マネジメントは、その話す言葉によっても、一般市民が経済の現実を理解することを不可能にしている。この点においてもまた、リーダー的な地位にあるものとして、「知りながら害をなすな」の原則に反している。（中略）彼らは、企業の目的は利潤の最大化にあると説明している。

『はじめて読むドラッカー【マネジメント編】 チェンジ・リーダーの条件』 Part３　マネジメントの責任　２章　いかにして社会的責任を果たすか
p109より

企業の目的は利潤の最大化ではありません。
社会問題の解決などによって、社会に対して良い変化を起こし続けることです。
良い変化を起こし続けるために必要なのが、組織を維持するため、資金を調達するため、リスクをカバーするため……の「利益」という手段であって、出資者への配当金拠出は本当の余剰でしかありません。

「株主の皆様への配当はわずかな余剰でしかなく、出せない可能性がありますが出資してください」といった伝えにくいこともきちんと伝え、組織の存在意義、存続するための手段に納得して支援してもらう、そのためにマネジメントする必要が在ります。
「マネジメントとは”方向づけ”である」とこちらでもお伝えしました。

なぜこの事業を行うのか、そのためにどのくらいの資金が必要で、次の事業を行うため、リスクを回避するため、先行投資するために利益を充当する、という方向づけが必要です。
方向づけのための説明責任は、出資者に対しても発生します。
実際の利益を生み出すのは顧客です。
顧客の問題解決をするために、資本提供という手段を使って組織を支援するのが出資者の役割です。

出資者のために事業運営をしているわけではありません。
社会の問題解決のための資金が必要なので、将来的にも配当はできませんが出資してください、と言えるだけの事業の魅力をつくり、その方向に顧客、社員、出資者……全員にその方向を向いて全力で努力してもらうことがマネジメントではないでしょうか。

投資、資本、利益……事業にまつわるお金の話を考えるとき、思い出すのがLOVOT［ラボット］です。

林氏によると「本体価格の約35万円はほぼ製造原価で、ここに開発費などは含まれていない。より多くの人々にLOVOTを届けたいという思いから、この価格に設定した」とのこと。
開発費はすべて資本調達で賄われているということでしょう。

出資者として、実際の商品が発売された今後をどう考えているのか……気になるところです。
サブスクリプションサービスですので、いつかの段階でこれまでの開発費を充当できる日は来るのだと思います。
２代目、３代目と開発は続く……？　メンテナンスは……？　会社そのものの存続は……？
「ひとのじゃまをする存在」であるLOVOTは、きっと長く誰かの近くに寄り添い続けます。
それは、組織の存続よりも長くなるかもしれません……。
LOVOTと寄り添う未来はどんなものになるのか、今からこっそり期待しておこうと思います。

「（社会に害を与えることになりますが）出資者の皆様に配当金を出せるだけの利益をあげることができました」
その組織に所属し、事業を運営していくうえで、どんな立場であっても関わるメンバーはみな事業運営に関わるプロフェッショナルです。
プロフェッショナルとしての知識があるのにもかかわらず、その知識を使って社会に対して悪い影響を与えてはなりません。

「知りながら害をなすな」
正論だけで正しいことを推し進めることができない世の中になってしまっているように感じます。
知識を有する者として正しく行動したいのに、外圧に屈してしまった……そんな言葉が、粉飾決算や事故を引き起こした際に聞こえてきます。
知っていて悪事を見過ごさないでください。
あなたの知識は、社会を良くするために使ってください。
あなたの「誰かを想った正しい行動」は必ず誰かのためになるはずです。

利益は、社会を良くするための手段です。

あなたの事業によって生み出された利益で、次はどんな社会問題の解決を目指しますか？
賛同してもらうために、どんな説明をしますか？
利益の在り方について、チームメンバー、組織内での認識をどのように整えますか？
出資者に対し、利益の適切な使い方についてどのように説明しますか？

『実践するドラッカー【利益とは何か】』　
chapter１　「利益」とは何か　p22　#10

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サークル始めました♪
利益の使い方として、新しい学びへの充当、という手もありますよ( *´艸｀)

実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、５つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
ドラッカー先生の言葉と佐藤先生の解説が１セット、そこかしこに「今のあなた」に必要な言葉が散りばめられています。
佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか？

［利益とは何か］は、ミッションからスタートする＜５つの質問＞というツールを使いこなせるようになることを目的に書かれています。