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【感想】句具ネプリ/冬至

句具さまが配布していた「句具ネプリ~冬至~」のなかから、好きな句を先にTwitterで挙げて、感想をまとめました。

わたくし八五仔拾が、好きな句から感じたことをほぼそのまま叫んでいるだけですので、読みにくいところや?な部分があっても、ゆる~くお見逃しくださると幸いです。

結構長いです。それでは行きますよ~~!!

街小春鎧坂下理容店 
吉田芳子
なんでしょう・・・この「こちら◯有区◯有公園前派出所」のような、安定感。漢字の並びで、目が楽しい。

冬座敷寿司のバランの深緑
たま走哉
年末年始、親戚たちで集まったのでしょう。予想通りなんだかどこか退屈で、ぼんやり。ポツポツとお寿司が残った桶の中のバランにふと(超緑だな〜)なぁんてしみじみ思ったりして。

遠火事にそつと雲形定規の夜
有本仁政
遠くに火事が見える。もくもくと煙があがっていて、それがあまりにもくもくとした形で、つい雲形定規をあてたくなる。(お仕事で使うのかな?)
実際の情景も思い浮かぶし、ネットの炎上なども連想させます。

冬紅葉山のみ寺の畳の香
にゃんもにゃいと
「冬紅葉」「山のみ寺の畳の香」の文字の並びが、なんとも美しい。
ひと気の無い、しぃんとした山の寺には、畳のかおりに気が行くほどに、余計なものが何も無い。

風花や洗濯機よりティッシュ出づ
香田ちり
絶望ですよね、、絶望です。トホホと何とか衣類のティッシュを取り除いても、あ〜〜!ていうか洗濯機のなかはどうなってんの・・・!!みたいに容赦なく、次の絶望が畳みかけてきますよね。あああ〜。

Quoカード十円残る年の暮
海峯企鵝
感想の前にお名前の「鵝」は合ってるか、ちょっと心配だったりします。
最近はいろんなものに押され気味なQUOカード、コンビニで使うと決意したら結構使いやすいんですよ・・・ということが言いたいわけではなくって。

もちろん様々な受け取りかたが出来ると思いますが「十円・残る・年の暮」で、やはり深刻なほうに心が向かいます。そして現金じゃ無くてQUOカードというところに、更に差し迫ったものを感じます。

樟脳の薫りとともに十二月
孔明
大掃除のひとコマっぽい気もするんですけど、桐箪笥から着物を出してくる様子が、ふと浮かんだんですよね。
新年に向けての着物の準備なのか、ちょっとべつの機会なのか。毎年恒例の事柄にも感じました。

イコールにならぬ日よ冬の蝗よ
つまりの
わたしは句作でも鑑賞においても、まず頭の中に映像が浮かぶことが多いのですが、とにかく「字の並びが好き!!」っていうパターンもあります。これは後者のそれです。
冬至周辺の蝗を思いました。

天国は寒くあるべし熱燗呑む
ギル
「おらはしんじまっただ〜」なんて唄が出てきちゃいました(笑)
作者のギルさん、呑兵衛さんなんですかね?
わたしは熱燗呑めないんですけども、やっぱり寒いほうが美味しいのかな。
何処でだって理由付けて呑んでやるんだぜ精神?が、楽しい句です。

初恋に傷オリオンはなぞれない
こっぺぱん
恋と星座をくっ付けるのはやめろ!わかるけども!!という心の叫びが、聴こえてきちゃいました(笑)

初恋の傷って、そのあと生き続けるだけでもう精一杯ですよね。そんな傷を得られたということ自体が祝福と言えるのかもしれませんが、自然とそう思えるのって、どれくらい先になるんでしょうか。

風邪薬ぬるま湯といふ大雑把
篠原新治
句意とは逸れてしまいますが、いま「薬をぬるま湯で飲む人」って、どれくらいいるんでしょう?
水やお茶は当たり前、ジュースやコーヒーは飛び道具、エナジードリンク的な飲みもので流し込む強者すら居そうな気がします(もちろん薬により、色んな飲み方があるのは承知しております)。

そんな中「ぬるま湯ってどんくらいの熱さやねん!大雑把すぎ〜」と問うているであろう、この句の繊細さに惹かれました。

北風の分厚き日々をめくる音
瑠璃星
これも「字の並びが好き」パターンです。
「北風の・分厚き日々を・めくる・音」っていうのがとてもカッコいい。さらっと流している句感なのに、説得力がありますよね。

冬銀河コペルニクスの割った皿
瀬戸優理子
銀河の星々がまるで、コペルニクス(天文学者)が「割った皿」のようだという発想が、素敵。
望遠鏡などで銀河を見れる環境でいらっしゃるのか、はたまた頭のなかの銀河なのか。もしかして「お皿座」ってあるのかな?

ビーボーイおでんダパーリィツーデイズ
押井獅子
字の並びがとにかく良いですよね。HIPHOPノリノリおでんインザウィンター2021。
・・・こちらの句を書き写すとき、ひと文字も間違えないよう、すんごく気を遣いましたよね・・・笑。

山茶花の真白き闇におちていく
村蛙
うつくしい白の山茶花。闇に堕ちていくのは白い山茶花(のようなきみ)か、はたまたそれを見付けてしまった、わたしの心か。

尻上げて尻上げて鴨進まざる
濱ノ霞
ひと目みて(かわいい)と思いました。
歩きそうなんだけどなかなか前に進まない鴨。ゆく手を阻む鴨の行列。結局おしりあげてるだけ・・・(かわいい)。
ネットで検索したら、某夢の国に居る鴨さん達が出てきました。そういえば、見たことあるような。

寒すばる優しき子から辞めてゆく
里山子
この世の真理のひとつかもしれません。その子のためにできることといったら、先の幸せを願い、ただ黙って見送るだけ。
どうか、どうか元気で。

こたつのなかにおかあさんのばかとかく
倉下 碧女
子どもの、いとおしく、過ぎるのは早く、すぐ遠ざかる記憶。今こうしてあなたと居られることが、わたしは、とても嬉しい。

あくのなき小松菜のごと暮らしをり
伊藤てまり
刺激のないおだやかな生活を送っている。楽ではあるけれど、どこかもの足りない感じは、否めない。
でもこの暮らしこそ、やっとたどり着いた「わたしの幸せ」なのだ。

冬の駅みんな何処かへ帰りゆく
ヤギさん
自分にも帰る場所はあるのかもしれないけれど、こんなことを考えさせてしまうくらい、冬の駅は寒い。だれも留まらず、心もとない。

◆ツイートでは「何処へ」と間違えてしまい、大変申し訳ありませんでした。たいへん失礼いたしました。

紐切れて今を飛びたる冬烏
珠凪夕波
ああ、やっと自由になれた。これまでは何処を飛んでいるのすら分からなかったけど、今は自分の好きに飛べる。だから、前後左右も過去も未来も、認識できる。
そんな自分で、この空を渡れる。

駱駝からもらふ一瞥冬紅葉
海音寺ジョー
思い込みかもですが、ラクダさんって「ふっ」って感じですよね。じっさいに動物園に行かれたのかな。誰かに一瞥されたあの気持ちと、冬紅葉から薫る風雅のコントラスト。
ほんと、ラクダっていつも一瞥していそうな顔ですよね(←しつこい笑)。

鉛筆の芯に入りたる寒さかな
奈央子
身体の芯に堪える寒さが、元より温度の無いような鉛筆の芯にまで響いてきたようか冷たさで、握る手にも力が入らず、文字がうまく書けない。

甘食の破れ放題冬木の芽
あさふろ
甘食、破れ放題、冬木の芽。言葉の組み合わせが良いです。甘食を焼いたらすべてのてっぺんが破れて(甘食ってそういうものですが)、春を待つ冬の木の芽を連想されたのでしょうか。
また、甘食の完成を待つ子どもの姿が、どこか繋がってきます。

蜜の香や大学芋に残る熱
どいこい
こういう「ぜったいに美味しい」句、いいですよね。さつまいもにカラメルが絡みついている素朴な感じのあの大学芋・・・ああ、食べたい。

神の旅半音下がる川の音

わたしは基本もの知りではないので、こちらの句、見る人が見ればなんらかの意味があったり、元ネタの句があったりするのかも分からないのですが・・・ただただ、好きな句です。

最後までお読みくださって、誠にありがとうございました。何処かでお目にかかる機会がありましたら、何卒よろしくお願いします。

佳き2022年となりますように!!

八五仔拾 拝

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