ふー

まーだくすぶってる。

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最近の記事

私の腹は湘南のギャル

これは、大学を卒業して、社会人一年目の1月頃に書いていた記事。 ・ ・ ・  私は、大きくはないコンビニ程度の広さの部屋に、職員10人程度がデスクワークのようなことをしている職場で働いている。この空間に慣れるまでに一年かかった。ちなみに、この職場で私は社会人デビューを果たしている。同期はおらず、全員先輩だ。共に働く職員が厳しかったり理不尽なわけではなく、新任に丁寧な対応をしてもらっていたなあとも思うが、ほんとに空間が嫌だった。    私は今の職場につくまでアルバイトで楽し

    • 喜多川 泰 『「福」に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣』

      私はあまのじゃくだから、よかったとは素直に言えそうにない作品だった。 でも、ひたむきで前向きな作品だった。 後半、伏線をどんどん回収していく場面ではむずがゆくなってしまったため、私は捻くれているのかもしれない。 「自らの生きる目的をしっかり持った時、手に入るものすべてはそれを実現させるために必要な道具になる。その道具を手に入れたときに不安を感じることなどない。」p.108-109 願望がないまま、なんとなく幸せになりそうなものをなんとなく頑張って手に入れたとしても、実際に

      • 今村夏子『こちらあみ子』

        『あひる』を読んだ知人が、「この作家はずっと低空飛行しているような文章」と表現したのがしっくりきた。今村夏子の小説をいくつか読んでみたけど、『こちらあみ子』もやはり低空飛行だと感じる。あみ子やその他の登場人物に様々な起伏はあるけれども、文章自体は低空飛行。 『こちらあみ子』は、今村夏子の小説の解説で絶対といって良いほど触れられているし、大絶賛されているから気になって読んでみた。 私の感想の一言目は「よくわからなかった」に尽きる。 なぜこの作品が絶賛されるのか意味がわからな

        • 今村夏子『星の子』

          今回もサクサク読めた。 巻末の対談にもあるように、今村夏子は「子どもの目に映ったことしか書かない」から、そこまで活字が得意じゃない私でも読めるのだろうと思う。 以前、『むらさきのスカートの女』についての感想を投稿した時にも思ったように、今回の『星の子』もずーっと不穏な空気が流れる作品だと思った。 主人公である「わたし」の目に映ったこと、事実は、子どもの「わたし」自身が歪みや違和感(マフラーが与えられない環境や、法要のご飯に異常なほどの期待をするところなどなど)にはっきりとは

        私の腹は湘南のギャル

          知らん人と話した

          2023年9月29日18時頃 最近、家から少し離れたコーヒーチェーン店の喫煙者席をよく利用する。 席でタバコが吸える訳ではなく喫煙所で吸うタイプなのだが、この店の喫煙者席は禁煙席からかなり隔離されており、完全に死角になっているから、タバコを吸おうが吸わまいがこっそり過ごせて良い。 文章を作ったり読んだりするときにぴったりだと思う。 今日は他のお客さんがおらず、一人のびのびと過ごしていたところ、おじいさんがお客さんとしてやってきて、突然話しかけてきた。 「なあ、何してんの。

          知らん人と話した

          今村夏子『おばあちゃんの家』、『森の兄妹』

          今村夏子『あひる』に、『おばあちゃんの家』、『森の兄妹』も収められている。 『おばあちゃんの家』と『森の兄妹』がリンクしているとわかった時びっくりした。嬉しくなった。 『おばあちゃんの家』 優しいおばあちゃんの描写は、それだけで泣きそうになってしまう。 家族に煙たがられているというほどでもなさそうだが、そもそも、「インキョ」と呼ばれていることから良い場所ではない雰囲気がある。 みのりが隠居の意味を知らないからインキョと表現されていることから、みのりが小さい時からずっと、イン

          今村夏子『おばあちゃんの家』、『森の兄妹』

          今村夏子『あひる』

          今村夏子の作品で初めて読んだのが『あひる』。 オードリーの若林がラジオでさらっと名前を出したことがあるのを思い出して、読んでみることにした。 以下、整理が難しかった文 とある家庭に、あひるののりたまがやってきたことで変化していく。 私はあひるがかわいくて好きだし、のりたまって名前も似合っていてとても愛らしいと感じる。 一方で、登場人物たちは全然かわいくない。一見とっても普通なんだろうけど、事実を文章にすると出てくる不穏さがある。 「わたし」、父、母だけでは明るさがなかった

          今村夏子『あひる』

          とある短歌について考える

          立てるかい 君が背負っているものを 君ごと背負うこともできるよ 木下龍也 グッときた短歌について考えたことを書く。 この短歌はブックカフェの店員さんに選書してもらった本に書いてあった。 選書してもらう過程で、「普段どんな本を読みますか」と聞かれた。 あまり本を読まない私はパッと思いつくものがなく、サブカル漫画代表の某作品(個人的に)が目の前にあったため、「これは読んだし全巻持っています」と伝えた。 店員さんに「あ〜なるほど(笑)」と言われ、サブカル好きと認定されたことを

          とある短歌について考える

          今村夏子『むらさきのスカートの女』

          感想が浮かびづらい。 雲行きが怪しい雰囲気、不気味さがずーっとちらついている話だった。 (※この文章を私じゃない人も読んでくれているかもしれないけど、物語の要約とかせず、ただただ思ったことを言葉にしていくよ。) 黄色いカーディガンの女(以下黄色)は、むらさきのスカートの女(以下むらさき)をずっと追っている、付き纏っているわけだが、そんな怪しいことをしているにも関わらずあまりにも他者からの反応がなさすぎる。 黄色が色々やらかしているため、読んでいて、「おい黄色!世間体とか考

          今村夏子『むらさきのスカートの女』

          さくらももこ『たいのおかしら』

          読書感想文 さくらももこ『たいのおかしら』 さくらももこのエッセイは、活字に苦手意識があっても面白くてサクサク読めるから好き。 さくらももこの漫画はもちろん面白いけど、エッセイに関しては活字だからこそ吹き出してしまう気がする。 文章のテンポが良くて、突拍子もなく飛躍した比喩が来たらもうたまらない。 電車だろうがどこだろうが吹き出す。 幼き頃のさくらももこが女優とツーショットを撮った時のお話。 さくらももこはツーショット写真を見て、「そこには女神とモグラが写っていた。」と表

          さくらももこ『たいのおかしら』

          井伏鱒二『山椒魚』

          読書感想文 井伏鱒二『山椒魚』 「山椒魚は悲しんだ。」から始まる、あの有名な小説。 私は活字を読む時にある程度の覚悟が必要な人間だ。 だから、あまり手に取らないのだけれども、山椒魚なら可愛いし、読める気がすると思って読んでみた。読めた。 山椒魚が嘆いているの様子が愛おしい、そしてやっぱり可愛い。 あのでっぷりとしたフォルムの山椒魚が、岩屋から出られなくなるほど発育したことにより嘆いている。 そんなの痩せるしかないのに、少し卑屈になりながら嘆いている生き物が、あのただでさ

          井伏鱒二『山椒魚』