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交通の進歩は止まったままだ

小6の孫がドバイに着いたとラインで知らせてきた。写真もある。昨晩は、成田空港から飛行機に乗りますと、これもラインで知らせてきた。遠く離れていても、リアルタイムで連絡がくる。21世紀になって急速に進歩した情報伝達技術の成果である。孫たちは父親の転勤でベルギーに行く。飛行機の直行便が取れずに、ドバイ経由になった。成田からドバイまで12時間、ドバイからベルギーのブリュッセルまで7時間の旅である。いまごろは、アラビア半島の上を飛んでいるのか。イスラエルが無差別攻撃を加えているパレスチナ・ガザにも近い。孫たちと同じ年代の子どもたちが逃げまどっている。絶対に許せない攻撃だ。早く攻撃がやむことを心から願う。

情報伝達技術は進歩したが、人間の移動技術は、私が若かったころと変わらない。初めて海外旅行したのは、1974年春だった。大学生協が募集していたヨーロッパ20日間の旅だった。羽田から当時はアンカレッジを経由して、北極海を飛んで、パリで乗り継ぎ、ローマに着いた。乗り継ぎが多いので正味何時間かかったかは、思い出せないが、今とあまり変わらないだろう。飛行機が今とほとんど変わっていない。あと10年もしたら宇宙空間を飛行してローマまで数時間で行けるようになるかもと思っていたが、そんな技術は今も実現していない。

それ以前の50年は、すさまじい進歩だった。鉄道が普及し、電車があらわれ、マイカー時代となり、人々の移動は格段に楽に速くなった。それまでは、徒歩と馬の時代だったのだから、驚くべき進歩だった。

そう考えてみると、テレビも冷蔵庫も洗濯機も主な家電は、50年前にはすでにあった。性能がよくなり、大量生産により安くなったが、同じものである。当時なくて急速に進歩したのが、パソコン、スマホに代表されるIT技術である。

これによって、冒頭で書いたように、孫がドバイから瞬時に知らせてくるようになった。しかし、別になくてもいい技術である。ベルギーに着いてから国際電話で「無事着いたよ」と連絡があればいいことだ。

人類の技術進歩はいま停滞しているのかもしれない。産業革命以後、交通の劇的な進歩により、地球のどこへでも誰もが移動できるようになった。その間の進歩はすさまじかった。祖父の時代、父の時代は目まぐるしく交通手段が進歩して、それによって物質文明が花開いたのだろう。しかし、わたしたちの時代になってこの50年近くは交通は、ほとんど進歩していない。

子どものころのアニメでは21世紀には、空飛ぶクルマが高層ビルの間を飛び回っていたが、そんな技術はまだ開発されていない。なぜ、技術開発は止まったのか、なぜ、パソコンなどのIT進歩の方へ向かったのか。

ヨーロッパまで3時間で行けるような飛行機をつくったほうが、多分人類にとってはいろんなメリットがあることだろうが、それができないのは何故なんだろう。孫からのラインを見ながら、こんなことを考えている。

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