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静かなお盆(1)

朝 5時に目が覚める。今日は朝から雨なのか? と カーテンを開ける。 お~、窓からの眺めは雨上がり! これは幸い!と急いで顔を洗い 化粧水もそこそこに日焼け止めクリームを塗り 晴雨兼用の傘を持って 家を飛び出した。これから続く連日の雨に備えての朝の散歩。今日は絶対歩いておかなきゃあ!という一種強迫観念が支配する。時計を見れば”5時45分”時間が時間だけに余り歩けない!というのは 6時25分から始まるラジオ体操には間に合うように家に帰り着かなきゃ~!

3835歩、ちょっと足りないけど ま、いいか!

それから、神棚のお水をかえていつものように息子と孫の無事を祈り感謝して、仏壇に向かう。蓮の花の入ったお盆用の仏花と竜胆と白と黄色の小菊とピンクのカーネーションをカスミソウでカバーした花瓶の水をかえ、お茶とお膳を供え「般若心経」を唱えて、簡単な朝食につく。

 本来なら明日13日に雲水様が拙宅くださり 娘の初盆と棚経をあげて もらうはずだったのに…コロナ禍の波が急激に大きくなり 緊急事態宣言が出されその上 大雨の予報!

外は少し前から大粒の雨が降りだしている。暑中見舞いをくれた姪っ子に 残暑見舞いの返事を書いてポストに走り、仏壇に供えるお膳の煮物の種類が足りなくなってきたので ひじきや高野、蒟蒻の煮物などこしらえていると

メールが入った。見ると友人のS子ちゃんだった

「おはよう!コロナの上にこの天気!こころが晴れませんね、お伺いしたいお参りをさせて頂きたいと 思いつつ初盆が来てしまいました。ごめんなさいね。遠くこの地からですが お参りさせてもらいます。コロナが落ち着いたらうかがわせいただきたいと思ってます」

私はすぐに返信した

「ご丁寧に恐れ入ります。今年のお盆はなんということでしょうね。明日拙宅してもらう雲水様も孫たちも全てキャンセルになりました。静かなお盆です。今朝お寺さんから電話があり、お墓にお経をあげました。その時気づいたのですが、お花の水入れが風月で穴が空いて水がもれます。との事、お経はお願いしておいたがお花まで…!と、恐縮してしまいました。お盆が済んだら墓石屋さんと又お墓に行くことになりました。大雨の予報ですね。お互い気を付けましょうね♡ わざわざありがとうございました」

又すぐ返事がきて

「ほんと、なんというお盆なんでしょうねえ。一人で絵を描いて 静かな お盆です。京都も大阪、滋賀、ひどいことになってきましたね。くれぐれもご自愛くださいませ」

あ~、なんと 友達っていいもんだなあ!

そこへ、固定電話がなる。だれだろう?

受話器を取ると「あ!」ちょっと間が空いて 声変わりした声で「ぼく」と聞こえた。 「え?! あ~、 ジュンか? 誰かと思ったけどばあちゃんすぐわかったよ~!」

「荷物着いた、ありがとう」オ~! なんと、低音のハスキーボイス!         「今日着いたん?」                        「ううん、昨日」バツの悪そうな返事がかえってくる 

いや~、又 ばあちゃん いらんこと言うてしもた~                  そこで、方向転換する

「そ~か、お誕生日おめでとう! 君にエールを贈る!」見えもしないのにおおげさに受話器を持ちながら片手で大きくエールを贈る動作をした。  すると「うふふん」と笑い声が洩れる。なんて、孫はかわいいんでしょう!  中学生になって 言葉数が少なくなっても、孫は可愛い私の「宝」!    「一緒に送った『黄金の国の王 白銀の王』あれ、ばあちゃんが読んですごく面白かった本やね、もしよかったら読んで!」すると、しっかりした声で「うん!」と 返って来た。そして、電話は切れた。   短い会話だったけれど、私は受話器を置くと同時に踊るようなしぐさをしていた。

こうして、「静かなお盆」の1日のはずが 結構にぎやかに過ぎていく。 さて、明日はどんなお盆になるのかなあ~

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