知らん人と話した

2023年9月29日18時頃

最近、家から少し離れたコーヒーチェーン店の喫煙者席をよく利用する。
席でタバコが吸える訳ではなく喫煙所で吸うタイプなのだが、この店の喫煙者席は禁煙席からかなり隔離されており、完全に死角になっているから、タバコを吸おうが吸わまいがこっそり過ごせて良い。
文章を作ったり読んだりするときにぴったりだと思う。

今日は他のお客さんがおらず、一人のびのびと過ごしていたところ、おじいさんがお客さんとしてやってきて、突然話しかけてきた。
「なあ、何してんの。一人?なあ。」
すごい話しかけてくる。服装も顔も歯も茶色くて、前歯の横の歯が2、3本ないおじいさん。
目を合わせず、身体もおじいさんに向けず、適当にあしらっていてもおじいさんは食い下がらない。くそう。知らない男性から急に話しかけられるの普通に怖くて苦手なんだよ。

いっぱい話しかけてくるおじいさんから、「ねーちゃん何歳?」と聞かれたので、「おじいさんが想像する年齢で良いです」と答えてみた。
おじいは最初は30歳と言ったものの、申し訳なくなったのか20歳超えてる? と聞いてきた。「喫煙席にいるのでさすがに超えています」と伝えた。
おじいは色々と一人で喋り続け、私は25歳ということになった。

おじいは72歳らしい。
おじいがすぐに教えてくれたわけではない。いっぱい話しかけてくるおじいが無愛想な私に素直に年齢を教えてくれるわけがない。
おじいは、無い歯を剥き出しにして、「セブンイレブンに2足してみたら俺の歳」などと喋っていたが、「暗算は苦手なんです」と伝えたところ、色々と一人で喋りながら72歳だと教えてくれた。イレブンは関係ないようだ。

おじいは片手にずっとタバコを持っていたから、吸ってきたらどうかと促した。
おじいはまた何やら喋りながら喫煙所の方へ行った。

私は一人で過ごしたかったため、今日はもう帰ることにした。
一応おじいに声を掛けてから帰るかと思って喫煙所を覗いたが、おじいの姿がない。
すると、男子トイレから、布マスクをしたおじいが出てきた。
なんでこのタイミングでマスクをしたくなったのだろう。もう歯抜け顔は見えなくなった。

おじいが、「にこちゃん、もう帰るんか」と聞いてきた。
にこちゃんって誰だよと思ったので聞いてみると、私が25歳(おじいの中で)だからにこちゃんらしい。
おじいに、どこに住んでいるのか聞かれたため、近所じゃないけど近所ということにした。
おじいにも聞いてみた。
おじいは近所に家も職場もあると言った。
鉄工所で働いており、よくよく話を聞くと社長っぽい。
おじいに「毎日お疲れ様ですね」と伝えると、びっくりした表情をされた。
「なんでそんな顔するんですか」と聞いたら、おじいは「仕事なんてしてない。いつも四葉を探して歩いている」と言った。
まさかのメルヘンな返答。
面倒なおじいだなと思っていたけど、別れ際には「またね」と伝えてみた。

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