識が根付いていたのである。
欧米企業がこれ見よがしの寄付や慈善事業をするのは、ビジネスで悪どいことをやっている罪滅ぼしであって、ビジネス自体で社会貢献をするという意識はそもそも皆無なのである。
ただ、残念ながら我が国も戦後には欧米ナイズされた企業が大多数となり、こういった男気のある企業は絶滅危惧種だということは事実であり、極めて残念なことである。
最近ではCSRなるものが流行っているそうだが、我が国ではそんな横文字が存在する遥か前から文化的に根付いていたのである。
であるからして、日本企業は流行りの横文字を使う前に、我が国古来から大切にされていた価値観を思い出して、真摯にビジネスに取り組まなければならない。
SDGsなんかも同じである。

とはいえ、どうしても必要だが非採算事業とされて民間ではやれない事業というものも存在するのは事実である。
現在、そうしたものへの対処には、それこそ政府や自治体がNPO等に補助金を払ったり、委託事業としてさせている、というのが現状である。
採算もトントンかむしろ赤字経営で、それでも社会的に必要な仕事としてやっておられるNPOには頭が下がるのは同意である。
ただ、残念ながら、不透明な会計処理があったり、そもそも事業内容が本来の意義からして極めて怪しいものであったり、挙句金をもらいながら反政府活動をしてたりと左翼の資金源になっていると疑わしい事例も取り上げられている。
ヨガ教室で女性活躍!だなんてやってるNPOが補助金を受け取っていると聞いて、空いた口が塞がらなかった。
省庁によっては、どう考えても必要な予算を請求しても、財務省からにべもなく切られるなんてことが多々ある。
当然、監査検査でその用途の効果まで厳しく査定される。
にも関わらず、こんな意味不明な事業に金を垂れ流せるのかが理解できない。
もっとも、それは中央省庁の話なので、自治体は甘々なのかもしれない。
だとすると、予算費途の妥当性をチェックする役割は都道府県や市区町村の地方議会議員のはずである。
そもそも、前述の本でも述べられているが、訳わからんNPOの補助金だけではなく、広報のためのアンパンマンショーに800万の予算が付いていたなんてこともあるそうである。
また、復興予算の配当をサイボーグ一本松やイカのモニュメントに使うなど、訳わからん出費がどうして認められているのか理解に苦しむ。
当該自治体の職員(首長を含む。)の質が低い上に、その自治体の議員が無能か職務怠慢だとしか考えられない。
財務省は中央省庁の金にケチ付けている暇があるならば、地方交付税交付金その他を国から受け取っている自治体の財務監査を主任務にした方が良いのではないか?
閑話休題、非採算事業をNPO等に丸投げする、という今の態勢は変える必要がある。
やるならば、委託事業として、明確な仕様書の下に広く一般競争入札を行い、その委託事業の実施をキチンと監督し、事業費の支払いの前にはキチンと実施検査をしてから支払うべきである。
新宿の女の子を保護します!なんて事業が随意契約でしか出来ないわけがないのである。
役所の監督を受けたくないですぅ〜、だなんて許されるはずがない。
挙げ句の果てには、補助金の用途外使用を疑われる怪しい帳簿を付けたり、ふざけているとしか思えない報告書を出したりだなんて認められる訳がないのである。
そもそも税理士は何やってるんだ?
営利企業対官公庁であれば、金銭を媒介にシビアな契約の論理で動くのである。
であれば、自治体とNPO等もそうして然るべきである。
そもそも、NPOに対しては監督省庁が不存在だという。
そりゃあ、好き勝手できる上に、良心的な所はむしろ肩身が狭くなるだなんてことが起きるのである。
厚労省なりなんなりが監督省庁としての責任を果たすべきである。
そもそも、不採算事業は勤めて行政側でやるべきだと思っている。
私は大きな政府主義だし。
北一輝氏の「日本改造法案大綱」でもあったアイデアであるが、民間企業の能力を行政で吸収して運営する、というのはひとつの手段であるはずである。(なお、北氏の主張はむしろ儲けのある企業を国営にしろ!という主張なので、ある意味私の主張とは反対であるが…)

ということで、まとめると以下のような話になる。
・病児保育は必要だし、それに貢献する活動は有意義
・NPOは信用できない
・日本人は三方よしを思い出すべきだし、世界は謙虚にこれに学べ
・地方議会議員は仕事しろ
・非採算事業は行政が責任持ってやれ

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