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日本全国不動産掘り出し情報①

このnoteでは、『月刊不動産流通』の過去の記事を紹介しています。

今回は、「日本全国不動産掘り出し情報」
知る人ぞ知る全国各地の不動産情報を(株)遊都総研が解説するコーナーです。『月刊不動産流通2019年1月号』より、「東大阪市」「北見市」を紹介します。

★東大阪市

「ものづくり」を中心とした連邦型のまち。
「東大阪新都心」の整備も進む

市内で「核」となる市街地の一つ、近鉄奈良線と近鉄大 阪線が合流する「布施」駅周辺

 大阪府のほぼ中部に位置し、西は大阪市に、東は奈良県に接する東大阪市。1967年に旧布施市・河内市・牧岡市の合併により誕生した連邦型のまちで、人口は約50万人。大阪府内では大阪市、堺市に次ぐ人口規模を誇る。

 生駒山地に接する市域東部を除き、市域の大部分は平坦地で、1㎢当たりの人口密度は8,000人超と高く、可住地はほぼ開発し尽くされた感が強い。大阪市とは市街地がほぼ連続していることから、一見するとおしなべてベッドタウンのようにも見えるが、同市の昼間人口は103%(2015年国勢調査)。市内には製造業を中心に就業先が多いことから、市内通勤者の比率が比較的高く、他市からの通勤流入も少なくない。ただ、旧3市による連邦型の合併という経緯もあって、核となる地域が分散していることから、人口規模に比べてまちとしての求心力は乏しいようにも見える。

 同市の鉄道の大動脈は、市域を東西に横切る近鉄奈良線と、その北側約2㎞で並行する近鉄けいはんな線。近鉄奈良線は近鉄大阪線を介し、近鉄けいはんな線は大阪メトロ東西線を介してそれぞれ大阪市の都心に直結。東西方面の移動に関しては利便性が高い。

 一方、南北に関しては、市域西側でJRおおさか東線が開業したものの、道路網も含めた南北の移動が同市の課題の一つになっているという。

 なお同市では近年、近畿自動車道と阪神高速東大阪線がクロスする東大阪JCT(荒本IC)を中心とした「東大阪新都心」の整備が進んだ。同地区ではこれまでに、東大阪市役所のほか、大阪府中央図書館や大規模な府営住宅などが設置され、新たなまちの「核」の一つになっている。

 製造業を中心としたものづくりのまちで、複数の核を持つ連邦型のまちでもあり、ベッドタウンとしての機能も併せ持つ同市。今後どのように発展していくのか、注目したい。

★北見市

駅前ビルから百貨店が撤退。
分散している市役所を集約へ

北見市の市街地。一見すると道内によくあるまちのよう に見える

 北海道東部、オホーツク総合振興局(旧網走支庁)管内のほぼ中央に位置する北見市。札幌からは約300㎞、旭川からは約170㎞の距離にある。その中心市街地はオホーツク海より40㎞ほど内陸部に位置するが、平成の大合併により、オホーツク海から石北峠に至る東西約110㎞にも及ぶ細長い市域となった。現在の人口は約12万人。オホーツク地域では合併前から最大の都市だったが、同市より45km東に位置し、振興局(旧支庁)が所在する網走市(人口約4万人)に比べ、全国的な知名度が低いことから、初めて同地を訪れた人は、想像以上に大きなまちであることに驚くという。行政機関の再編で、旧支庁が総合振興局となる際に、「網走」から「オホーツク」へと変更されたのは、最大都市の北見市に配慮したためとされている。

 市街地は、他の北海道の都市と同様、碁盤の目状に広がっており、一見すると道内によくあるまちといった印象だ。同市では、JR「北見」駅西側の石北本線は2㎞にわたって1977年に地下化、東側は92年に高架化されているが、駅自体は地上駅のままという、やや特異な立体交差となっている。

 一方、JR「北見」駅前には、82年、駅前広場左手に百貨店・バスターミナル・ホテルで構成する複合ビルがオープン。「札幌」駅前の再開発ビルにうり二つだったため「リトルサッポロ」などとも言われたが、百貨店とホテルが撤退、現在では市役所の一部部署なども入居し、第三セクターが運営を行なう。

 中心市街地の空洞化という問題はここ北見も例外ではない。なお同市の市役所庁舎は、複数ヵ所に分散していることから、今後は同ビルを中心に市役所機能を集約する計画があるという。百貨店から市役所へ。同じ建物を活用した全く異なる「集客施設」の変遷に期待したい。


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★次回予告

次回は3月11日(金)に、『月刊不動産流通2019年2月号』より、
「一問一答! 建築のキホン」から
「賃貸マンション入居者から結露でカビ臭やクロス剥離が発生というクレーム、どう対処?」を掲載します。お楽しみに!

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