東チモールのコーヒー生産者を招いたシンポジウムの覚え書き
フェアトレードなどにとりくむPARCICが主催する「コーヒーの未来〜東チモールのコーヒー生産者と考える」というシンポジウムで、友人のサキちゃんが司会をするというから京都の西本願寺聞法会館にでかけた。
中南米のコーヒー産地は何度も訪れているけど、東チモールの事情ははじめて知った。
今回はふたつの協同組合の代表らが報告した。
東チモールでは人口130万人の3分の1がコーヒー生産にかかわる。海底油田からの石油と天然ガスが輸出の9割を占めるが、残りの6割はコーヒーが占める。大事な産品だが、コーヒーの木が老木になり、気候変動の被害も重なって、この20年で生産量は半分になってしまった。
気候変動の影響は想像以上に深刻だ。従来は、乾季と雨季が明確にわかれていた。雨季の雨も夕方にドサッとふるものだった。
それが最近は、乾季に雨がふったり、雨季に乾燥したり、昼間から集中豪雨がおそったりする。コーヒーは年に1度開花・結実するが、雨の時期が早すぎても遅すぎても花が落ちてしまう。収穫時期に雨が降ると乾燥ができなくなる。
2つの協同組合は、日本のJICAの支援をうけて、古い木から新しい木への転換や、若い世代がコーヒーの手入れを習得するための人材育成、暑さに強いが低品質だとされるロブスタ種の味の改善、コーヒー園にカカオなどのほかの作物もつくるアグロフォレストリーなどにとりくんでいる。
協同組合は世帯ごとだから、会議は男ばかりになりがちだ。男が多い会議は「要求」が多い。ところが女性だけがつどうと「コーヒーの収入は3カ月だけだから、そのお金で鶏を買って、卵を売る」といった具体的な話になる。女性だけの集まりで、身近なものの加工品づくりを考えて、ハーブティーやジャムづくりもはじまった。
中米のコーヒー産地でも、「植えかえ」を促したり、「アグロフォレストリー」によって野菜や果物の自給をはかったりするとりくみがあった。
女性グループの産品づくりは、「道の駅」で野菜や手作りの品を売ることで「家」の口座ではなく、女性個人の口座に利益がふりこまれるようになったのとそっくりだ。
どこも似たような課題と、似たようなとりくみがあるのだ。
安いロブスター種と高いアラビカ種の飲み比べもおもしろかった。ロブスターって、苦くてくさいという印象だったけど、きれいな酸味があるから、深入りのコーヒーとまぜたらおいしくのめるかもしれない。
会場で200g860円で売っていたから買ってきた。フェアトレードなのに、安い。
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