見出し画像

出会いと別れを繰り返し人は前に進むのだろう

4月。
新しい環境、新しい人物との出会い、新たな場所でのルール。
4月には出会いがたくさん溢れている。
もれなく私にもそれはやってきた。
病院に勤めて、新たに入院してきた人達の担当をした上旬。それぞれの方に誠意を持って接していった。
いろいろな話(天気の話、桜が咲いた話、地元の話、病気の話、それぞれの家庭の事情の話、車の話)を聴かせてもらったり話せたりした。
そんな中、とある病棟がコロナ感染が発覚で病棟が1週間閉鎖。私は出入りを禁じられた。
もれなく、私の担当の人のひとりもその病棟にいた。
後数日で退院するのに…。
大丈夫かな?気になるな。と思い毎日、電子カルテを見てチェックした。とりあえず、その人は感染していないみたいだ。退院は予定通りだそう。
動ける人が部屋から出てはいけないと制限されたことによりストレスはたまっているようだった…。
4月下旬。
退院当日。
結局、その人とは顔も合わせることもできなく挨拶することもできなく、あっけなくいつの間にか退院してしまった。
あくる日、コロナ感染病棟が解除になった。
その人がよく眺めていた窓の近くの椅子はぽつんとひとつ空いていた。
一緒に眺めていた窓の外の桜の木はいつの間にか新緑で生い茂っていた。
むなしいな…、はかないよな。
こんな別れ方はツラい。
どうせなら退院する最後までしっかり関わりたかったな。
胸の奥が痛む思いだった。
またどこかで会えればいいのだけれど。
今日もまた病棟には新しい患者さんが入院してくる。
一期一会を大事にして挨拶をしっかり丁寧にしよう。心残りの無いように、毎日を関わろう。
今日も私は患者さんと関わる。
#創作大賞2024
#エッセイ部門


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?