変わりたいのに変われない

お久しぶりのnoteですが、今回は暗いお話になっています。
昨今聞くようになったモラハラについて考えてもらえるきっかけになればと思い、今日の出来事を書きました。
無理に読まないでほしいです。
読めるときに読める人だけ読みたい人だけ読んでいただき、考えるきっかけになると嬉しいです。
それでは始めます。


家に帰ると玄関に大きな荷物が2つ届いていた。
お父さんの勤め先の関係で毎年夏と冬に届く箱ティッシュとトイレットペーパーだ。
玄関の半分を占めていたので、これはお父さんに怒られるかもしれないと思いながらもお腹が空いていた私はまっすぐリビングへ向かい、玄関先の荷物のことなど忘れてしまっていた。

ごはんを食べ終え、デザートのアイスをほおばりながらソフトバンクホークスの試合を観ていたとき、ガチャンという音とともに玄関先から怒鳴り声が聞こえてきた。
「荷物くらい片付けろよ」
仕事から帰ってきたお父さんの声だった。

お父さんは玄関の街灯を点け忘れただけで怒る人だった。
玄関でカサを乾かすのもダメ。
仕事から帰ってきたお父さんを不快にさせるものは一切許されなかった。
帰ってスムーズにごはんやお風呂に進めないと不機嫌になった。
今日もそれだった。

わかっていた。
こうなることはわかっていた。
私が帰ってきたときからわかっていたのに、忘れてしまっていた。
「荷物片付けんと怒られるくない?」
そうお母さんに言おうと思っていたのに、ごはん食べた後でもいいかと後回しにしてしまった。
こうして予測できていたのにお母さんは怒鳴られてしまった。

しんと静まり返ったリビングにお父さんは追い討ちをかけるように言った。
「これは俺の仕事じゃないんだよ」
誰も何も答えなかった。

お母さんは何もなかったかのように洗濯物をたたみ始めた。
「アイス買ってきてやったのに」
そう吐き捨ててお父さんはドサっとコンビニの袋を机に置いていった。
誰も何も反応しなかった。

何度こんな場面を味わってきただろうか。
もう数えられないくらいこんなことがあっている。
私が小さかったころからずっとずっと。
なんで?と思いながらもこの生活がこの光景が染みついてしまっている。

どうしてこんなに機嫌を伺いながら生活しなくてはならないのだろう。
お母さんも働いているのに、なんでいつもお母さんの役目にするのだろう。
なんで買ってきてやった、掃除してやった、〇〇してやったと言われるのだろう。

わからないことがたくさんあるのに何一つお父さんに言えたことがない。
ずっとこうやって怒鳴られて反抗できないようにさせられてしまったから。
反抗することよりこわいことの方が勝ってしまう。
ずっと関わっていかないといけない人ならば我慢した方がマシだった。

体を傷つけられたことはなかった。
でもお母さんと、両親を見て育った私の心はズタズタだった。
反抗なんてできないいつまでも弱い女になってしまった。

怒鳴られてから私とお母さんは一緒に大きな2つの荷物を運んでいた。
重くてとても1人では持てない荷物だった。
2人でやっとの思いで抱えながら玄関から和室へ運んでいる間、お父さんは枝豆をつまみテレビに向かって笑っていた。
いつもの光景だった。


何度繰り返してもやっぱりわからないことがある。

「これは俺の仕事じゃないんだよ」

じゃあこれは誰かの仕事なの?
お母さんはお父さんにとってなに?

女って?男って?
どうしてそんなに偉そうなの?

変わりたいのに変われないそんな晩の話。

#エッセイ #モラハラ

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