阿部光平

編集・ライター・3児の父。5大陸を巡り、旅行誌でライターの仕事を開始。今はWEBをメイ…

阿部光平

編集・ライター・3児の父。5大陸を巡り、旅行誌でライターの仕事を開始。今はWEBをメインにコンテンツ制作をしています。地元・函館と各地を行き来しながら『IN&OUT-ハコダテとヒト-』というローカルメディア【http://inandout-hakodate.com】も運営。

最近の記事

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絶対、絶対、絶対に許せない気持ち。

「絶対、絶対、絶対に許さない!」 今朝、長女がものすごい剣幕でまくし立ててきた。 手には、数日前に彼女が描いた絵が握られている。 それを見て、僕は「取り返しのつかないことをした…」と思った。 この時期、出版業界は年末進行と呼ばれる過密スケジュールで仕事が進むので、とても忙しい。 その上、忘年会なども始まってくるので、最近は夜に家を空ける日が続いていた。 娘が手に握っていたのは、数日前に『アナと雪の女王2』を観て描いてくれたアナの絵。 僕は「おぉ、いいじゃん!あり

    • やりたいことが形になった2024年。

      今年も大晦日に1年の振り返りを書いている。 自分が書いて公開している文章のなかで、これは唯一自分のために書いているものかもしれない。 慌しかった1年を終わらせて、新たな気持ちでリスタートするための儀式のようなものだ。 常に何かに追われていて余裕のない日々だったけど、こうやってギリギリで乗り越える感覚がないとそれはそれで物足りなさを感じるんだろうし、結局はそういう生き方が好きなんだろうなとも思う。 今年もたくさんの方にお世話になりました。 【1月】『ケイコ 目を澄ませて』の三

      • 変化は一人の熱狂から生まれる。参加者の心に火をつけ、背中を押す地域トレセンの現場

        東京から函館にUターンして一番変わったのは、街に対する当事者意識だと思う。 函館は暮らしていても、友達を案内していても「自分の街」と思えるけど、東京は20年住んでもそういう感覚にはなれなかった。東京が大きすぎたのか、自分が小さすぎたのか、理由は今でもよくわからない。 ひとつはっきりしているのは、今のほうが「自分の暮らしを自分の手で作っている」という実感があることだ。都会に比べて選択肢が少ないため、仕事にしろ、遊びにしろ、欲しいものは自分たちで作ることになる。そういう手応え

        • ひとつだけやり切れなかった2022年。

          たった今、年内最後の原稿を書き終えて、間髪入れずに缶ビールを開けた。 頭も体もオフにして大晦日に雪崩れ込もうと思っていたのだが、いかんせん脳がまだハイなままなので気持ちが落ち着かない。 時間ないから今年はいいやと思っていたけど、手が空いた途端に「今年の振り返りをしてないな」という気持ちが頭をもたげてきて、落ち着かなさに拍車をかけているような気がする。 こういうのは放っておくと、しばらく頭の片隅に居座るので厄介だ。 それに、今年はひとつだけやり切れなかったこともある。 今年のこ

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        絶対、絶対、絶対に許せない気持ち。

          ギリギリ乗り切った2021年。

          2021年を振り返ってみると、「とにかく余裕のない12ヶ月」という感じだった。無事に大晦日を迎えて、「どうにか乗り切った」という気持ちでいる。 1月に第三子が生まれ、3月に北海道・函館へUターン、全国各地へ取材に行き、函館の仕事もしながら、今は妻の美容室の開店準備を手伝っている。 こんなにも目まぐるしく環境が変わることは、この先の人生ではないかもしれない。時間的にもキャパ的にも余裕がなくて、本はほとんど読めなかったし、気づけば終わってるライブや展覧会も多かった。 目の前

          ギリギリ乗り切った2021年。

          友達が住んでいる町

          友達が住んでいる町で遊ぶのが好きだ。 その人がいつも行ってるご飯屋さんや、知り合いの店、思い出の場所なんかを巡りながら話をする。 時々、街中で地元の先輩や後輩に会ったりなんかして、そこで目にした何気ない会話で友達の新たな一面を知ることもある。 そうやって遊んでいると、相手のことがもっと好きになるし、町のことも他人事ではなくなっていく。 だからというわけではないが、自分の住んでいる町に友達が遊びに来てくれたときは、できる限りのアテンドをするようにしている。 相手が行き

          友達が住んでいる町

          椅子に座ったままでも、やっぱりライブハウスには自由があった。

          1年ぶりくらいにライブハウスへ行ったら、何もかもが変わっていた。 入り口には会話を控えることやソーシャルディスタンスを保つ注意書きがあり、バーカウンターは無人、フロアには椅子が並んでいた。 いつもの調子で開演の5分前に到着したら既にフロアは満席で、クワトロで初めて一段高くなっている後方のエリアに陣取った。 ステージはよく見えたが、なんだかパソコンの画面を眺めているような風景に感じた。 開演時間になってイースタンユースのメンバーがステージ上に現れる。 いつもなら会場の

          椅子に座ったままでも、やっぱりライブハウスには自由があった。

          東京4人暮らし

          東京で、家族4人で暮らしている。 冬休み最終日の今日、長女は算数の宿題に追われていた。 二桁の足し算と引き算。 もうそんなことができるようになったのかと、ついこの前まで絵本を口の中に入れていた姿がよみがえる。 次女が生まれてから5年。 それが、僕らが東京で4人暮らしをしてきた時間だ。 「そんなもんなのか」と感じるのは、時間に対して思い出がたくさんあるからだろう。 オムツが汚れてギャン泣きしていた子が、立って歩くようになり、自分の意思で服を選ぶようになり、最近では

          東京4人暮らし

          第3子が生まれ、函館に拠点を移すことについて、新聞連載をはじめます

          こんにちは。 久しぶりのnoteになりました。 もうタイトルに書いたままなのですが、第3子が生まれ、函館に拠点を移すことについて、新聞連載をはじめます。 第3子を授かりましたわざわざ言うことでもないよなと思いつつ、でも隠し事をしているようで落ち着かなかったので、最近のことをまとめて書くことにしました。 まず、年明けに第3子が生まれる予定です。 現在、安定期に入っており、たくさんの方々に支えられながら母子ともに元気に過ごしています。 僕も妻も兄弟が多く、賑やかな家庭

          第3子が生まれ、函館に拠点を移すことについて、新聞連載をはじめます

          「自立してたから共闘できた」北海道ローカルメディアの現在地

          道東の遠軽町出身で、『オホーツク島』というウェブメディアを運営するさのくんが『ローカルメディア時代の終わり、ローカル活動時代の夜明け』というnoteを書いていた。 それを読んだら、いろんな想いが呼び起こされてきたので、僕も自分が見てきた北海道のローカルメディアについて書こうと思う。 まぁ、さのくんの文章に当てられたという感じです。たぶんね、もともとこういう関係性なんですよ。僕たちは。 さのくんの記事の中でも紹介してもらったが、僕は2015年に地元・函館のローカルメディア

          「自立してたから共闘できた」北海道ローカルメディアの現在地

          自由が制限されることで得られた安心感に少しモヤモヤしている

          今日から始まる予定だった娘の小学校が休校になって、ホッとしている自分と、モヤモヤしている自分がいる。 その理由を行ったり来たりしながら考えている。 国や自治体が全体の方向性を示すというのは、個々が持っている選択肢を絞ることでもある。 それは悩みのタネを減らす救済だとも言えるし、自由が制限される危機だとも言えるだろう。 ホッとしてる理由は前者なんだけど、後者に関してはモヤモヤが残る。 もう少し分解してみると、ホッとしてるのは自分が選択しようと思っていた方に進めたから、

          自由が制限されることで得られた安心感に少しモヤモヤしている

          日に日に気が立ってきてる実感がある。

          「我慢する」よりも、「我慢させる」の方が辛い。 「腹が減る」よりも、「腹が減ったと泣かれる」の方が精神的に擦り減る。 「苦しい」よりも、「苦しそうにしている姿を見る」の方が堪え難い。 親というのは、そういう生き物だと思う。 だから、子どもを守ろうとするときには気が立ってしまう。 そんな自分に気づいてしまったので、正直に言うと、買い占めをする人の気持ちもわからなくはない。 人間という動物には(少なくとも僕には)、やっぱり家族を守るという本能が備わっている気がするから

          日に日に気が立ってきてる実感がある。

          人の言葉を預かる仕事

          インタビューというのは、人の言葉を預かる仕事だ。 これまで培ってきた知識や経験、思考などを言葉として預かり、編集して、世に出す。 それが世の中にも、本人にもどのような影響を及ぼすかわからないから、書き手の責任は極めて大きい。 だからこそ、預かった言葉はもちろん、そこに至るまでの経緯や、それを語ってくれた心意気なども含め、すべて大切に扱わなければいけないと思っている。 昨年の秋頃、『岩田さん』という本を読んだ。 任天堂の元社長・岩田聡さんと糸井重里さんが何年かに渡って行ってき

          人の言葉を預かる仕事

          会社は面白いと思わせてくれた『ほぼ日』と『サイボウズ』

          多感な時期にパンクばっかり聴いていたお陰で、僕は「会社勤めをするようになったらおしまいだ」という考えが染み付いたまま社会に出てしまった。 そのまま何年か海外をほっつき歩いていたら、その経験を面白がってくれた人から運良く文章の仕事をもらうことができて、それから10年以上フリーライターとして生きている。 そんなわけで、僕は今までに1度も就職をしたことがない。 だけど、これまでに2度だけ「会社って面白いんじゃないか?」と、頑なに会社を拒絶していた心を揺さぶられたことがある。

          会社は面白いと思わせてくれた『ほぼ日』と『サイボウズ』

          終わりを意識すること

          ゴールデンウイークの帰省中に、ばあちゃんが倒れた。 幸い命に別状はないが、人生は限りあるものだということを強く感じさせられる出来事だった。 平成が終わる。 桜が散る。 故郷を離れる。 誰かの人生が幕を下ろす。 終わりを意識することは、今が限りあるものだということを否応なく浮き立たせる。 人生には限りがある。 それは懸命に生きる理由として十分だな。 https://m.youtube.com/watch?v=hKluijUur3U

          終わりを意識すること

          出産立ち会いドキュメント

          ▼我が家に陣痛がやってきた3月30日の午前2時過ぎ、横で寝ている妻が僕の肩を叩いて、苦しそうに言った。 「陣痛きたかも…」 その言葉に僕の全身はドキンッと波打ったが、動揺を悟られぬよう、なるべく冷静を装って話す。 「痛みがくる間隔は?」 「今は、10分おき…」 病院からは痛みが10分間隔になったら連絡するように言われていたので、急いで電話をする。「今から来てください」と言われ、準備しておいた入院道具を抱えて病院へ向かうことにした。 予定日から約1週間遅れて、来そう

          出産立ち会いドキュメント