南都十三鐘(なんとじゅうさんがね) [現行上演のない浄瑠璃を読む #6]
初演=享保13年[1728]5月 大坂豊竹座
作者=並木宗輔、安田蛙文
奈良時代、長屋王子が藤原広嗣とともに帝位簒奪を図る中、橘諸兄が国家安泰を守ろうとする物語。
最終的には題名通り、「鹿殺しの罪で(身代わりとして)死罪になった子供の追悼のために撞かれる13回の鐘の音」の由来にまつわる物語に収束していく。それ自体は普通と言えば普通で、地味。
しかし、話がそこに至るまでに、わずかな欲心やその場しのぎのごまかしからしたことが最終的にどうしようもない事態を招くというエピソードが