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おじいちゃんのお年玉

子供の頃のお正月の楽しみといえば!

そう!お年玉です!

貰う前から買うものを決めたりして、あの時間が楽しかったですね。


今回は私が高校生時代にもらった祖父からのお年玉のお話です。


みんな同じ


私にはそれほど年の離れていない兄弟姉妹がおり、いつからか祖父は年の順に関係なく、毎年みなに同じ金額のお年玉を渡してくれました。


ある正月、私たちは毎年恒例の祖父からの呼び出しをうけます。

もちろん私たちはお年玉がもらえると分かっているので、顔をニヤニヤさせながら近所の祖父の家へと向かい、ニヤニヤ顔を我慢して祖父の家の玄関をくぐります。

新年の挨拶を終え、私たちは祖父からお年玉を受け取りました。

もちろんその場で中身を確認することはせずポケットに納めます。


中身を確認


祖母の美味しいお雑煮を食べ終え、祖父の家を後にします。

祖父の家が見えなくなる頃にポケットからお年玉を取り出し、金額は分かっているのですが念のため確認しようと袋のフタだけ開いて中をのぞきこみます。

あれ?


見えたのは

いつもの1万円札に印刷されている偉い人の顔ではなかったのです。

私が見たのは5千円札の偉い人の顔でした。


他の兄弟姉妹は中身を確認し、納得した顔をしています。

私以外は1万円札だ。間違いない。


私は他に気付かれないように平静を装いました。

そしてピン!ときました。


私の甘い考え


実はその年の夏休みに私は内緒で

祖父に5千円を借りていたのです。

どうしても欲しいものがあったのです。

そしてお金を返していなかったのでした。


返してないと言えば聞こえは良いですが、正確には

「うやむやにしちゃおう」

と思ってました。クズですね。


祖父の教え


確かに私は祖父に「5千円貸して」と言いました。

「5千円ちょーだい」

こう言えばきっと祖父はお年玉に1万円札を入れてくれたと思います。

祖父は私にとても大切なことを教えてくれたのです。

「借りたお金は返すんだ」と。

もらったお金と借りたお金は別物なのです。


祖父はお金に困っている人ではありません。

5千円が惜しいわけではなく、私に嫌われる?のを承知で大切なことを伝えたかったのです。

そして現在、私は

祖父が作った不動産屋の襷(たすき)を受け取り、走っています。


おしまい。


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