映画から見るアメリカの没落
「フライト・クルー」
アマプラで見れる「フライト・クルー」
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ロシア映画です。ご都合主義の設定です。かなり無理があります。でも面白い。ロシア悪ノリズムです。派手なシーンも十分うまく撮影しています。
音楽の感覚が、古きよきヨーロッパ映画でして、
父の提案シーン
およびラストの雨の空港シーン
音楽とあいまって非常に美しく仕上がっています。
若い頃ミハルコフという監督が好きでした
「オブローモフ」は、自然光の撮影という意味では映画史上段違いの最高峰です。天気や役者やカメラマンの調子もあると思います。奇跡的な出来でした
残念ながら日本語字幕がない。しかし映像の出来だけでも軽くご確認ください。
そのミハルコフが、戦争ものばっかり撮影するようになりました。あげく政治家にまでなる。随分俗物になったと失望しました。しかし最近のロシア映画を見ていると、ミハルコフがしたかったことがよくわかる。彼は「アクションシーン撮影のノウハウ」がほしかったのです。
ミハルコフより少し年上のタルコフスキーは大芸術家ですが、撮影ノウハウとしてはスローなカメラ移動、家屋炎上、霧の発生くらいしか手駒がありませんでした。それではハリウッド映画に勝てない。ミハルコフは派手な特撮、スピード感のある演出を実現したかったのだと思います。そういうのは、監督の力量だけでどうなるものでなく、スタッフの人材層の厚さが必要です。ミハルコフは人材層を作りたかった。だから戦争映画を撮影しつづけた。その成果は出ていると思います。
「フライト・クルー」は派手な演出も見事ですが、俳優陣の頑張りも素晴らしく、ドストエフスキー的ドタバタシーンも
俳優達が非常に楽しそうに演じているので、愉しんで見れます。内容的には父と息子の物語です。主人公の父子、機長の父子をドストエフスキー的に重ね合わせて処理しています。上手です。
「希望の灯(あかり)」
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こちらはドイツ映画です。えらく地味です。スーパーマーケット物語です。映像は美しいです。
音のドラマです。冒頭、「美しく青きドナウ」が流れます。
キューブリックよりよほど上手いです。スーパーマーケットが壮大に見えます。内容は「フライト・クルー」と逆で、父を喪失します。しかし前に歩き出すことに成功します。そしてドナウ河は、大いなる結末にたどり着きます。どんな音かは、ネタバレになるので言えません。息を飲むほどの壮大な音のドラマです。
映画で見る限り、ドイツもロシアも、過去の遺産の完全消化に成功したようです。消化して新しい作品を作れるようになりました。遺産が膨大な分、大変な作業だったはずです。
一方アメリカは、「ジョーカー」程度の作品しか作れなくなりました。映画だけで考えると、アメリカは既に没落しています。巨大なカオナシの国になっています。映画だけで国家の運命を予測するのは不可能ですが、大変厳しい状況にはなっているようです。
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