伊達競阿国戯場(だてくらべおくにかぶき)[現行上演のない浄瑠璃を読む #8]
初演=安永8年[1779]3月 江戸肥前座
作者=達田弁二・吉田鬼丸・鳥亭焉馬
今回は、並木宗輔作品以外から。
伊達騒動+累伝説をマッシュアップした内容で、同名の歌舞伎の浄瑠璃化。
時は室町時代、足利家のお家騒動として設定しなおされている。伊達騒動を軸にしているため『伽羅先代萩』とストーリーが近しいが、現行「御殿の段」にあたるエピソードはない。
隠居したがる将軍義満、傾城高雄にうつつを抜かす弟頼兼によって、幕府の内情は不安定になっている。彼らは仁木弾正ら計算高い佞臣たち