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【地元の名店×フレンドフーズ】男前&べっぴんさん揃いのリンデンバームは、シャルキュトリーの第一人者

京都市左京区の小さなスーパー・フレンドフーズでは、全国から集めたこだわり商品はもちろん、地元の名店の逸品も多数取り揃えています。

どれも、フレンドフーズのスタッフ自身もファンのものばかり。そんな地元の名店と、そのお店が提供する商品を、当店のお客様であり飲食店の取材や食関係の書籍を多く手がける編集者・ライターの野村美丘さんに取材してもらいました。

今回伺ったのは、京都市左京区の「LINDENBAUM(リンデンバーム)」さんです。

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「リンデンバーム」オーナーの𠮷田英明さんは、まだシャルキュトリーという言葉が一般的に知られていなかった12年前、京都では唯一のシャルキュトリー専門店をオープンさせました。

もともとフレンチの料理人として腕をふるっていた𠮷田さんがシャルキュトリエに転身したのは、ヨーロッパとは風土も文化も違う日本で、本場のシャルキュトリーを追求したいと思ったからだそう。

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△「テリーヌやソーセージってどうしても茶色一色になりがちなんですが、うちのは見た目もわりと男前やしべっぴんさん揃いでしょう?」。お惣菜各種も充実しているのはさすが、料理人ならでは。

料理人としてのキャリアがあるにもかかわらず、あらためてシャルキュトリーに照準を絞り、再びヨーロッパに修業に向かったその決断力と行動力は脱帽もの。

同じヨーロッパ内でも風土によってそれぞれにスタイルが違うということで、ドイツ、オランダ、フランス各国の専門店で働きながら実績を積んだ点もユニークです。

だからリンデンバームの自慢は、「ごはんと食べるならコレ、日本酒を飲みながらならコレ」という具合に、引き出し多く取り揃えている点。

「こだわりがないともいえますが、でも、日本の食はそういうものだと思います。雑食文化ですからね」

一般家庭で、中華やイタリアンなど異国の料理が食卓に並ぶ。たしかにそれは、日本ならではの光景です。

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△取材時には桜や京番茶、七味の味のソーセージがありました。これから新生姜なども登場予定。シャルキュトリーでも旬を表現できるんだと気づかされます。

その食卓にのるリンデンバームの商品は、たとえば季節のソーセージであれば、桜なら桜の、京番茶なら京番茶の素材の香りが、口に入れたときにふわっと上品に広がります。

いつもならマスタードをたっぷり塗ってしまうけれど、薬味を使わずにソーセージそのものの味を堪能したくなるような、やさしいフレーバー。「日本でやる以上は、京都でやる以上は、という気概でつくっています」という𠮷田さんの言葉が脳裏に蘇ります。

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△焼き上がった「パテアンクルート」にナイフを入れる吉田さん。フォアグラ入りのパテとジュレの織りなす断面が美しい。

とはいえ、はじめの3年間はなかなか売り上げが立たず、厳しかったそう。

「それまで京都に専門店なんてなかったから、お客さまは何をどう買ったらいいかわからなかったのかもしれない。だからまあ、売れませんでしたねえ」

理解者の少ない茨の道は、先駆者のさだめ。リンデンバームもその例にもれずでした。しかし、いまや形勢は逆転。お勤め帰りの若い女性が、ワインでも飲みながら夕食でも、ということなのでしょう、お惣菜やソーセージを買いにきてくれたりするのも、すっかり日常の風景になりました。

実店舗以外でリンデンバームの商品が購入できるのは現在、京都市内ではフレンドフーズのみ。

「かわいがってもろてます。担当の方もお客さんに好まれるような商品を見極めてきちんと選んでくれはるのか、最近は特によう売れるようになって、ありがたいことです」

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△ドイツ、フランス、スイスなど、吉田さんのヨーロッパの修業先では、街路樹はたいがいリンデンバーム(菩提樹)だったそう。
「日本で初夏に栗の花が咲き出すように、フランスでは菩提樹の香りが強くしてくるんです」。

料理人としてレストランを12年経営したあと、シャルキュトリー専門店を立ち上げ、やはり12年続けてきた𠮷田さん。では、この先の12年では何をやるつもりですか?と尋ねると、たぶんこのまま続けていくと思います、という返事。

というのも、「業界を広げていくのがいちばんやなと思って。きのうも全国の同業者で集まって勉強会をしていたんですが、たとえばテリーヌをみんながもっと売るようになれば、テリーヌを食べる文化が日本にもっと根づいていくでしょう? そうすれば、お客さんの分母が増える。すると、まわりまわって、うちも繁盛するでしょう」。

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△吉田さんの著書『本場の味が出せるシャルキュトリーの本格技術』(2019年/旭屋出版)は、このほど台湾でも出版されました。

目先の自分の儲けではなく、業界全体の将来を見据えて他者と一緒に盛り上げていこうとしている。そうした大局的な視点は、京都の商いを垣間見ていてしばしば感じることです。

京都ならではの商売の、あるいは人々の、成熟度の表れ。先の、リンデンバームとフレンドフーズとの関係性も、そういうことに違いありません。

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【おまけ】リンデンバーム吉田さんの、「フレンドフーズ、これは買い」

<オリーブオイル>

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「とにかく、フレンドフーズの調味料の品揃えには舌を巻いています。特に決めている商品はないんですが、お店に行くと、僕はけっこうオリーブオイルを買うことが多いですね」

文・野村美丘(photopicnic)

野村様イラスト

1974年、東京都出身。フリーランスのインタビュー、執筆、編集業。文化、意匠、食、旅、犬猫など自分の生活の延長上をフィールドに公私混同で活動している。また、フォトグラファーの夫とphotopicnicを運営中。著書に『わたしをひらくしごと』。編集した本に『ホーチミンのおいしい!がとまらない』『定食パスタ』『暮らしのなかのSDGs─今と未来をつなげるものさし─』など。2020年秋、京都に拠点をつくった際、フレンドフーズに初めて足を踏み入れて即ファンに。フレンドフーズにその感激を伝えるべくメールしたところ社長から即レスがあり、さっそくこの連載を担当させていただくという幸運を手に入れました。
www.photopicnic.pics


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