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中秋の名月

「今夜は 中秋の月が見れる」

天気予報士さんも新聞もテレビでも 数日前からの並々ならぬ予告

それもそのはず、

中秋の名月は暦の関係で 満月にならないこともあるという

今夜の月は 3年連続満月での中秋の名月だ という

これは 絶対みなければならぬ!

我が家の2階の東角が「娘の部屋」だった

そこから見える月は 昇りたてなので

くっきり白い月がゆっくり昇る様子を 楽しむことが出来た

表に出て 月を探す

家々の黒いシルエットの背後から ほのかな月明りが見えはじめ

ゆっくりと少しづつその姿を現す時の感動は いつの日も変わらない

久しぶりの涼風に吹かれながら 私は 道路の真ん中に突っ立ていた

誰も外に出て名月を鑑賞する人はなく

時たま通る車に気を使いながら 名月を見上げているのも なんなので

家に入ると テレビで中継していた

なんやテレビでやってるんやん!

それなら!と、息子に電話した

「もう、ごはんすんだか?」

「うん、すんだ! 何?」と、要件を聞く体制

「そこからきれいな月、見えるか~?」と聞いてみた

「ばあちゃん、外へ出て見たんや、やっぱりきれいやったわぁ 丁度流れ星も見えたんよォ、今 テレビBS3で中継やってるから よかったら見てえ」

「今夜は満月か~? ちょっと見てみるわ」と、電話が切れた

しばらく間があって、メールが来る

「残念ながら、こちらでは見えませんでした。テレビで我慢します」

私はすぐ返事した

「残念! 元 ねえねえ(娘)の部屋(今私の寝室)の出窓からよく、月が昇るのが見えてねえ、お母さん月がきれいよ!って声かけてくれた時、よくねえねえと一緒に見たよ。テレビもいろんな月が見えるから いいねえ♬ 離れていても 同じ月が見れるって幸せね、楽しみましょうねえ」

私は あえて孫ジュンはどうしてる?とは聞かなかった。
勉強していたらラッキーだし、そうでないのなら、美しい満月を見せてあげたかったけれど…

それっきり、息子から返事はなかった。
 夫が生きていた時 出張先のホテルから
「そこから 月が見えるかぁ? きれいな月やで~」と電話があったことを 思い出した。
 月という引力は 人と人を引き寄せる力があるのだなあ…?と感慨深げに改めて月を見た。

 近年にない 雲ひとつなく晴れわたる夜空の 中秋の名月は さすがに
こころ魅かれるものがある。
この同じ月を見られるのは 7年後のことだという。
そのころの私は なにをする人ぞ…?


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