さくらももこ『たいのおかしら』

読書感想文
さくらももこ『たいのおかしら』

さくらももこのエッセイは、活字に苦手意識があっても面白くてサクサク読めるから好き。
さくらももこの漫画はもちろん面白いけど、エッセイに関しては活字だからこそ吹き出してしまう気がする。
文章のテンポが良くて、突拍子もなく飛躍した比喩が来たらもうたまらない。
電車だろうがどこだろうが吹き出す。


幼き頃のさくらももこが女優とツーショットを撮った時のお話。
さくらももこはツーショット写真を見て、「そこには女神とモグラが写っていた。」と表現しちゃうのだ。(p.60「町に来たTVに出てる人」)
「モグラみたいな自分が〜」とかくどくど言わないのだ。
このような、簡潔かつ鋭くて面白い比喩が突然出てくるから好き。

「巻末お楽しみ対談」も面白かった。
三谷幸喜との対談の中で趣味を尋ねられ、外出が嫌いなさくらももこは、「やっぱり家にいて、ウロウロしたり、時々おならをしたりするのが楽しいですね。」と淡々と話している。(p.261「巻末 お楽しみ対談」)

「時々おならをするのが楽しいですね」って何?

おならについてよくよく考えているさくらももこらしいけれども、楽しいとかあるんだな。


突拍子もないことを言っているのにあくまで淡々と、真顔で語るかのように表現されているところがやっぱり面白くて好き。
それを期待して読み進めているわけではないけれど、元気な時でもそうでない時でも読めるさくらももこの文章は、自分にとって、日常のちょっとした救いになっている。

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