扉の向こうで 〜上司とのコミュニケーション〜
仕事のことです。
ちょっと前にいろいろとありまして。
このままじゃやばい、と自分の心を守った話です。僕は戦いました。
今日はそんなブログでございます。
皆さまは職場でのストレス、いかがでしょうか。
こんにちは。心理カウンセラーのフミでございます。
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昨年秋から勤務している今の職場。職場自体は大きな建物ですが、僕が働く場所はその建物の一角にある閉ざされたドアの中。窓もなく、エアコンと空気清浄機が設置された4畳ほどのサーバールーム。セキュリティの関係上ドアは常にロックされ、外からの音も遮断された静かな部屋。そこが仕事場です。そこで一日中パソコンと向き合っています。
狭いだけでストレスなのに、それにプラスして一緒に仕事している上司というのがこりゃまた本当に厄介な人でして。心理学的にいえば”傷ついてる人”なんでしょうか。
自分の非を認めない完璧主義者。正しさだけを振りかざし、やたらと人を見下しては揚げ足やマウントを取りまくる。人によって態度を変えるのはざらで、攻撃的なメールや電話対応はデフォルトで、手に負えないほどの気分屋。
良い面だってもちろんある。問題解決能力はズバ抜けているし、考えるスピードは早く、日英の翻訳力は誰も真似できない程の職人技で、経験も知識もとても豊富。
そんな彼、なぜか僕にだけは優しくフレンドリーに対応してくれていました。作られたようで、ナチュラルとも感じられる不思議な笑顔で接してくる上司。
本当の彼は一体どっちなんだろう。彼のことを100%信じることができず、ちょとした不信感というか違和感を感じながら一緒に働いていました。
時間を共にするにつれ、その不信感は不安や怖れとなり、気づけば毎日ビクビクしている自分がいました。息苦しく、恐怖に怯え、気を張り巡らせる仕事の時間。だんだん朝起きることも苦痛になっていきました。
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働き始めて2ヶ月経った頃のある日。
『じゃあ、もう教えることはもう全部教えたから。明日から一人でやってみてね。質問があれば聞いて』
とニコリともせず真顔で言われ、それから僕は一人で業務に取り組むことになりました。本当は「はっ?」って思っていましたが。
入社して2ヶ月。まだまだ全然わからない。何も見えていない。何がわからないかも分からない。
業界特有の専門用語を覚えたり、社内独自のルールも細かくあまりにも複雑。これは理解した!と言えるものが何一つなく、その不安とストレスは膨らんでいく一方でした。
上司は今の職場で10年以上も在籍する古株の大ベテラン。一方で、僕は業界も業種も(ほぼ)未経験の新人。言ってみたら上司が自立側で、僕が依存側。
何もできない僕は上司に依存するしかなく、選択肢や決定権を全て委ねている状態。絶対に歯向かうことは許されず、指示通りに動かないといけない、身動きの取りづらいポジションにいました。まぁ会社なのでそれが当たり前っちゃ当たり前なんですがね。。
時が経つにつれ上司はこの関係性にあぐらをかき始めたのか、なんでも「はいはい」と聴く僕に好き放題振る舞うようになっていきました。やっと本性が出てきたのか、完璧主義の押し付けや、コントロールと支配が常態化し、マウントや揚げ足もエスカレートしていく。
入社してたったの2ヶ月。もう僕の顔は死んでいました。
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そして。
事が起きたのは昨年末の12月。
素朴な疑問を上司に質問した時のことでした。
嫌味を含んだ返しの連続に怒りどころか、ポカーンとしてしまいました。キレている上司を見て、何も感じない「無の状態」といった感じ。
何も感じないように心が反射的にシャットダウンしたのでしょうか。
答えは絶対にすぐ教えない。答える前にまず尋問。ストレスを発散するように、高圧的な態度で。怒りながら答えるその表情の奥には、僕をどこか弄んでいるかのような醜い遊び心も見えていました。
外の世界をドアで遮断された4畳の部屋。誰も知らない、閉ざされた世界。サーバールームが牢獄にように見えてきて、いつまでこの刑期は続くんだ?どれだけ罪を償えばいいんだ?と意味不明な罪悪感さえ湧いてくるような空間。
そして12月25日。クリスマス当日。
朝から理由なく機嫌が良かった上司に見て、「言おう」と決めました。
打合せと昼休憩が終わり、午後の仕事がスタート。
しかし上司とは会話が交わされることはありませんでした。
お互い半径1メートル以内に座っているのに。何も話さない、話そうとしない。神経が切れるんじゃないかと思うぐらい張り詰めた空気感。
それでも時間は刻々と過ぎていき、終業時間に。
「もういいや、コイツ」なんていう諦めから、帰る前にもう一度だけ言ってみることにしました。
『あの、…今朝のことですが。ただ気持ちを分かって欲しかっただけなんです。Yさんに仕事のやり方を変えろとかではなく。それだけです。お疲れ様でした』と言って、ドアを開けようとしたら
『うーん…わかったよ。なるほどな。まぁ俺も短期間でいろいろ詰め込みすぎたしさ。君には全部分かってもらってると勝手に勘違いしてた気がする。期待しすぎてたのかも。でもそういうことね。今後は気をつけるわ』
シャイだったのか、目を逸らしながらも歩み寄ろうとする言葉を上司からもらいました。
受け取ってくれました。
スッキリして、ホッとしました。
翌朝の通勤中、バスの窓に反射した自分の顔を見て顔色が良くなっていることに気づきました。気持ちがだいぶ楽になって質問もしやすくなり、上司の態度が少し変わっていたことも察しました。
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感情の解放、そしてコミュニケーション。
怒りをぶつけるのは簡単です。でも怒りは二次感情と言われていて、その奥にある【わかってほしい】【助けてほしい】という本音を聴いてあげることが大切ですよね。
本音を言ったらキレられるんじゃないか、火に油を注ぐのでは?と恐怖に怯えながらでも自分の気持ちを素直に聴いて出すということ。
人を変えることは不可能だからこそ、自分が感じたこと、思ったことを伝えることはできるわけだし、その権利は誰にだってある。
そして伝えてみる。
自立しすぎた人ほど本音を引っ込め、感情を出さず(わからず?)自己完結する癖があります。僕もその典型です。すべて自分一人で終わらせ、完結させる。でも感情や本音はそこに放置されたまま。
『ん?』となってたらスルーせず、自分はどう感じて、何が嫌で、何をわかって欲しいのかだけでも向き合ってみる価値はありそうです。それを言う言わないは別として。
でも勇気を持って「こうされた時に、こう感じた」と伝えるだけでも立派な感情の解放になりますよね。相手がどう反応するかは関係なく。
環境も人も、現実は何もかわっちゃいない。けど自分の気持ちを解放するだけで、こんなに向き合う気持ちが変わるんだということを身をもって体験しました。
伝えて、伝わった。
伝えるよりも”伝わる”って大事ですよね。
きっと上司にとっても良かったのではないのか。そう言う風にも思いました。だってストレスに潰されて社員が突然来なくなる、なんて職場はそこらじゅうにあると思うし。だからきっと”言ってくれてありがとう”ぐらいは思ってくれているはず。はず、です。
本音を言うことで薄っぺらい関係性から、より親密で本音で繋がる関係性みたいなものも感じました。事が起きるまではそんなことは考えなかったけど、親密感の怖れってこう言うことなのかなと学習しました。今頃ですが(笑)
この経験で僕は一皮剥けたような気がします。
結果オーライで本当に良かった。
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というハッピーエンディングなお話でした、となりたいところなのですが。
実はこれには続きがありまして。。
それはまた後日書いてみたいと思います。
今日はこの辺で。お読みいただきありがとうございました。
フミ
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