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125ccのバイクで日本一周【旅を終えて】 

身震いがするほどの嫉妬心。

改めて思うと、自分がこの旅をした最大の理由はコレだったかもしれない。

何に対しての嫉妬かと言うと「自分がいつかは行きたいと思っていた場所に行って、楽しそうにしているTV番組や動画に出演している人全て」にだ。特に、某バイク旅番組なんかは見ていてとても辛かった。

「何故、俺は行きたくても行けてないのに、大して興味も持ってない彼等は行ってるんだ。あの海沿いの素敵な道を走るのは俺のはずなのに。しかも走行シーンをドローンなんか使って撮りやがって」

悔しくてムカつくから観なきゃ良いのに、何故かまた観て、また悔しがって。そんな頭の悪い時間を何度も何度も繰り返していたら、限界が来ましてね。気付いたらバイクを購入し、勤め先に退職願いを出していました。

とても立派な大人のする事ではありませんね。

もちろん「身体が動くうちに自分の生まれ育ったこの国を、出来るだけ全部感じておきたい」って思っていたのは本音で、やるなら「バイクで下道で」ってのもずっと前から決めていた。ただ、そう思い決めてから何年経っていたかって話だ。



いつやる、いつ行く、いつ旅立つ?


思ってはいても中々実行に移せない、移さない自分がいたんだな。気持ち的には行きたい場所を厳選して旅サイトを観たり、中古バイクを探したり、キャンプグッズを調べたりと色々とテンションを上げてはいたんだが、結局何時なんだってなると、どうにも腰が重い。

言い訳は色々ある。自分の年齢、現在動いている仕事のスケジュール、今後の生活、金銭面など数え上げたらキリが無い。

だが、そんな言い訳を全部吹っ飛ばしたのが、先に上げた「身震いがするほどの嫉妬心」ってヤツだったんだと今になって思う。

元々、思い決めたら即行動な性格ではあったんだが、流石に仕事を辞めて期限の見えない「あてのない旅」をするってのには、馬鹿な俺でも多少の躊躇があったんだろうな。

それなら、もう少しコンパクトにしてリアリティーのある「ちょい旅」にすれば良いじゃないか。それを何度か繰り返せばいつかは日本一周だって出来るし、会社も辞めずに済むしな。

だが、それは俺にとっての「旅」じゃ無い。俺がやりたいのはそれでは無いんだな。本当に面倒くさいヤツなんだ。

行った事の無い、見た事の無い場所、景色、造形、建築物を堪能するにあたって、俺が決めていたルールは先に上げた「バイクでの下道旅」そしてもう一つ、「予定を決めない」ことだった。

自分で勝手にハードルを上げ、その高さにビビって飛べない俺のケツを最終的に引っ叩いてくれたのが限界まで溜まり溜まった「嫉妬心」だったわけだ。

まあ、人に言っても伝わり難いだろうな。

そういう事ってあるよね? と女房に聞いてみたら、ちょっと何言ってるか分からないって言われましたよ。



「何処だコレ?」の連発。

何にしても俺は旅立つ事にしたわけだ。その間の事はこの記録に残したのでここでは割愛するが、出発してから4ヶ月後に無事に帰って来れた。そして、自分にとって素晴らしい財産が出来た。と思う。はずだ。多分。出来たのか?

正直、帰宅当初はハッキり言って良く分からなかった。これからの生活のための準備に忙しく、旅の思い出に浸っている時間も余裕も無かった。

それから暫く時が経ち、なんとか今後の方向性が定まり生活が落ち着いて来た時、何気なく旅の撮影画像を見てみて驚いた。風景みても建物見ても、それが何処で撮ったものか思い出せない。

まさに「何処だコレ?」の連発なんだ。

いやいやビックリしましたね。自分の脳を信じられないヤバい俺がいましたよ。これはマズいぞと流石に焦りましてね、慌ててこのような旅の記録を残すことにしたわけです。はい。

しかし、実際初めてみるとコレがもう大変。Googleマップのタイムラインの走行記録と撮影画像の日付、そして当時のメモやメール、家族や友人に送ったSNS の記録等を読み返し、薄れていた記憶を蘇らせながら書いていたのだが、まあ時間が掛かるのなんのって…。

アクションカムで動画も大量に撮っていたんだが、流石にそれまで整理していたら何時になっても終わらないと思い、今回はスルーしましたよ。良い動画一杯撮ったんだけど仕方なし。



追憶、追想、回想、回顧。

そして何より大変だったのが、旅の記憶を蘇らせるとそのまま当時のメンタル状態になってしまう事だ。楽しかった事や大変だった事、感動した事や辛かった事が全部蘇ってくる。

暑くて寒くて快適で、身体が痛くて健やかで、心身共にキツくて、でもそれ以上に最高だった記憶が全部蘇ってくる。

やはり、それくらい濃度の濃い時間を過ごしていたんだと思うのだが、疲れるんだなコレが。1日分の記事を書くだけで信じられないくらいヘロヘロになる。脳だけでなく身体も疲労を思い出すから不思議なものだ。

仕事が休みの日になんとか重い腰を上げ、少しづつ書いていたんだが、気付いたら4ヶ月分の記録を書き終えるのに1年以上もかかってしまいましたよ。阿呆ですな。

本当、ようやく終わりました。

面倒臭くて何度も放置してしまいそうになったが、何とか書き終えられたのは、こんな私的な「駄文旅記録」を読んでくれる人がいてくれたからです。読んでくれる人がいるのなら、やはりちゃんと書き終えねば。そう自分に言い聞かせておりました。

本当にモチベーションが上がりました。感謝です。有難うございました。

今後は、まだまだ書き切れていない事が多いはずなので、思い出した事があれば加筆修正をしたり、撮影した画像の追加、またアクションカムの動画を編集してアップをしていこうかと思っております。

兎にも角にも「125ccのバイクで日本一周」を読んでくれた全ての人に感謝です。

ありがとうございました。


125ccのバイクで日本一周をした時の記録
総日数 121日
総合走行距離 13,300km
フェリー乗船 16回(バイク乗船12回)
東京出発、北は利尻島・礼文島、南は奄美大島・加計呂麻島まで
日本本土4極踏破(宗谷岬・納沙布岬・神崎鼻・佐田岬)
四国遍路結願
レッカー手配 1回



最後にこの旅の記録を、もし生きていたら今回の俺のこの旅をゲラゲラ笑って一番面白がってくれたであろう、今は亡き友人Sに贈ります。


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