顔見知りの野良猫

結構見かけるのだけど、勘違いだったら違うのだろう



最近僕が仕事から帰る道に野良猫がよく出現する。

しかもよりによって黒猫




猫嫌いじゃないんだけど黒猫かぁ…

なんか好きになれないんだよなぁ〜

だってネコ界隈のヤクザみたいだし…




しかし何日も見てると自然と可愛く見えてくる不思議




ある日、また黒猫がいたので今日は立ち止まり
声をかけてみた。




「いっつもそこで寝てるね」




すると少し睨みつけるような目でこちらを見て
ゆっくり歩み寄ってきた




おっ、人懐っこいんだな


僕の足の間に入ってきたり、

頭撫でろと指示してきたり、


なんだかんだ可愛いなぁ〜

と、僕自身がトロ〜んとしていると、






「兄ぃちゃん、このへんに住んどるんか?」




ん?なんか聞こえたが


空耳かな?




「聞いとんのか!にいちゃん!」




俺は耳を疑った


確実にこの黒猫の方から聞こえる…

お前言葉喋れるのか!?




「おう!喋れるで!よく遊んでくれるオッチャンにならったんや」




なんで関西弁なんだ…ここは新宿だぞ


関西弁のことはよくわからないけど

この黒猫が確実に日本語を喋っている…




しかし一つ疑問が出てきた


なんで今まで話しかけてくれなかったんだ!


毎日通るのに今日に限って喋りかけてきた…




「それはなぁ、ワシがもう死期が近いんや」




なんだって?それで話しかけてきたのか?


何故か少し悪寒がする




「にいちゃんいっつもここ通るやろ?だから顔を憶えてたんや!
この人なら伝えてもええかなと思たんや」




伝える?何を?


死期が近い黒猫が伝えたいこととは…

嫌な予感が頭をよぎる


やっと愛着が湧いてきた矢先の出来事




僕はいつも通るこの道

いつもと違う雰囲気が身を震わす


数秒間目を見つめ合い


黒猫が語り出した。

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