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【日記】出会いの連鎖

木曜、朝起きるもまだ眠い。夢にペリカンファンクラブのエンドウアンリが出てきて、イベントの前か後かで自分に意気揚々と話しかけてくれていた。現実の彼はお世辞にも社交的とは言えないのに。まだ直近のライブのチケットを買えていない。『解放のヒント』のツアー行脚をしたのがもう3年前。ぺリカンファンクラブに出会ってからずいぶん遠くまで来た、と改めて思う。また喋りたいなと思った。予想通り体重は増えていた。

遅れて昼に出社。本職も副業も忙しすぎるし、かといって思うように働けてもいない。三日間ぐらい意図的に休みを入れたい。明日は全休。朝から夜までみっちり予定を詰め込んでいるけれど。定時退勤して最近復帰した副業先へ。スタートから本指名の予約が入っていて、誰だっけと思いながら山手線に揺られる。着いて近隣のホテルに向かうと、見たことがあるようなないような…といった顔の客が立っていて「初めましてですか…?」とおそるおそる尋ねたら「いや、二回目だよ。2年ぶり」と返された。そりゃわからんわ。偶然店のHPを見たら自分が復帰していることを知って、久々に駆けつけてくれたらしい。2年前に一度来ただけの客が月日を経て本指名として戻ってきてくれるって、意外と人望あるのかもしれない。終電間際に帰宅。サラダチキンとほたてバーをダラ食いして、2時頃に寝た。

金曜、有給。しかし起きると寒い。自分が休みの時に限って寒かったり雨だったりする。9時半にベッドから出て洗濯と掃除。身支度を整えてコインランドリー。それから近所ではあるものの、土日はいつも長蛇の列をなしていて行けなかった「FUJI BAGEL」へ。開店1時間前で自分の前には5人並んでいた。前の女性がペットボトルのキャップを開けるのに苦悶の顔を浮かべていたので「開きます?笑」と言って貸してもらい、開けてあげた。握力には全然自信がなく、なんならいつもは開けてもらう側なのに、今日は運がよかった。

竹田ダニエルの『世界と私のA to Z』読み直しながら開店を待って、11時より少し前にお待たせしましたと店の扉が開き、ぞろぞろと順番に入る。リサーチ不足だったが、わりとデザート系の甘いベーグルが多くて、普段ビールと一緒にパンを合わせたい派の自分にはどうしようと少し戸惑った。しかしせっかくなのでさつまいもミルクやら桜道明寺やら、甘い系の中でも好きなフィリングを買う。一個あたりの単価が「パンに!?!!?」と吹っ飛ぶほど高く(小麦の高騰もあるし、原材料費+ビッグサイズゆえなのだろうけど)、さつまいもミルクに至っては一個¥510で目をひん剥いた。しかし、皆せっかくここまで来て並んだのだからと6個や7個、多い人は12個などまとめ買いして帰っていく。聞こえる小計が居酒屋一人あたりの単価感だった。かくいう自分も、せっかくだからと計5個購入し、会計が¥2,700になった。レジ打ちの奥さんの方に「ずっと来たかったんですけど週末は混んでて…」と伝えると、「土日はたくさん作ってるのでぜひチャレンジしてみてください」と優しく伝えてくれたので、また頃合いをみて行こうと思う。

人生ベストオブベーグルが、もう大昔に東京から撤退してしまった下北沢の「LOOP BAGEL WORKS」であり、現行で挙げるならば代々木八幡の食べログ百名店「テコナベーグルワークス」だ。LOOP BAGEL WORKSは自分が高校生ぐらいの頃に知ってわざわざ実家から電車を乗り継いで買うほどのリピーターだったのだが、とにかくもっちりとした食感としっかり主張のある個性的なフィリングが好きだった。人生で二度拒食症を経験しているのだけど、二度目の拒食の頃もベーグルだけはなんとかバイトの休憩中に食べられた。テコナの方は今の街に住むようになってから度々出向いているが、明らかに年々支持率が上がり、待機列が長くなっている。しかしこちらもフィリングの豊富さ、そして「もち」「ふか」「むぎゅ」と3種類の生地を陳列させより多様なニーズに応じている点はもう本当に企業努力としか言いようがない。常にお客がひっきりなしのため、オーナーの女性が少々スタッフに対して厳しめに声をかけているのだけがちょっと気になってしまうけれど、あれだけの手際の良さがないと回せないのだろうと思う。頼むから店舗拡大してほしい。

買ったベーグルを一旦家の冷蔵庫にしまって、すぐに再度家を出る。昼すぎに表参道の美容室へ。新卒のスタッフが入ったのもあって、土日ほどではないが平日なのに賑やかな雰囲気だった。BGMにはNo BusesとCwondoがランダムで。今日は肌寒いが一応春なので、思い切ってワンブリーチでピンクパープルに仕上げてもらった。 ブリーチの最中、同い年であり推し美容師であるフミヤくんに「しみてないですか?」ではなく「しみてない?」と聞かれて思わずきゅんとした。あざとい。担当の美容師さん(リョウガさん)とは絶対ソニマニ行きたいよねえという会話をした。表参道という立地に見合わないラフで暖かい雰囲気が本当に好きだ。

その足で中目黒に出向きネイルサロンへ。東横線は人でごった返していて、中目黒につくと花火大会ですか?と言わんばかりの人だかり。皆桜見るためだけに来てるのか。タイミングを完全に見誤ってしまった。なんとかネイルサロンにたどりついて、NOUGATとNEU!のジャケットネイルをオーダーした。他の爪は、先週西洋美術館で見た布施琳太郎さんのインスパイアで青、白、シルバーの3色をランダムに配置。彼氏と別れた話とワーホリの話。「英語だけは事前にできるだけ勉強した方がいい」「もしイギリスがダメだったときの代替案も先に考えないとね」などなどアドバイスをいただきありがたい。イギリスが漏れたらベタにオーストラリアかなと思う。カナダもいいけど寒いのは苦手だし。

ネイル後、いやに寒気がして急ぎ足で光明泉(銭湯)へ。日替わりの露天風呂がレディースデーの日でラッキーだった。空を見上げながら、電車の走行音を聴きながら首を後ろに倒して無になる時間がいっとう好きだ。外人の女の子がパチンとやった湯水がこちらに跳ねる。可愛いので余裕で許す。しっかり温まって、完全に整った状態で下北沢へ。代謝が巡り暑いくらいになって、端から見たら寒いだろうが上着を脱いだ。

夜の下北沢。義姉(兄の奥さん)と飲む約束をしていたが、早くに着いたのでTAP & GROWLERへ立ち寄る。周年ビールのスムージーサワーが飲みたくて、「お姉ちゃん一人?座りや〜」と関西弁の店長に声をかけられてからすぐに「パイントでください」と注文する。ここまで全然シラフなのだけど、朝から歩き回っていてすっかりハイになっており、のっけからよく喋った。周年ビールは原材料にチョコソフトが大量投入されたドロドロのチョコレートスムージー。デブの飲み物じゃんと思いつつも美味しくてとまらず、2杯目もおかわり。店長と歓談していると、ブロンドの髪色の男の子がカウンター隣に座ってきて、話を聞くとバリスタ志望の専門学生で、「今日ストリーマーコーヒーに面接させてもらえませんかって直談判してきて、明日店長と面接させてもらうことになったんですよ!」と目を輝かせながら今日の出来事を教えてくれた。すごいね、その行動力、千と千尋みたい、と少しだけちょけて返すと、「だって早いほうが絶対に良くないですか!?」と鼻息をあらげながら答えていて、うわあこれが当時の自分になかったものだ、とあてられてしまった。未来のバリスタ、彼に幸あれ。年齢を伝えたら「22〜3ぐらいだと思ってました」と言われたことに関してはちょっとクエスチョンマークだったけれど(21歳からしてもそう見える?)。会話は盛り上がってきたもの、義姉との約束の時間が迫ってしまったのでそろそろ行くねと伝えたらインスタ交換しましょうと言われ、平成のLINE世代なのでどうやるんだっけ…とオバサンムーブをかましてしまった。彼の投稿を見たらトップにhirihiriやAOTOが出ていたクラブイベントのフライヤーがあって、え〜良い趣味してんねと伝えたら好きなんですか!?と驚いていた。が、続きはまた今度ということで店を後に。

元々義姉と行こうと話していた店がほぼ大学生みたいな若い男女で埋め尽くされていたので、視線が痛く「入れますか?」と聞くまでもなく早々に退出し、偶然見つけた串焼き屋の「零や」をネット予約することに。義姉にここ押さえましたと連絡を入れて店の前まで来たが、団体の会計待ちでなかなか入れず。合流してから約20分ほど待ったか、ようやくお待たせしましたと声がかかって中へ。直前にネット予約しただけの客なのに「ホシノ様」の手書きカードが置かれていて優しかった。

結婚式ぶりの義姉はやはり変わらず笑顔のよく似合うリスみたいな可愛い人だ。148cmしかないとのことで、160cm後半の兄と並ぶとちょうどバランスの良いパートナー同士に見える。店のスタッフは軒並み若く苦手なネオ系かな…と一瞬不安がっていたが、ちゃんと料理も酒も手が込んでいて(聞いたことがない銘柄ばかりだったけど、クラフトも4種置かれていた)最初から最後まで大変おいしかった。


話の中で、自分と兄の間にあった確執のことを聞いた。自分はずっと、中学生の頃不登校になった時から「兄から見限られてしまった」と思い込んでいたのだけど(その時は結婚式の時の日記にも書いたはず)、兄からしたら「あの頃助けてやれなかったから、妹は俺のことなんて嫌っているに違いない」と悲観的に思っていたらしく、それが何よりも意外だった。兄も兄なりに、学生時代の自分を振り返って家族個人に対しての振る舞いを懺悔していたようだ。ただ、「どうして自分のCDラックから無断でバンプのアルバムを持ち出して披露宴の装飾に使ったのか」という疑問に関しては「妹も弟(次男)もおれの影響を受けて育ってるから…」とはぐらかしていたよ、とのこと。だからなんなんだよ。

義姉と兄の共同生活の中からいくつか写真を見せてもらって、そのどれもに今まで兄妹間の確執が原因となって見られなかった笑顔を浮かべる兄の姿が写っており、ああこの人が結婚相手でよかったなと妹ながらにしみじみと感じ入るなどした。IKEAのキッチンカートを使ってモノボケをする動画に映る姿を見て、昔から即興で人を笑わせるセンスのある兄らしくて変に懐かしかった。兄と喧嘩するんですか?と聞いたら「するけど、〇〇くんは自分が悪いことをしてることに気づかない」とか、「とにかく不器用で社会経験が少ない」とか、色々と思い悩む部分もあるらしく、そのネガティブな部分に関しても完全同意したので、どうか兄を更生させてやってくださいと頭を下げた。

閉店間際の23時半頃までひたすら喋り倒して、また今度は義姉の妹さんを交えて3人で女子会しましょうとなり解散。タクシーで最寄り駅まで戻って、閉店前のスーパーでアイスと氷結を買い、心地良く酒が回った状態でゆっくりと一日のことを思い出しながら味わった。食べ終わってベッドに潜り、ほどなくして寝た。長い一日だった。

土曜、休日。本来ならば早く起きて作り置きをしたかったが、若干二日酔いで朝起きれず。昼すぎにのそのそと起き上がって支度をし、新宿のロイヤルホスト三井ビル店を目指す。もっと早く出ればよかったのに、西新宿方面のアクセスの仕方がまったくわからず迷宮入りに。結局約束の時刻より20分ほど遅れてしまい、陳謝しつつハタショーさんと合流した。

ハタショーさんとはインスタやX、noteで長く相互フォローの関係にあり、数少ない同い年のユーザーさんだなあと思っていたものの会うのは今回が初めて。自分は度々(といってもここ最近の話だけど)日記界隈(日記界隈?)の人たちと会わせてもらっているが、皆年下か年上の方々で、自分と同時代を生きる友人たりえる人にはまだ、少なくとも日記上では出会えていないので楽しみにしていたし、その反面でハタショーさんの日記やインスタ等で書かれている鋭く解像度の高い作品評や社会的な物の見方ないしは言葉の選び方には常々すごいなあと感服するばかりだったので、自分みたいなものが一体対等に話せるのだろうかと不安だった。が、初手のドリンクバーで「ウバ茶」について話していた時に、「飲んだことないけどおそらく薬膳系ですね」という部分で意見が合致して多分大丈夫だと悟った。ハタショーさんはチャイのティーパックを手に取っていた。

序盤こそお互いに探り探りといった感じだったけれど、変化球を投げながら会話を展開していたのもあって打ちとけあうのにあまり時間はかからなかったと思う。ハタショーさんはポメラを愛猫のように扱っていて、余裕で10,000字とか超えた量の日記を更新されるのだけど、「大体いつも10,000字くらいですかね?けど、星野さんもそれぐらいじゃないですか?」と言われたのはまあまあ心外だった。とはいえこの時点でこの日記も5,000字を超えているのですが。

人となりをもう少し深く見たいなと思った時に、「〇〇なものを3つ挙げてほしい」と相手に投げることがままあって、ハタショーさんには「苦手なものを3つ」教えてもらった。主に職場におけるかしこまった場所、トラウマがフラッシュバックしてしまうカラス、誰かが不快な発言をした時。カラスに関しては、近くにいると怖い、ぐらいしか感じていないけど、それ以外の2点に関してはうなずける部分ではあった。というか、この会で不思議だったのが、ハタショーさんと自分はお世辞にも似ている性分ではない(むしろ「逆ですね」と言う部分が多かったかもしれない)のに、やはり同世代というバイアスも働いてか話していて全く嫌な気持ちにはならなかった。否定から入らない喋り方をする人だな、と感じていたのも大きいと思う。反対にハタショーさんから「この世で絶対許せねえなってものを3つ」聞かれた時に、「10年以上続く摂食障害の原因になった当時の怠惰な自分と、周囲から聞かされた体型にまつわるヘイト」がまず浮かんだが、それ以外が思い浮かばなかった。摂食障害になって、色んなチャンスを失って、時間を食に関することだけで浪費して、体重を気にして身も心もすり減って、結局何を目指しているのかわからないまま年月だけが過ぎていった。クラフトビールという一つのカルチャーを趣味に抱けたことは自分にとって財産だと思うけど、それだって摂食癖がなければ今よりも10倍20倍心から楽しめていたはずだ。痩せ信仰、深夜過食、罪悪感からの自浄行為。長引けば長引くほど治らなくなって、自分はもうあまり治すことを第一には考えていない。折り合いつけながら付き合っていくしかないのだと思う。

18時頃になって、下北でライブを観る予定があるのでと言って解散の流れに。新宿駅までの道すがら、肉麦に行ってみたいとハタショーさんが言うのでぜひ!と前のめりになった。自分は肉麦の焼肉を一人前で頼んだら多分4時間かけても食べきれないので未だかつて肉麦で焼肉をしたことがない。ハタショーさんは普段お酒を飲まれない方だが、その点食への興味関心が高い方なのでありがたい。

小田急線に乗って下北沢。奇しくも二日連続。ベースメントバーを目指して歩く。入るとSuger Houseが始まったばかりだった。シューゲイザーとドリームポップとエレクトロ・ポップ。ガリレオガリレイをちょうど想起させるような、ダボダボスウェットにニット帽からはイメージのつかない耳心地の良い音を鳴らしていた。

二番手は本命のANISAKIS。多分、ギターのアンドロさんが早々に自分を見つけてくれ、フロアで目が何度か合ったのだけど、緊張が勝って話しかけられなかった。田口さんのハイトーンはやっぱり綺麗、だし、シュールな歌詞と相性がなぜか良い。この日の田口淳吾はファッションも最高で、大きなボタンのついたセットアップシャツに袖をまくると両腕に所狭しとワンポイントのタトゥーが彫られているのが見え、控えめに申し上げて「癖……!」となった。「蜘蛛は殺さない方がいい」「I AM SHARK」「家鳴り」など『大いなる』の曲を多くやってくれて思わず動画をたくさん撮ってしまった。

トリのWBSBFKを少しだけ観て、かなり満たされた気持ちになってしまい箱を出る。北沢小西に一瞬だけ立ち寄り、バテレのサワー缶を買って帰宅した。昨日からひたすら人と喋っているせいか、家に帰ったらもうHPがゼロになってしまって、自炊する気でいたのに大したものを作れなかった。とりあえず適当な野菜炒めを作って食べ、ぼーっとしながらスマホを眺めて0時頃に寝た。

日曜、朝起きて、やっと暖かい日差しが降り注いでいるのを感じ、「昼から酒を飲もう」と決めた。ほんの少しだけ副業に出てから、昼すぎにコーヒー屋を覗くと常連の集いができていて、皆に歓迎されて嬉しかった。

バテレのベルジャンIPA、すっきりと小麦の香るホワイト系なのに度数は9.0%の変わり種だった。ハーフで飲み、2杯目にうちゅうのANGEL。健さんがつまみにファラフェルサンドの野菜を使ってグリルを提供してくれたが、一昨日、昨日と自分比でカロリーオーバーなのでやんわりと他の常連にいいですよ〜と流した。こういうこと、本当はしたくないのだけど、体が「昼から固形物を入れる」ことを拒否している。体調良く帰れた試しがない。

15時頃に一度帰宅して、日が暮れる前に今度は肉麦へ行った。この時期の縁側ビールは特等席だから早い者勝ち。常連の男性がいて、最近仕事でファスティングしてて〜という話を聞いた。健康食品を取り扱っている仕事らしい。ほどなくして、その方と合流予定だった女の子が店に来た。同い年かな?と思ったらやはり同い年で、そこがフックになって一気に意気投合した。金曜のバリスタボーイにならい、インスタを交換して、次の店に行くというので見送った。自分も9%のベルジャンが回ってきてそこそこ酔っていたのでほどなくして会計。

夜は何が食べたいのかわからなくて、1時間ほどスーパーをうろついて絶対食べたら後悔するであろうブルダック麺を買ったりしていた。「疲れているけど食材があるからどうにかしなきゃ」の結果、量を見誤って大量に作ってしまったりするの良くないなと思う。しかし平日は副業もあってなかなか野菜を消費するペースが遅い。FUJI BAGELのベーグル、まだ全粒粉のものしか食べてないからかもしれないけど、リベイクしてもパサパサしていて好みの食感ではないことに気づいてしまった。今度テコナでまた買い溜めしてこようと誓った。23時頃になって、いつもお願いしている彫り師の方に新規タトゥーの相談DMを送ってから、0時頃に寝た。三連休、昼から飲んだ日曜がなんだか一番疲れていた。飲みすぎだろうなと思った。