少しの工夫で変わるチラシ・カタログ改善
私が学生時代の頃は、今のようなSNSはもちろんのこと、まだインターネットさえ一般には普及しきっていませんでした。
きっと今の若い人には信じられないかもしれないけど、その頃はチラシやカタログを送ってもらって、電話とかハガキで注文するのが「通販の主流」だったんです。(世代の人は分かりますよね?笑)
もちろん、今でもチラシやカタログから注文を取る作戦が、事業にとって良いケースもあります。一方で、ご存知のようにほとんどの商品がインターネットから注文ができる時代です。
今日はちょっと、そんなカタログやチラシについて、時代的な側面と、改善の基本の部分をご紹介したいと思います。
現代のカタログとは何か
冒頭申し上げたように、そもそも今でも、事業のターゲットやコンセプトによっては紙媒体のチラシやカタログの方が、むしろ価値が生まれることもあります。
たとえば、特定のターゲット層やコンセプトを軸としたサービスでは、カタログギフトみたいなものは、紙の冊子でプレゼントした方が、体験価値としては良い場合もあります。
その一方で、たとえばInstagramなどの画像系SNSは、写真訴求可能で商品ラインナップの多い事業などを筆頭に、カタログの役割を果たせる媒体です。
写真系のSNSなら、商品や製品などの完成形をまさにカタログのように並べていけるし、
動画形のSNSなら、制作過程を見せつつプロモーションができたり、建物などの細部を擬似ツアーするようなコンテンツも出せる。
そもそもカタログというのは、企業が販売する商品などをまとめた案内物のことで、チラシはそれを大衆に向けて「散らす・撒く」という意味から来ている言葉だそうです。
ということから考えても、webサイトやSNSや動画などはカタログの役割を果たせるのは当然だし、インターネットを使えばそれを広く拡散することはできるのだから、チラシやカタログがデジタル化したり、企業がそれらと同じ目的でSNSなどを運用するのは当然のことだと言えます。
広くお知らせする時代の終焉
一方で、冊子を作ったり、チラシを印刷したり、あるいは雑誌に掲載するなど、紙媒体で発信することに比べれば、
インターネットを使って、従来のチラシやカタログと同じ役割を持つ発信をすることは、コストもかからないので、
裏を返すと、どんな事業であっても当然にできる選択肢ということになります。
で、よく「インターネットやSNSの普及による価値観の多様化」みたいな話が出てくるのですが、まさに今は、消費者の方もパソコンやスマホから日常的にカタログやチラシ的なコンテンツ(つまり、同様の役割を持つ発信)に触れているので、そうかんたんに自社の商品が選ばれるとは限らない。
ちょっと乱暴なまとめ方だけど、消費者の元に届く発信が限られているうちは、「その中から選ぶ」ということが起こりやすいので、掲載したり届けることができれば、選ばれる確率もそれなりにはあるわけです。
けど、今は先ほど書いたように、消費者は日常的に広告に触れているので、何かの宣伝が届いたり、商品ラインナップをまとめたコンテンツに出会っても、「あ、買えるチャンスだ!この中から選ばないと!」とはなりづらい。
それこそ、欲しいものがあれば、検索エンジンでもSNSでも、自分が欲しいものを調べて、自分に合ったものを自分の力で探し、自分にピッタリのものを自分のタイミングで買うことができる。
これって、マーケティングの分野では、さほど難しい話ではないのですが、今この時代で「誰にでも好かれそうな、広く浅いお知らせ」というのは、、、
そう、結果的に、
広く、、、どころか、全く届かない発信になりがち。
あまり、この観点をお持ちでない経営者の人がいましたら、まずこの事実をしっかりと覚えておくだけでもプラスになります。
コンセプトは小さく。専門誌になる。
すぐにできる対策の一つ目は、コンセプトをもっと絞って専門性を出すことです。
たとえば、洋服を売っているとして、どっちが売れるかってことです。
老若男女、すべての世代の洋服があります
30代ママのための、おしゃれで便利なコーデ専門店
「売れたらすごい」のは、1でしょう。
まぁ、これはどんな事業を作るかにもよるのですが、小規模事業の作戦としては1を考えるのは賢くない。
1は結局、大手がやる作戦で、それはつまり価格競争などの小規模事業者にとっての無理ゲーに巻き込まれる可能性も極めて高くなります。
付け加えるなら、大手企業もお店としては幅広い商品を扱っていても、1枚のチラシ、1冊のカタログ、特定の一つの広告、とかでいうと、ちゃんとターゲットを絞って発信をしています。
だから、小規模事業者=個人事業や中小企業は、それよりも、もっとコンセプトを絞って良い。
仮に、本当に幅広い層に向けたラインナップがあっても、一つ一つの発信については、もっともっと特定のニーズやターゲットに向けて作り上げるべきなんですね。
そのチラシを見れば、ターゲットにとって専門店だ!と思われるように。
そのカタログを見れば、専門誌だ!と思われるように。
オンラインの場合もこれは一緒で、
SNSならコンセプトごとに細かくアカウントを分ける
webサイトならコンセプトやターゲットごとにメニューを分ける
広告も、細かいターゲットごとにLPを用意して運用する
みたいな考え方ですね。
もしこれまで、「みんなに好かれればたくさんお客さんが来る」と思って失敗してきた人は、その逆のこの作戦を一度試してみてほしいです。
モノ売りでも、モノは売らない
先ほど書いた、カタログやチラシのデジタル化は、紙媒体だけの頃よりも「その商品があると、自分にはどんな未来が待っているのか」を想起させやすくしました。
たとえば、
この洋服を着ると?
この枕を使うと?
この食材から作れる料理は?
というような見せ方でも、紙媒体やマスメディア広告の場合、それを複数パターン作るたびにコストがかさみまくるので、
なんとなく、どこにでもいそうな人をモデルにする
逆に、多くの人が好感を持っている人を広告に起用する
みんなが好きそうな完成品を見せる
みたいな作戦を取らざるを得ない事情を抱えているケースも多かったはず。
けど、たとえばInstagramでもYouTubeでも、
「同じ洋服だけど、違う人が来たらどうなるか?」
「同じ枕だけど、いろんな人にインタビューしてみた」
「同じ食材だけど、豊富なバリエーションの料理を見せた」
というように、一つの商品に対して、細かいセグメント(顧客属性)ごとにコンテンツを増やすことは、紙媒体やマスメディア広告でそれをやることに比べれば、容易に準備ができてしまいます。
で、常にそうなんですが、お客様というのは、別に「商品というモノ」が欲しいわけではない。
あなたも、、
洋服という、布が欲しいわけではないでしょう?
枕という、物体が欲しいわけじゃないでしょう?
リンゴという、植物の実が欲しいわけじゃないでしょう?
たとえば、
その洋服を着たら、おしゃれな気分で過ごせそう
その枕で寝たら、ぐっすり眠りにつけそう
その美味しそうなリンゴで、子供の笑顔を見たい
そんな風に「それがあると、どうなれるか」をイメージできた時、買うスイッチを押す可能性が出てくるわけですよね。
特に中小企業や個人事業は、大手企業とは違い「誰でも認知しているブランド」は作りづらいわけなので、
それがあると、どうなれるの?
というところまで、想起させる発信が良いわけです。
それは、チラシでもカタログでも、その形がデジタルでも同じです。
モノを売っているなら、それがあると、どうなれるのか。
サービスを売っているなら、そのサービスで、何が実現できるのか。
そこまで想起させて、初めて、あなたの専門的な価値(=小規模事業が持つ特定のニーズに対する価値)に気づいてもらえるわけです。
商品やサービスを利用した先にある未来を、もっと具体的に想起させる。
これが、実行しやすい対策の二つ目です。
利用シーンをイメージする
あとは、お客様の利用シーンも想定した方が良い。これが三つ目の対策です。
たとえば、30代のママにピッタリのおしゃれな洋服を売っているとして、
もし、そのターゲットが、子供にとって綺麗で憧れのママでいたいと思っているとすれば、チラシやカタログにも、子供がママを笑顔で見上げている様子を出した方が良いですよね。
一方、全く同じ洋服でも、そのターゲットが、
本当の私は、あの頃の私。鏡を見るたびに、自信が持てる。
とか、そんな感じで、
ママとしても妻としても苦労する毎日だけど、あの頃のようにオシャレで自信のある私でいたい!
という思いで洋服を買う人たちなら、
カタログやチラシにも、鏡を見てポーズをしている様子とか、鏡を見て「よし!」と言っている姿とか、そんな様子を載せた方が良いですよね。もちろん、オンラインの発信でも同じことが言えるでしょう。
同じ商品でも、そのターゲットがどんなニーズを抱えているのかによって、訴求ポイントが変わってきます。
マーケティングっていうと、詳しくない人からすれば、大企業で行われる専門的な仕事で、小さなビジネスには関係ない!と思いがちなのですが、
実は、完全に逆です!
この記事で書いたように、中小企業や個人事業こそ、もっともっと一つずつの小さなニーズに対して、もっともっと細かいコンセプトを打ち出していく専門店であるべきなんです。
そのためには、
どんな小さなニーズがあるの?
自分の商品やサービスで、お客様は何が実現できるの?
お客様はそれを、どんな生活シーンで使うの?
こういった細かい顧客理解が大切であり、これはカタログ・チラシ・インターネットでコンテンツを発信する上でも、重要な鍵となるはずです。
将来のために、今、何かを変えよう。
小さな工夫が、大きなチャンスになることもある。
あなたの挑戦を、私は応援しています。
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株式会社フレンドマーク
五十嵐
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