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グッタペルカ2

木崎のおかん、木崎かおり、旧姓山本かおりは「変人」と呼ばれることに慣れていた。 それは小学生の時。かおりがハマったのは、カメムシ集めだった。お友達のサキちゃんやノリカちゃんを家に呼んだ時、かおりはとっておきのコレクションであるカメムシの数々を鼻息荒々しく二人に見せた。その時のサキちゃんとノリカちゃんの悲鳴は、町内中を轟かせ、まちにある一番の大木が根元からずっしりと体を倒したという。この事件を引き起こした当の本人はというと、町の騒ぎはどこ吹く風といった様子でのらりくらりとカメ

    • グッタペルカ

       男の一言で、収録現場は混乱に満ちた。周囲の騒ぎ立てに乗じるように、男の手にも力がこもる。ひな壇の2段目に上品そうに座っていたはやりの女性モデルの「ださ」という小さい呟きが、男を加速させた。勢いに任せて、司会者の大物芸人の胸ぐらを掴む。拳を突き上げたところで、昔からお世話になっている先輩芸人が止めに入った。「どうした、どうした木崎。しょーもないことすんなや、な?」この状況に似つかわしくない先輩のカラ笑いが、男を現実に引き戻した。  「おわった、、、。」真っ先に脳内に映るのは

      • クラナドを見た。

        クラナドというアニメを見た。高校生の男女が出会って、青春を共にし、いつしか付き合うようになり、結婚して子供を産み、育てるまでを描いた長い名作だ。母になった女の子は、出産時に不幸にも命を落とし、夫である主人公と赤ん坊を残していく。一人になり、苦戦しながら娘を育てる主人公の様子を見て、大泣きしてしまった。父のことを考えた。しばらく実家に帰っていない。秋にでも帰ろうか。 父は38で母と結婚し、40の時にわたしが生まれた。高齢で、かつ長い不妊治療を経てやっと生まれたわたしは、両親にと

      グッタペルカ2