笑いと常識

Spot Light - 春菜の芸を見ても笑わなかったアリアナが、CM中に伝えた言葉に考えさせられる

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お笑い芸人の人たちが披露してくれるコントや漫才などのネタやトークでは、常識から外れていておかしいことに対して笑いが起こる。

また、くだらないダジャレというものは、日本語、日本人のコトバの感覚があって初めておかしいと思える。

そういうある枠組みから外れていたりすること、奇妙な偶然やコトバや感覚の上手い使い方によって、おかしさを感じさせる。

つまり、笑いというものは、その地域の文脈に非常に依存している。

もう少し砕いて言うと、カルチュラル・バックグラウンド(文化的背景)、言語的背景と密接に関わっている。つまり、その地域の文化やコトバと切り離せない関係にある。ということで、その時期その時期の社会情勢(時代)や常識とも密接につながっている。言われてみれば当たり前のことだと思います。

日本でほとんどの人が笑ってしまうようなことも、日本から一歩出れば全然ウケないとか、ウケても、外国の人たちは、日本人と違うところで笑っている、というのは非常によくある話でしょう。

そういう文化や言語の違いを逆に利用して、厚切りジェイソンのように、アメリカ人という立場をうまく使っていけば、ネタ自体はあまり面白くなくても、面白くできることもある。

「時代・地域・コトバ・常識が変われば、笑いも変わる」ということ。

Mr. Beanのように、コトバをほとんど使わずに、ノンバーバルの(非言語、コトバではない)笑いに軸があるものなら、そう言ったギャップに影響されることは比較的少なく、より広い地域で理解されやすいと思いますが、それでも極端な話をすれば、近代西洋文明のほとんど及んでいない地域で暮らす人に見せたとしたら、その人たちは「何がおかしいのかわからん」と思うでしょう、多分。

このニュースである「◯◯じゃねえよ!」は、「こういうのいいのかなー。。。」とか「自分が仮にフるとしたら気がひけるなあ」とか思ったりもしつつ、やっぱり面白いと思ってずっと笑ってましたが、アリアナの反応は、欧米では結構浸透している感覚だろうとも思います。自分はまだカナダのトロントで1年暮らしてるだけですが、やはり身体的特徴をバカにするやり方は、ジョークでも好まれないことは多いな、と思います。

日本は行き詰まっている、息苦しい、と個人的に感じてきましたが、もし日本が行き詰まっているとして、それを打破できるとすれば、それは日本の価値観を変えていくことにあるんじゃないか。

日本はテクノロジーや製造業の技術、サービスの細やかさなど、「細部へのこだわり」「追い込み」「テクニックの高さ」といったところでは、たぶんすごく多くの面で世界最高水準にあるのでしょう。(全部を自分で確認したわけじゃないので、憶測の域を出ませんが)

カナダに来ても、日本のほうが便利だったり、ちゃんとしてたりすることにたくさん気付かされます。(それでも今のところではトロントのほうが日本より居心地がいいと感じていますが)

ただ、その一方で、日本人は、神経質すぎたり、規範意識が強すぎて、心に余裕がなくなったりしていることも否めないと思います。電車が数分遅れたら腹をたてるとか、なんでもキッチリ完璧じゃないとダメとか、何か一つ欠点を見つけると、相手を全否定したりとか。自分自身のことを振り返っても心当たりは沢山あります。

そんな時、違った文化や言語に触れ、そういう環境に身を置くことは、自分自身のことや自分の国や文化などを客観的に見つめ直すいいきっかけになると、実際に日本を飛び出してみて体で学びました。外国語を学ぶ、ということの最も大きな意義の一つも、そこにあると思います。つまり、日本や日本語を、違う言語・外からの視点で客観的に見ることでしか得られないものがあるということ。そうすることで、より日本語や日本に対する理解も深められる。それは、例えば、誰かのことをバカにしていた人が、自分もそのバカにしていた人と同じ目にあうことによって、自分のそれまでしていたことを反省できるようになる原理にも通じます。

身体的特徴や性別、人種などを笑いのネタにすること、バカにすること、差別することに対して欧米の意識は近年でまた変わってきているのかもしれません。なので、そう言った分野では、日本も欧米に学べることはたくさんあると思います。(なんでも欧米と同じにしろということではないです。むしろ逆に、欧米とは違う路線を行ったほうがいいこともたくさんあると思います。)


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