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イライラする挨拶代わり

挨拶でイライラするのは、言いたいことがいえないとき、だ。今フランス語を勉強しているが、先生のお宅に行き、先生が
Bon jour!Comment allez-vous?  「こんにちは!お元気?」
とおっしゃった場合、決まり文句の「はい、元気です」と言う返事はできるが、日によって元気とは限らない。日本語なら
「まあまあ元気なんですが、毎日暑いので疲れ気味です」と
言いたい場合、なんというか?
グーグル翻訳でおぼえておいた、それらしい言葉をなんとか言えたとする。すると先生のフランス語はスラスラと続き、ますますわからなくなる。
フランス語の先生といっても日本人だから、「すみません、ここからは日本語で」とうすら笑いしながら言うしかない。

でも、相手がフランス人で日本語が全くわからない場合は、どうするか。
挨拶のあとは、とにかく自分の言いたいことを絞り出すしかない。めちゃくちゃのフランス語であっても、黙ってしまうよりはずっといい。黙ったらそこでコミュニケーションは途絶え、相手は「ウ~ララ」と言って去って行く。舌打ちをされたことさえある。

こうして相手が去ったあとの、寂しさ悔しさったらない。フランスに住んでいた頃、何回も味わったことだが。日本人は「とにかく意志を表す」と言う作業が下手だ。完璧な文を言おうとするからだろうか、中学高校でやたら文法をたたきこまれるせいだろうか、とにかく話すことに臆病だ。

アルザスのミュルーズという駅前のバスセンターには、りっぱな路線図があり、よく眺めたものだった。行きたい場所のバス停が見つかっても読み方がわからない。幸い周りは全部フランス人だ。かねて覚えておいたフランス語で「これを読んで下さい」と頼むと見事な発音で読んでくれる。
え?そうよむの?と驚いた一つに
「ツーライナ」がある。辛いな?日本語じゃないか、と内心フフフと笑う。
ドイツ領であったこともあるアルザスには、ドイツ語の地名が多く残っていて、ドイツ語で「ツー」とは「沿い」「近くの」という意味らしい。だから
「ツーライナ」は「ライン川入口」みたいな意味になる、と思う。
(ドイツ語解る方、教えてください)

話は飛ぶが、英語講師をしていたころ、生徒たちには笑わされた。
絵を取り出して
"Now I'll  show you these pictures." 「さあ絵をみせるからね~」
と言ったら生徒がすかさず
「先生、しょうゆってなに?」と言ったのでびっくり!
自己紹介で "My name is                "と教えたら
「マヨネーズって言うんだね!」と感心されたり。

こんなふうに言葉に関心を持ち、次々と覚えられた日々は遠くなり
今は新しい文に出会うたび、ああ、これ覚えなきゃなんないんだ!
と、身をよじる。
それでも学ぶことはなんだか嬉しい。

イラついたあげく、言葉が出ず、笑ってごまかすことからそろそろ卒業したいものだ。
           おわり


たらはかにさんの企画に参加させていいただくつもりで書いたのですが、
長くなりすぎました。すみません、番外編ということで、タイトルだけ
貸してください。💦



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