「善人として尊敬されたいから非営利活動をやってる人」の気持ちを、非営利活動をする企業は尊重した方がいい


子ども食堂などの地域貢献活動を、
企業がやると、

「企業イメージを上げるためにやってるだけだろ」
「ただのマーケティングだろ」
「しょせんは、営利目的」

などと非難する人がいる。

これは、半分当たっているが、半分間違っている。

ほとんどの場合、現実は、こうなっている。

企業は、地域の人々に溶け込めないと、

商売にならない。

地域の人々に受け入れられた方が、ビジネス上、得だから、地域貢献活動をするのである。

つまり、結局は、企業利益の増加につながるからこそ、やっているのだ。
これは、金儲けなのである。

一方で、金儲け「だけ」が目的かというと、それは間違っている。
ほとんどの企業の基本的な行動原理は、win-winだ。

その企業だけではなく、地域社会のみなさんも幸せにしたいと思って、企業活動をやっている。
一石二鳥を狙っているわけだが、そのうち一羽には、天使の羽が生えているのだ。


実は、非営利活動として子ども食堂をやっている人たちも、この構造は、企業と変わらない。

非営利活動をしている人のほとんどは、
もちろん、善意でやっている。

ただし、それは、彼らの動機の半分しか説明していない。

残り半分は、
「人助けをする自分は、なんて善人なんだろう!」と自己陶酔するのが気持ちいいから、やっているのである。
「人助けをする善人」として、周囲の人々に認められ、尊敬されるのが気持ちいいから、やっているのである。

「金儲け」という企業の動機が決して立派なものではないように、
「善人として尊敬されたい」という非営利活動をする人々の動機も、決して立派なものではない。
これは、巧妙に隠された、私利私欲の一種なのである。

もちろん、それ自体は、なんら問題ではない。

動機が邪だろうが、崇高だろうが、
そんなことには関係なく、善行は善行である。

それによって救われる人々がいれば、動機が営利であろうと、私欲であろうと、どうでもいいではないか。

問題は、営利企業が子ども食堂を始めるとき、
「善人として尊敬されたい」という、非営利の人々の隠された私欲を、企業がないがしろにすることである。

ファミリーマートが子ども食堂を始め、
その認知度が上がり、
人々が「子ども食堂と言えばファミリーマート」と思うようになってしまったとしたら、
それまで非営利で「善行としての子ども食堂」をやってきた人の多くは、大変不愉快に思うだろう。

もし、非営利の人が、純粋に善意から「子ども食堂」をやってきたのであれば、これはたいして問題とならない。
単に、「大手企業の参入で、より多くの子供たちが救われることになってよかったね」、で終わりである。

しかし、実際には、そうではない。

彼らは、自分たちが「善行としての子ども食堂」をやってきたことを誇りに思っている。
また、それによって、彼らが人々に善人として尊敬されていることを、喜んでいる。
「子ども食堂」というブランドは、彼らが、善人として尊敬されるためのツールであり、財産なのである。

その意味で、これは、営利企業のブランドと、全く同じものだ。
企業は、自分たちの営利のために、ブランドを育てる。
せっかく育てたブランドを、他の企業に勝手に使われ、しかも、そちらの方が有名になってしまったら、
それは「ブランドの簒奪だ」と感じることだろう。

つまり、「善人として尊敬されること」というのは、金銭に匹敵する報酬なのである。
営利企業がお金のために働くのと同じように、
非営利の人たちは「善人として尊敬されること」という報酬を得るために働いている
のである。

営利企業がお金を得るのが正当な報酬であるのと全く同様に、
非営利の人々が「善人として尊敬されること」という報酬を受け取るのも、完全に正当な報酬なのである。

後からやってきた営利企業が、その報酬を奪ったとしたら、それは泥棒である。

少なくとも、ファミリーマートは、そのプレスリリースの中で、
非営利で子ども食堂をやってきた方々の「善人として尊敬されたい欲」を
十分にケアしてやらなければいけなかった。

彼らの非営利活動のおかげで、今まで、どれだけ多くの子供たちが救われたかを讃え、
彼らの善行に心からの敬意を表し、
今後は、彼らと一緒になって、子ども食堂の輪を広げていこう、というスタンスをとるべきだった。

これは、子ども食堂に限らず、
企業が非営利活動をするときは、必ずつきまとう問題である。
企業は、企業の非営利活動によって救われる人々とwin-winになることを目指すだけでなく、
非営利組織の人々ともwin-winになるように、非営利活動すべきなのだ。

そこまでできて初めて、
真の大企業の器と言えるのではないだろうか。


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