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不妊治療のはなし18

コロナで、ごったごっただった2020年12月。
不妊治療を、えいやっと始めました。
この治療体験は、結果がどうであれ
人生の印象的な出来事になりそうだし
社会的に理解があれば
当事者がもう少し楽になる部分もある気がするので
記録的に書いてみようと思います。

第一話はこちら⬇️

ーーーーーーー

Ep.29 3回目の判定日

自然周期法で、3回目の移植を無事終えた11月上旬。
もっともそわそわするけどなにもできない、判定日までの8日間は
何度経験しても落ち着かないものです。

無駄な情報を仕入れて凹んだり
心配事を増やすことだけは避けたかったので
今回も、検索は一切せず
生理がこないことを祈り
とにかく子宮を温め
友達が作った、ぬくもりある野菜やお茶を飲んで過ごしました。
仕事のほうは、基本的には通常通りやっていましたが
代理をいつでもたてられる体制と
ハードな仕事は交代してもらうなど
周りの方々に助けていただきながらの日々でした。

なんやかんや仕事をしていれば
あっちゅーまの一週間がたち
判定日ハズカム!

そわそわするだんなさんを、この日も車に残して
いざ病院へ。
まずは採尿をして、待合室で待ちます。
どきどき。

名前を呼ばれ、先生のもとにいくと
前回同様、先生が
ラミネートされた赤い棒状の紙を持っていました。

「着床したようですね」

なんとーーーーーーー!!!!
先生が差し出してくれた棒状の紙の、二つの小窓には
片方はしっかりと(見本線)
片方はぼんやりと、でもたしかに縦の線が浮かび上がっていました。
おおおおおお。。。。
2本の線。。。。

「そうですか、ありがとうございます」

着床しても冷静な先生に倣うように
わたしも冷静な反応。

先生「今日はこれでおしまいです。
次回は、赤ちゃんが入る袋”胎嚢”が見えるか検査します。
10日後に来れますか?」

私「はい、わかりました」

先生「ちなみに田中さん、インフルエンザのワクチンは打ちましたか?」

私「いいえ、打ってません」

先生「コロナは打っているよね。インフルエンザもコロナ同様、妊婦さんは重症化しやすいから、早めに打つようにしてね。うちでも打てるし。」

私「いつ頃から打てるんですか?」

先生「今日からでも打てるよ。打ってく?」

私「こども関係の仕事をしているので、今日打ちたいです」

先生「お、それは早い方がいいね。問診票用意するから、それを書きながら待合室で待っててね」

私「わかりました。あのう、ここからも引き続き、ハードルは高いんですよね?」

先生「というと?」

私「なかなか着床しなかったように、ここから妊娠!となるまでも、まだドラマがあるんですよね...?」

先生「ああ、そうね。うーん、田中さんの年齢だと、100人に15人くらいかな、流産しちゃうこともある。この多くは母体の問題じゃなくて、卵の染色体の問題なんだけどね」

私「うげー、そうですか。まだぬか喜びはできませんね、、、ごにょごにょ」

という会話を経て、とにかくワクチンを接種することに。

待合室で、バインダーにはさまった問診票を書いていると
じわじわと実感がわいてくる。
ああ、着床したのね。。。
よくがんばったね。。。
じーんじーん。

問診票名前や既往歴の中で
「現在妊娠していますか? はい/いいえ」
という問いにぶつかる。

え、ええっと。。。。
これは「はい」なのか?
もう「はい」なのか?
「はい」にしたら、前のめりすぎか?
いや、状況知ってるやん先生。

そんな葛藤をして、一応「はい」に○をする。
ここでも、じーん。

問診票を書き終え、呼ばれるのを待っている間
ぼーっと目の前のモニターを見ていました。

あ。
そうだ。
車で待ってるだんなさんには、直接言いたいから
「お待たせしてます、もうすこしかかります」
とラインする。

続いて、遠方に住む母親に一応連絡。
先生にもらった赤い棒の写メも送ってみる。
期待しないように事実を伝える、私の文脈をくみとってか
「できることは全力でサポートするよ」
母も冷静なお返事。
今思えば、一人娘の遅い着床報告はさぞ嬉しいだろうに
母も気を遣っていたんだと思います。


しばらくして、先生に再び呼び出され
問診票をチェックしてもらい
ワクチン接種へ。
そこで、先生に
日常生活で気をつけることを聞きましたが
とくにないとのこと。
さらに次の検査まで、10日分の追加の飲み薬が処方され
看護師さんにワクチン注射してもらい、終了。
(ぼーっとしていたせいで、問診票の年齢をなぜかサバ読んでいたことに気づき、平謝りする)


お会計を済ませて
駐車場で待つだんなさんのもとへ。
かなり待ったので、もう日がくれていました。

縁起のいいことに、この日は皆既月食の日。
ちょうど時間も重なって
欠けていく月が駐車場から見えました。

それをみながら、だんなさんに
『くっつきましたよー』と報告。
「おー。」と気の抜けた返事のだんなさん。

あとから聞くと
嬉しいけど、もう喜んでいいのか?
という複雑な気持ちだったそう。
めちゃわかる。

まだまだ安心はできないけれど
3回目にして、ここまでこれたことは喜んでいいでしょう!
ということで
帰り道、ロイヤルホストにより
たまたまやっていた50周年メニューから
普段は頼まないお値段の料理を食べました。


今回の移植は、たまごさんの解凍日が一粒万倍日だったり
判定日が月蝕だったり
なんだか縁起がいい時期でした。笑

このまま無事、子宮のなかで
ぬくぬくもりもりと育ってくれることを祈るばかりです。

わたしたちの不妊治療は、ようやっと
新しい段階に進みました。

<つづく>

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