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肩関節3つの安定化-骨構造・軟部組織・肩甲骨機能-

どうも肩関節機能研究会の郷間です。
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今回は肩関節の安定化に関わる要素についてご紹介していきます。
本記事を読むことによって、肩関節がどのように構成されているのか、どのような組織で安定しているのかが理解できます。

これらを理解することによって、今後に臨床で何を意識して肩関節の安定化を図っていけばいいのかがわかってきますのでぜひ最後までお読みください^^

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肩関節の構成

肩関節を構成するのは上腕骨、肩甲骨、鎖骨、そして肋骨(胸郭)です。



そして肩関節は広義の肩関節という5つ(見方によっては6つ)の肩関節からなります。

余談で赤く記されている肩甲上腕関節は狭義の肩関節とも言われます。
つまり肩関節の中の肩関節は肩甲上腕関節ということです。


ちなみに、広義の肩関節ですが、こちらは解剖学的関節と機能的関節に分けて考えることもできます。
解剖学的関節の特徴は、関節包や関節軟骨など、関節を構成する組織のある関節です。
機能的関節の特徴は、関節を構成する組織はありませんが、機能的な関節の役割をします。


なかでも肩甲上腕関節は球関節であり、多軸性関節です。
肩甲上腕関節は人体の中で最も可動性の高い関節でもあります。
その反面、最も脱臼しやすい関節でもあります。
ちなみに皆さんご存じだと思いますが、私は肩関節が好きです。
理由はいくつかありますが、何よりも肩関節の臨床にやりがいを感じているのが、私たち理学療法士は骨構造を変えることができませんが、私たちの治療で軟部組織に介入することは可能です。
肩関節は最も可動性が高く、脱臼しやすい関節でもあるということは軟部組織の機能解剖学や運動学的な知識や技術を駆使してやりようがいくらでもある。ということです。


では、人体最大の可動性を有し、最も脱臼しやすい肩関節を安定させる要素には何があるのでしょうか?
要素は3つです。


まず、3つの要素からご紹介します。
➀骨構造、②軟部組織、肩甲帯機能です。
①は骨構造のためリハビリではどうにもならない部分です。
骨の構造を変えることはできませんし、構造を変えるのなら手術しかありません。
私は理学療法士なので、メスも注射も持つことができません。
保存療法でどこまでできるのか、どこをカットオフ値にして医師に外科的処置を打診すべきなのかをいつも考えさせられます。
➀の骨構造の状態はどうなのか、②の軟部組織の機能はどうなのか?、③の肩甲帯機能はどうなのかを速やかに評価し状態を把握することは非常に重要だと考えています。
では、それぞれの関節を構成する要素を細かく紹介していきます。

第1の安定化機構 骨構造

ではまずは第一の安定化機構、骨構造についてご紹介していきます。
骨構造の特徴は何といっても上腕骨が球状、肩甲骨関節窩が凹面を形成して構成させる球関節です。


球関節は関節窩が小さな受け皿ながら、凹面で形成されているため、骨頭が脱臼しにくいよう工夫された形状になっております。
球関節の構造はゴルフボールとティーの関係性似ていますね。


そもそも関節には球関節や鞍関節、平面関節など様々な関節形態がありますが、球関節にはどのような動きがあるのでしょうか?
球関節には骨頭の動揺(Ship roll)、転がり運動(Ball roll)、滑り運動(Gliding)、軸回旋(Rotation)という動きがあります。
また、これらの運動が単一ではなく、複合的に生じて円滑な関節運動を可能にします。


では具体的に肩甲上腕関節の運動でどのような運動が主として生じる時のかをみてみたいと思います。
屈伸:軸回旋運動
内外転:転がり・滑り運動
内外旋:転がり・滑り運動
こんな感じです。

では簡単に外転運動時の転がりと滑り運動をみてみたいと思います。
外転運動では、下部軟部組織が伸縮することで円滑な運動が可能になっていることがわかります。


通常、外転運動を行うと、上腕骨頭には転がりと滑り運動が生じます。

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