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旧司法試験 憲法 平成14年度 第1問


問題

 A市の市⺠であるBは、A市⽴図書館で雑誌を借り出そうとした。ところが、図書館⻑Cは、「閲覧⽤の雑誌、新聞等の定期刊⾏物について、少年法第61条に違反すると判断したとき、図書館⻑は、閲覧禁⽌にすることができる。」と定めるA市の図書館運営規則に基づき、同雑誌の閲覧を認めなかった。これに対し、Bは、その措置が憲法に違反するとして提訴した。
 この事例に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。

関連条文等

憲法
13条(第3章 国民の権利及び義務):個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉
21条1項(第3章 国民の権利及び義務):表現の自由

地方自治法
244条2項(第10章 公の施設):公の施設

判例
最判平17.7.14:公立図書館における著作者の表現の自由
▼公立図書館が住民に図書館資料を提供するための公的な場であるということは,そこで閲覧に供された図書の著作者にとって,その思想,意見等を公衆に伝達する公的な場でもある

一言で何の問題か

閲読の自由と図書館長の裁量

答案の筋

閲読の⾃由は、表現の⾃由を受け⼿側から再構成したものとして21条1項によって保障される。また、公⽴図書館は図書等の資料を収集し、⼀般公衆の利⽤に供するために設置された公共的施設であり、その閲読は原則として認められるべきである。よって、厳格な審査基準によるべきであるところ、法の趣旨に基づく少年のプライバシー保護としては、⽒名や容ぼうが記載されている箇所のみを⿊く塗りつぶす等の限定的な措置によっても図ることができるため、規制⼿段が⽬的達成のために必要不可⽋であるとはいえず違憲

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